公開初日を迎えたVシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』(監督:渡辺勝也)の舞台挨拶が7日、東京・新宿バルト9にて行なわれた。ステージには放送20周年を迎えた『特捜戦隊デカレンジャー』の主要キャスト陣がそろい、熱い視線と声援を送るファンの盛り上がりに応えつつ、20周年記念作品が無事公開された喜びを示した。

  • 左から林剛史、木下あゆ美、吉田友一、さいねい龍二、菊地美香、伊藤陽佑、稲田徹

『特捜戦隊デカレンジャー』は2004年から2005年にかけてテレビ放送されたスーパー戦隊シリーズ第28作。凶悪な異星人犯罪者(アリエナイザー)が巻き起こす不可解な事件を捜査し、人々の平和と安全を守る宇宙警察地球署の刑事(デカ)たちの活躍が、基本1話完結で描かれた。放送20周年という記念すべき年に、かつて力を合わせて戦った6人のデカレンジャーが悪人相手に大暴れする新作映画が作られ、ファンのもとへ届けられることは、キャスト全員の喜びだったようだ。

■『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』舞台挨拶にキャスト集結

ステージに現れたのはデカレッド/赤座伴番(バン)役のさいねい龍二、デカブルー/戸増宝児(ホージー)役の林剛史、デカグリーン/江成仙一(センちゃん)役の伊藤陽佑、デカイエロー/日渡茉莉花(ジャスミン)役の木下あゆ美、デカピンク/胡堂小梅(ウメコ)役の菊地美香、デカブレイク/姶良鉄幹(テツ)役の吉田友一。木下は5月15日に行われた完成披露舞台挨拶に出られず映像メッセージでの参加だったため、今回ひさびさにファンの前で6人のデカレンジャーが揃ったことになる。

さらに、宇宙警察地球署「シン・ネオデカベース」からデカレンジャーに指令をくだすボスことドギー・クルーガーの声を演じた稲田徹がサプライズで登場。エンディングテーマ「ミッドナイト デカレンジャー」に乗ってやってきた稲田は「どうも、ささきいさおです」といい声で軽くボケた後「稲田徹です。呼んでくださればどこへでもかけつけますよ!」と、強いデカレンジャー愛、ドギー愛を全身からみなぎらせつつ挨拶した。

MC(寺迫麿)から出た質問は「20年でそれぞれが成長したと思った、もしくは昔と変わらないのはどういうところは?」というもの。さいねいは「変わっていないのはバンの根っこにある正義感。正義って難しいもので、本当に自分が思う正義は正しいのか。見方によっては違う正義もあるんじゃないか。いろいろ考えますよね。今回、20年間ブレそうになりながらも、軌道修整を続けているバンを観てください」と、若き日から変わらない信念を貫きながら正義のために戦うバンの姿を表現できたことを、穏やかな表情で語った。

林は「テレビシリーズEPISODE.11でのホージーに『デカの誇りだ』というセリフがありました。あれから20年たっても、デカの誇りをしっかり持ち続けているホージーの姿が見られます。そして、誰よりもよく動いているホージーを観て『いい動きしてんじゃん』みたいに思っていただけたら嬉しい」と言い、クールかつ優しさに満ちた笑顔を客席に向けた。伊藤は「今回は、自分が親になって初めて演じるデカレンジャー。子どもたちが楽しめるよう、センちゃんが作品のやわらかいところを担う役割になれたらというプランで臨みました」と、今や一児の父となり、子どもの目線を今まで以上に感じていることを明かした。

木下は「昔と変わらず、ジャスミンは昭和のギャグを言っております。時代は平成を経て令和になっているのに、いまだ昭和をひきずっている感じですが、大人の魅力がアップしているかなと思います。でも、エスパー能力は衰えているかもしれません!」と、10周年記念作品『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』(2015年)で発揮した超能力の変化について言及した。また木下は「今回スピンオフもやっています。6月15日にTTFCで配信される『デカレンジャーwithトンボオージャー』よろしくお願いします!」と配信ドラマの告知をして『デカレンジャー』のキャラクターが別作品のヒーローとコラボするスピンオフに出てくることを明かした。

同じく『デカレンジャーwithトンボオージャー』に出演している菊地は「ウメコは相変わらず明るくてまっすぐなイメージだと、演じる私自身感じています。みんなが成長していく中で、ウメコはぜんぜん変わらないってことがいいのかなと。みなさまにどう届くのかが気になるので、ぜひお声を聞かせてください」と、昔も今も変わらないウメコの元気よさをアピールした。菊地の夫で、現在は高知市役所地域活性課で働いている吉田は「テレビシリーズのころのような、協調性が強いテツを演じることができた。仲間の刑事に翻弄されて、いろいろな目に遭いながらついていたりして……」と、ひさびさに今回のテツはいかにも「テツらしい」というべき、仲間にふりまわされる後輩ポジションでいられたことに喜びを示した。吉田はまた「高知でロケ撮影していただくからには、高知にデカレンジャーが行かなければ事件が解決しないようなストーリーにしなければ」と言って、高知ロケをぞんぶんに盛り込んだ撮影の日々をしみじみふりかえった。

