ついに16日に最終回を迎えたTBS系日曜劇場『アンチヒーロー』。長谷川博己扮する弁護士・明墨正樹と、野村萬斎演じる東京地方検察庁の検事正・伊達原泰輔との最終対決、さらにはパラリーガル・白木凛(大島優子)の寝返りの本当の理由、伊達原の忠実な部下だった緑川歩佳(木村佳乃)と明墨との関係……などさまざまな伏線が回収された物語を、プロデューサーである飯田和孝氏が振り返った(ネタバレを含む)。

  • 明墨正樹役の長谷川博己

12年前に千葉県で起きた糸井一家殺人事件で、容疑を否認しつつも裁判で死刑判決を受けた志水裕策(緒形直人)。志水の自白を強要したのが、当時さいたま地検時代に応援で取り調べを担当した明墨。後に冤罪の可能性に気づき、志水の無実を証明するため、当時証拠を捏造した伊達原を追い詰めようとするが、その強引なやり口で、証拠隠滅罪として逮捕。最終回では、伊達原との直接対決が描かれた。

終始優勢に物事を進める伊達原に一撃を食らわせたのが、木村演じる緑川だ。物語が始まったときから、視聴者の間では「緑川がキーマンになるのでは……」という声もあがっていた。その根拠となるが、名前に“色”が入っていること。

飯田氏は「2020年に挙げた最初の企画書の段階で、色に関することは含まれていました」と明かすと、第9話で大島演じる白木が、伊達原側についたような行動を見せる部分でも「“白”木という名前だから、あの行動はわざとだよね……みたいな視聴者の投稿も見られましたし、一つ作品を観る上で楽しんでもらえる要素になったのかなと思います」と語る。

こうした反響について「視聴者の皆さんは本当に裏を読むのがすごくて、そこで議論してくれるのが面白かった」と語ると「その上で、例えば『白木は絶対仲間であってほしい』とかキャラクターに感情移入してくださっているのを見ていると、いろいろな発見がありました」と作り手として気づきも多かったという。

4月15日に行われた「第2話最速試写会スペシャル舞台あいさつ」で、北村匠海はキャラクターの名前に“色”が入っていることを指摘し「戦隊モノ」というヒントを述べていたが、改めて名前に入っている色について、飯田氏は「明墨は分かりやすく白黒の曖昧な感じで“墨”。赤峰はやっぱりエネルギー、熱量のある人としての“赤”。(堀田真由演じる)紫ノ宮は、よりそこから冷静さを足したような感じだけれど、内にはみなぎる思いがあるという意味で“紫”。そしてこの3人の色を掛け合わせると、ドラマのテーマカラー(至極色)になるというのは設定としてありました」と語る。

白木の“白”、青山の“青”、桃瀬の“桃”の意味も明かす

さらに白木については「いろいろと含んでいそうですが、実は一番まっすぐな思いを持っているキャラクター。設定だと、すごくお嬢様だけれど、自分は型にはまらないというか反発してキャバクラに努めて、そこを辞めて事務所に……ということが企画書には書かれているんです。大島さんもそれを知っているのですが、一番純粋という面もあり“白”」と解説。

青山については「僕もまだつかみかねているのですが」と笑うと「青といってもスカイブルーから藍色に近いものまでいろいろある。いろいろな見方によって変わる……という意味合いがあります」と述べ、緑川については「緑ってナチュラルな感じ。どこにいても調和されるというか、一体化していくようなキャラクター。そんな意味合いが“緑”なのかなと」と説明する。

さらに、明墨、緑川を繋ぐ吹石一恵演じる桃瀬礼子については「このドラマのなかにおける愛の象徴。このドラマの軸となる人物で、そこから連想して“桃”という色になりました」と語っていた。