今は充実した人生を送るために、「ワークライフバランス」を重視する人が多くなっています。その一方で、当然のことながら仕事では成果を出すことも求められます。

仕事の時間はそのままに、あるいは仕事の時間を減らしながら成果を今以上に出すには、タイパよく働くしかありません。そのためには、自分の「得意」なことを仕事にすることです。

そこで本稿では、自身の「ユニークアビリティ」を活かした仕事をすることで、同じ時間で"10倍の成果"を出す働き方をお伝えしていきます。

「好き」「得意」「人の役に立つ」「お金を生む」を満たすユニークアビリティとは

「ユニークアビリティ」とは、人が情熱を持って仕事に取り組める能力のことです。

この能力を活かして仕事をすることで、質の高い仕事ができるようになります。このユニークアビリティは「好き」「得意」「人の役に立つ」「お金を生む」の4つの条件で構成されます。このうちのどれが欠けてもユニークアビリティとはいえません。

例えば自分が「好き」でないことは、「得意」で「人の役に立ち」、「お金を生む」としても、情熱を持てないので長く続けていくことはできません。

また、自分が「得意」なことでなければ、他の3つの条件を満たしていても、不得意なことなので生産性が上がりません。

同様に「人の役に立つ」ことでなければ、世の中で求められているニーズがないということですから、ビジネスで大きな成果を出すのが難しくなり、「お金を生む」ものでないと趣味やボランティアのようになり、ビジネスとして続けていくのが難しくなってしまいます。

だからこそ、自分自身の仕事が「好き」「得意」「人の役に立つ」「お金を生む」という4つの条件をすべて満たすことが大切なのです。

自分のユニークアビリティを見つけるには、まず「好き」「得意」なことを明確にしてから、それが「人の役に立つ」や「お金を生む」ことにあてはまるかを考えるのがいいでしょう。

先に「人の役に立つ」「お金を生む」ことが見つかっても、それが自分の「好き」「得意」から遠いと情熱を持って続けていくことができないからです。

例えば私のユニークアビリティの一つは「情報収集」です。ビジネスにとって情報収集は非常に重要で、私はこれにより自分の会社で新たなビジネスを立ち上げ、成功に導くことができました。

「どうやるか」ではなく「誰とやるか」が重要

次に考えるのは「誰とやるか」です。ビジネスは一人で行うことはできません。できたとしても、大きな成果を挙げることは非常に難しいです。

多くの人は、なんらかの目標を達成したり成果を挙げたりしようとする時、まず「どうやるか」を考えがちですが、実際には、「誰とやるか」を考えるほうが重要となります。

なぜなら、自分が「好き」でも「得意」でもないことは、それが「好き」で「得意」な他の誰かに任せたほうが、より良い結果を出すことができるからです。そうすれば、自分自身は「好き」で「得意」なことに集中して取り組むことができます。

まず、「好き」な仕事をすることは、モチベーションと情熱を高めます。心からやりがいを感じ、楽しみながら仕事に取り組むことで、創造性や革新的なアイデアが生まれます。 「得意」な仕事に特化することは、個人のスキルや才能を最大限に活かすチャンスです。得意なことに集中すると、個々の専門性が高まり、成果や品質の向上につながります。

「人の役に立つ」仕事をすることは、社会的な意義や価値を追求することを意味します。 自身の行動や貢献がいろいろな人の人生や社会全体にポジティブな影響を与えることで、個人の満足感と組織の評価が向上するのです。そして、「お金を生む」仕事は、ビジネスの継続や成長に不可欠です。経済的な側面で成果を生み出すことで、チームや組織の達成感にもつながります。

それぞれ個人の情熱と才能を最大限に活かすことで、他のチームメンバーとの連携を通じてシナジー効果を生み出すことができるのです。

とはいえ実際のところ、多くの会社や組織では、そこで働く人たちが自分のユニークアビリティの4つの条件を満たす仕事をすることができていません。あなたの職場はいかがでしょうか?

