JR東海は14日、東海道新幹線で2026~2028年度に17編成のN700Sを追加投入すると発表した。あわせて技術開発を行っていた地上設備の検測装置を一部編成に搭載し、新幹線電気軌道総合試験車(ドクターイエロー)による検査を代替することも発表した。

  • JR東海が2026~2028年度にN700Sを追加投入すると発表

2026年度以降に追加投入するN700Sに関して、一部編成に営業車検測機能を搭載することで、「ドクターイエロー」が現在行っている検査を代替可能とする。2027年以降は「ドクターイエロー」による検査を取りやめ、営業車による検査に移行するとのこと。

新たな検測機能として、電車線設備の画像を解析して設備の異常を検知する機能、画像および点群データから軌道材料の状態を詳細に把握できる軌道材料モニタリング機能なども搭載。営業車両で「ドクターイエロー」と同等以上のデータを高頻度で取得でき、設備の安全性・信頼性が向上する。係員が現地で実施している検査業務の一部を代替可能とすることで、電気設備・軌道設備に関する保守作業をさらに省力化する。

  • 「ドクターイエロー」の機能を代替し、新たな機能も追加する(提供 : JR東海)

パンタグラフを監視する装置に画像解析機能を付加し、パンタグラフへの飛来物付着等を検知して運転士や指令所の係員に通知する機能も搭載。加えて、これまで本線走行中に車両故障等が発生した場合、一部の車両データを指令所等関係箇所へリアルタイムで伝送していたが、伝送する車両データを増やし、より詳細に車両状態を把握できるようにする。N700Sから導入したバッテリ自走システムを活用し、停電時に自然災害等の外部要因で運転できない場合、バッテリによって空調を稼働させる機能も新たに設ける。

環境負荷の低減にも取り組み、屋根部のみだった再生アルミ部材の適用範囲を車体側面の一部にも拡大。地上装置で実施してきた架線電圧を維持する機能を車両にも搭載する。整備作業の省力化も図り、車両整備の際に客室の座席を自動で転回させる装置を一部の号車に搭載する。グリーン車よりさらに上質な設備・サービスを備えた個室も導入される。

  • 自動座席転回装置を搭載(提供 : JR東海)

  • 個室も導入される(提供 : JR東海)

N700Sの追加投入計画として、2026年度に4編成、2027年度に7編成、2028年度に6編成の計17編成を予定。これにより、JR東海のN700Sは合計76編成となる。なお、既存のN700Sにおいて、今回投入するN700Sの飛来物検知機能を追加し、車両データ伝送機能を強化するなど、一部機能を追加する改造工事を実施するとのこと。