――誘拐という名のゲームを仕掛けていたつもりが、思いもよらないどんでん返しが待ち受けていたり……と、先の読めない展開になっていますが、亀梨さんご自身は自分の人生のハンドルは自分で握って完璧にコントロールしたいタイプですか?

僕はこう見えて意外と行き当たりばったりで生きている人間なので(笑)、そろそろちゃんと先を見据えて、計画的に生きた方がいいのかなって思い始めたところではあるんですよね。普段お料理をする時も、レシピ通り完璧に作るというよりは、まずはひと通り目を通した上で、作りながら「これも足してみようかな」って、自分なりにアレンジを加えていったりする方だから、「何が何でも計画通りきっちり進めたい」タイプではないのかも。こういう話をすると、「亀梨くんは自信があるんだよ」「裏を返せば、何が起きても平気ってことでしょう?」って言われたりもするんだけど、そういうわけでもなくて。

それこそ、僕らのようにグループに属して団体行動をしていく上では、自分の思い通りにいかないことの方が多いし、ましてや僕らは人並み以上に思いがけないことがあった方なので(笑)。イメージしてしまうと、それが上手くいかなかったときに受けるダメージが大きいから、ストレス回避のためにも何も期待しなくなった時期があって。それが今の自分の生き方のベースになっているところもあるのかもしれない。むしろ、自分の思い通りにならないことを、どう受け入れて、どう消化していくか――。っていうか、いくら思い通りに進めたくても、絶対思い通りになんて行かないんですよ!「いまのこのタイミングだとここにこういう影響が及ぶから……」って思いながら生きてきて、現在に至ってます(笑)。

――そうは言いつつも、先程からお話を伺っている限り、少なくともお仕事の面では入念に準備をされてから臨まれている印象を受けるのですが、年齢を重ねるにつれ、よりそういった傾向が強くなってきている実感はありますか?

だと思いますね。作品とか現場にもよるんですが、基本的には、求めていただいたことに対してどう返せるかなっていうのが、僕のスタンスとしてあるんです。自分がどう表現したい、自分をどう思われたいっていうことよりも、 何を求めていただいてるのかをまず自分の中でちゃんと理解して、落とし込みたいというのがあって。それこそ、もっと若い頃は、今以上に根拠のない自信があったんですが、最近はより多くの視点を持ちたいし、より多くの意見を取り入れたいなっていう。とはいえ、そのための叩き台として、「自分では何も用意しませんよ」ってことではなくて。提示してもらったからこそ言えることもあるだろうし、こちらが提示したからこそ、生まれる何かもあるし……そこのバランスは、本当に難しい。

たとえば、「笑ってください」って言われたとして、「あ! 言った通りに笑ってくれた!」「亀梨君、いい人!」なのか。別に僕自身が「いま笑う気分じゃないから」とかではなくて。「ここで笑いはいらなくない?」って、一回立ち止まって考えることも、大事だったりするんじゃないのかなって。結果、笑ったとしても、その時間は決して無駄ではないというか。正直な話、言われた通りに動くのが、一番ラクだとは思うんですよ。でも、僕の場合はこれまでそうやって生きてはこなかったので。アイドルなのに(笑)。時には我が出て「は?」って思ってしまうこともあったりする。それも事実。「物じゃねぇんだよ、人だから!」とか思いながら仕事をしていた時期もありましたけど(笑)、その辺りについての思考の角度も変わってきてはいて。やっぱり近年の方が、何をやるにしても共同作業をちゃんと楽しみたいなっていう思いはあるかな。まぁ、あんまり"面倒くさい人"にならない程度に、ね(笑)。

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