チーム全員がユニークアビリティに特化した仕事をすれば10倍の成果を出せる

「誰とやるか」を決めた後は、その人たちとチームを組んで「仕組み化」します。ここで重要になるのが、チームとしての目標を共有することです。

私は会社経営のほかに、「10x(テンエックス)」という、「同じ時間で10倍の成果を出す」方法を伝授する活動もしているのですが、これを元にお話ししますと、「10x」では、1人で「10倍の目標」を達成することは不可能で、この目標を達成するにはユニークアビリティを活かしたチームメンバーの協力が欠かせないという考え方を前提にしています。

逆の言い方をすると、チームメンバーのユニークアビリティを活かして協力し合えば、「10倍の目標」を達成できるということです。

「10倍の目標」というスケールの大きなワクワクする「ビジョン」をチームメンバーと共有し、チームの各個人がユニークアビリティを発揮していくことで、「10倍の目標」の達成を目指していくのです。

共有する内容は、「10倍の目標」を達成するためのプロジェクトの目的、重要性、理想的な結果、成功の基準などです。

そしてプロジェクトは、あなたがチームメンバーと心からやりたいと思うことであることが大事です。それによってチームメンバーにあなたのビジョンを明確に伝えることができ、チームメンバーはそのビジョンに共感し、「10倍の目標」をチームで達成しようという意欲が湧き起こるからです。

チームを組んで「誰が」「何を」「どうするか」というレベルまで落とし込むのが「仕組み化」です。

仕事で10倍の成果を出しながら、時間にゆとりある生活を手に入れる

最後に参考として、私自身の事例の一つをご紹介しましょう。

これは、「10倍の目標」を達成するためにテクノロジーも活用した例であり、また組織ではなく個人でも外部の人とチームを組んで「10倍の目標」を達成した例でもあります。

私は以前、自社のコーチングプログラムやコーチの養成講座への集客のために定期的にセミナーを行っていました。しかし、その準備や運営に相当の時間や労力がかかり、セミナーを開催して売り上げは増えても、その分忙しくなってしまうというジレンマに陥っていたのです。

そこで「10倍の申し込み者数を増やす」という目標を立て、YouTubeのチャンネルでコーチングや仕事の生産性を高める方法に関する動画を発信することにしました。YouTubeで一度配信すれば、興味のある視聴者にいつでも見てもらえるからです。

私のユニークアビリティは「価値があると思うことを人に伝えること」で、動画の撮影に情熱を持って取り組むことができました。動画編集は「好き」でも「得意」でもないので、それをユニークアビリティとする外部の動画クリエイターに任せ、作業を仕組み化しました。

配信するまでは、セミナーの準備や運営のために毎月40時間ほど要していましたが、現在はYouTubeでの動画視聴が毎月800時間以上あり、その結果、セミナーを開催していた時よりも申し込み者数も10倍以上に増えました。

このYouTubeチャンネルは、2024年3月の時点で5,000人を超える方々に登録していただいています。そして、視聴者から「コーチングを学びたい」「プロのコーチになりたい」「仕事の生産性をもっと高めたい」と、当社のコーチングプログラムやコーチの養成講座への申し込みをいただいています。

毎月800時間以上のセミナーを行うことは不可能ですが、YouTubeを活用することで、長く働き続ける以外の方法で仕事の生産性を10倍以上にできるようになったのです。

「ユニークアビリティを活かしたチームメンバーの協力」に基づいた働き方によって私がビジネスで大きな成果を出せたように、皆さんも同じように仕事で10倍の成果を出しながらも、時間にゆとりある生活と豊かな人生を手に入れていただけたらと思っています。

著者プロフィール:名郷根修(なごうね・しゅう)

1978年生まれ、岩手県出身。現在はグループ合計年商180億円の医療分野の会社経営に携わり、世界最先端の医療技術や製品の普及に努めている。会社経営者などを対象に、事業を10倍にしながら自由な時間を生み出すことなどに特化したコーチングプログラムを提供している。