稲田は「20年前はボスの『大人の貫禄』を出したいと思い、わざと大声で歌って喉をからしてから収録に臨んでいました。現在、ようやく自分の演じたいボスの声にたどりつけたかなと思っています」と、持ち味である渋い低音ボイスを出すべく努力をしていた過去と、確かな経験と実績を重ねた現在、納得のいく「ボス」を表現できるようになった自信を示した。

■さらなる「次回作」に向けてのアイディアは

さらに稲田は「これで『デカレンジャー』がおしまいだと、もったいない!」と、20周年記念作品が出来たからにはさらなる「次回作」も実現してほしいと強く要望。これを受ける形で、次に「もしも次回作があるなら、どんなところで、何をやりたい?」という未来に向けた質問がMCから飛んだ。

菊地は素早く挙手して「デカマスターVSおとどちゃん」を作りたいと宣言。おとどちゃんとは、今回の作品にも登場する高知県のマスコットキャラクター。デカマスターにチェンジするのは、われらがドギー・クルーガー。稲田はおとどちゃんとの「対決」を想像し「あいつと戦うのか……あいつ強そうだぞ(笑)」と、おとどちゃんのキャラの強さを高く評価しながら闘志をみなぎらせた。

林は「デカレンジャー6人の子どもを主役にした『デカキッズ』というのはどうだろう。宇宙警察の養成所に入った子どもたちが、俺たち親の背中を見て……」というアイデアを出して、親と子で一緒に楽しめるデカレンジャーを作りたいと意欲を示した。すると隣にいる木下が「そのときはぜひ、うちの息子をレッドにして!」と林に語りかけ、ニコリとほほえむ姿が見られた。

稲田は「王様戦隊キングオージャーに出演したとき、ロケに行かずして背景がいろいろ変えられる最新技術を体験しました。あそこ(バーチャルプロダクション)で撮影をすれば、地球以外の場所でも、どこでも行くことができます」と、銀河宇宙を飛び回る『デカレンジャー』の世界観を強く意識しながらコメントした。稲田の言葉を受けて、木下が「AIデカレンジャーっていうのもいいんじゃないですか。モーションキャプチャーによるCGで作品を作るので、私たち本人は出ないけど、ものすごく動ける!」と提案し、伊藤が「メタバース空間でのデカレンジャーは、いろんなアバターを使った戦隊……暴太郎戦隊に(笑)」とギャグを交えつつ夢を語り、実写と見間違うほどのCG技術が、SF特撮アクションドラマのイメージの幅を広げることをアピールした。

さいねいは「今まで宇宙の悪人とばかり戦ってきましたが、地球の悪者もジャッジメントしたい」と社会派ドラマ風味のあるデカレンジャーを提案し、吉田は「次もぜひ高知県を舞台にしてほしい。高知は車で30分という距離にきれいな海、山、川があり、渋滞がないのが特徴。ロケプランが組みやすいので、アクションドラマの撮影に最適です」と、高知市地域活性推進課職員として熱意をこめ、高知で映画&ドラマ撮影を行うことのメリットを全力でプレゼンした。

ここで、せっかくデカレンジャーが6人そろったのだからと、キャスト陣に「変身ポーズ」を披露してほしいとMCからリクエスト。稲田=ボスによる「バン、ホージー、セン、ジャスミン、ウメコ、テツ、行くぞ! デカレンジャー出動!」という頼もしい声を受け、さいねい、林、伊藤、木下、菊地が「SPライセンス」を、吉田が「ブレスロットル」を構えてチェンジの態勢に入った。さいねいの「チェンジスタンバイ」に5人が「ロジャー!」と応えた後、スピーディな「エマージェンシー デカレンジャー!」のポーズが決まった。その様子を間近で見た稲田は「カッコいいなあ、俺の部下たちは」と語って、ニヤリと笑みをたたえていた。

最後の挨拶でさいねいは「6人そろっての変身はこの先の予定になく、それに気づいたとき感慨ひとしおだなって思いました。貴重な機会を胸にしまって、映画も楽しんでください」と、感激しつつコメントした。続けて「みなさまにお願いがあります。6月9日に和歌山県(和歌山マリーナシティ)で『20周年デカフェス アニバーサリー・ステージ』というイベントを行うんです。そこで僕たちが20年ぶりに『ヒーローショー』をやることになりました。しっかりした台本があり、セリフもちゃんとあり、アクションもありまして、当然『変身』もします! いまのヒーローショーって20年前よりも技術的に進歩して、すごく面白くなっています。僕たちにとって最後になるかもしれない、このイベントをぜひ観に来ていただきたいです!」と熱く語り、9日の和歌山イベントにも期待してほしいと客席のファンに強く呼びかけた。