※後編では、NO.20(第20問)以降を掲載しています。NO.19(第19問)以前をお読みになりたい方は、前編をご購入ください。

はしがき

本稿は歴代の升田幸三賞、並びに升田幸三賞特別賞を次の一手形式で振り返ったものだ。 升田幸三賞は「新手一生」を掲げ、数々の新戦法を生み出した升田幸三実力制第四代名人の名にちなんで制定された賞。プロアマ問わず新手や妙手を指した者や、新戦法や新構想を編み出した者に与えられる。今年で30年目を迎えた升田幸三賞の歴史をたどると、進化を続けてきた将棋の歩みを概観することができる。ある戦型においてどちらかが優勢に傾いてくると、劣勢の側にそれまでの常識を打ち破るようなブレイクスルーが起こり、力関係が逆転する。すると今度は逆側に画期的な手法が現れる。例えば、四間飛車VS居飛車の戦いでは、居飛車穴熊が猛威を振るい、それに対して藤井システムが編み出され、さらに藤井システムに対してミレニアム囲いが開発された、という具合だ。そして忘れてはならないのは、これらのダイナミックな変化の裏にはいつも人間がいたということ。本稿で将棋戦法の変遷を追うと同時に、それらを編み出し練り上げた人々の思いや努力を感じ取っていただければ幸いである。
島田修二

本文中の棋士の肩書きは対局当時のもの。

NO. 20

  • 第20問

    第20問

●ヒント●

第17回は「超速▲3七銀戦法」で当時、奨励会三段だった星野良生五段が受賞した。登場以来、猛威をふるっていたゴキゲン中飛車への対抗策として脚光を浴び、現在でも指されている戦法だ。