1人の女性が生涯に平均何人の子どもを産むかを算出した数値「合計特殊出生率」は、2023年に過去最低の1.20となり、都道府県別で最も低い東京都については、0.99と初めて「1」を下回りました。こうした最中、児童手当の拡充などを含む「改正子ども・子育て支援法」が、参議院本会議で賛成多数で可決・成立しました。

少子化に歯止めがかからない中、この改正法にはどのような少子化対策や子育て支援策が盛り込まれているのでしょうか。財源確保のための「支援金制度」や、支援金の1人当たりの負担額とあわせて、詳しく解説します。

  • 「改正子ども・子育て支援法」が成立 - 児童手当はどうなる? 財源確保で1人いくら徴収される?

■「改正子ども・子育て支援法」の内容とは

岸田政権の掲げる”異次元の少子化対策”を具体化した「こども未来戦略」には、少子化対策を集中的に行うための「加速化プラン」が盛り込まれています。

「改正子ども・子育て支援法」は、その加速化プランの施策を着実に実行するため、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化、すべての子ども・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育ての推進などに必要な措置が講じられています。

「改正子ども・子育て支援法」の主なポイントは、以下の通りです。

  • 「改正子ども・子育て支援法」のポイントまとめ

<児童手当>
2024年12月の支給分から所得制限が撤廃され、対象が18歳まで広がります。また、第3子以降は支給額が月額3万円に増額されます。これにより、第1子と第2子は3歳未満は月額1万5,000円、3歳以上18歳までは月額1万円、第3子以降は18歳まで月額3万円が支給されることになります。また、支給回数を現在の年3回(6月、10月、2月)から年6回(偶数月)に変更するとしています。

<ひとり親世帯を対象にした児童扶養手当>
2024年11月分の手当から、子どもが3人以上いる世帯の場合、第3子以降の加算額が第2子の加算額と同額に引き上げられます。2024年度額では、6,450円から1万750円になります(全部支給の場合)。

<妊娠・出産時>
市町村が妊婦であることを認定した後に5万円が支給され、その後、妊娠している子どもの人数を届け出ることで「妊娠している子どもの人数×5万円」が支給されます。また、子どもが1歳になるまで、親の国民健康保険料を免除するとしています。

<こども誰でも通園制度>
親が働いていなくても、3歳未満の子どもを保育所などに預けられる制度が創設されます。月一定時間の枠の中で、柔軟に通園できます。

<育児休業給付>
両親がともに育児休業を14日以上取得した場合、最長28日間は、育児休業給付を拡充して実質的な手取りが減らないようにします。

<時短勤務>
2歳未満の子どもがいて親が時短勤務をする場合、賃金の10%を支給する新たな制度を創設するとしています。

<ヤングケアラー>
家事や家族の世話を日常的に行う子どもについて、国や自治体による支援の対象とすることを明記し、対策を強化するとしています。

■2026年度から「子ども・子育て支援金」の徴収も始まる

今回成立した「改正子ども・子育て支援法」では、少子化対策の財源の1つとして、公的医療保険に上乗せで徴収する「子ども・子育て支援金」の創設も定められています。

この支援金制度による徴収は2026年度から始まりますが、1人当たりの平均徴収額(月額)は、2026年度は250円、2027年度は350円、制度の確立する2028年度は450円とされています。

ただし、この数字は子どもなど扶養されている人も含めた医療保険の加入者全体で計算されているため、実際の徴収額はこれよりも高くなることがあると考えられます。

また、徴収額は加入している保険の種類によっても異なります。いずれも2028年度の時点では、大企業に勤める人などが加入する「健康保険組合」が500円、主に中小企業に勤める人などが加入する「協会けんぽ」が450円、公務員などが加入する「共済組合」では600円とされています。

そして、自営業者などが加入する国民健康保険では、加入者1人当たり400円(1世帯当たり600円)、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度でも350円が徴収される見込みです。

ただ、扶養される人を除いた「被保険者」のみで試算すると、健康保険組合が850円、協会けんぽが700円、共済組合が950円となります。

なお、徴収は労使折半で行われ、事業主も同額を拠出します。支援金制度による徴収で、2026年度は6,000億円、2027年度は8,000億円、そして2028年度以降は1兆円を集める計画となっています。

政府の説明では、「歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより、実質的な負担は生じない」としています。つまり、賃上げなどの効果によって負担率は上昇しないということですが、実際、賃金があがるかどうかは企業・国民のおかれている状況によってさまざま。必ずしも、この説明通りにいくとは言い難いでしょう。

■国民の理解を得られるか

今回は、「改正子ども・子育て支援法」について、その内容や財源確保のための徴収額などを解説しました。

本格的な少子化対策に向けた第一歩となる「改正子ども・子育て支援法」ですが、公的医療保険からの支援金徴収については疑問の声があがっています。少子化対策や子育て支援の拡充は必須である一方、財源確保に向けてどのように国民の理解を得ていくのかは課題として残りそうです。