日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’24』(毎週日曜24:55~)では、『塀の外の死刑囚 “袴田事件”58年後の再審裁判』(静岡第一テレビ制作)を、きょう9日に放送する。

  • 『塀の外の死刑囚 “袴田事件”58年後の再審裁判』

1966年、静岡県旧・清水市で一家4人が殺害された事件で死刑判決を受け、今も死刑囚の袴田巌さん(88)。獄中から訴えた無実の声は届かず、昨年ようやく再審の扉が開いた。争点は事件から約1年2か月後に発見された衣類に付着した血痕の色。再審を決定した高裁は捜査機関によるねつ造の可能性を指摘している。

事件から58年、無罪の公算が大きくなる中、1人の人生を狂わせた捜査機関の問題、再審制度の課題を問う。

死刑判決に異を唱えた2人の元裁判官がいた。死刑判決を書いた熊本典道元裁判官は2006年、評議の秘密を破り 有罪の決め手となった「5点の衣類」の証拠はおかしいと会見で発言。判決を3人の合議で決めた際、自らは疑義を唱えていたことを明らかにし、その後袴田さんの無罪を訴え支援した。2018年、東京高裁の再審取り消しの際、発表の瞬間の熊本元裁判官の様子を独自取材。2020年、袴田さんの再審の行方を見届けられずに亡くなった。

再審開始を決定した村山浩昭元裁判官は2014年、再審開始と共に袴田さんを釈放する異例の決定をした。この決定を支えたのは証拠開示によってもたらされた新証拠だった。現在は、弁護士として活動しながら再審法の問題点などを指摘している。

再審請求人である 姉・ひで子さんは、33歳の時から母や兄と共に弟の無実を訴え続けてきた。母や兄が亡くなった後も、弟のために東京拘置所に通い続けたひで子さん。91歳となった今も全国を駆け回り、弟の無実を訴え続ける姿からから再審請求人の苦悩を描く。

長年の拘禁生活と死刑への恐怖から精神をむしばまれた巌さん。2014年の釈放後 姉と暮らし始めて10年経ったが、妄想的な言動が続いている。30歳で逮捕され、今や88歳となった姿から再審の在り方を考える。