古今フェラーリ40台が北野天満宮に参集|KYOTO スポーツカー・ヘリテージ・ギャザリング&パレード2024

京都・北野天満宮の境内には天神さまのお使いである牛が随所に鎮座しており、撫でることでご利益をあたえてくれる撫牛として崇められている。境内の撫牛はいずれも臥牛であるが、御本殿の蛙股に、境内で唯一の「立ち牛」がいることはご存じだろうか。

【画像】総勢40台の歴代フェラーリが北野天満宮にずらり勢揃い!(写真24点)

この木造彫刻の立ち牛がランボルギーニのエンブレムにそっくりだというご縁をきっかけに始まったのが「KYOTO スポーツカー・ヘリテージ・ギャザリング&パレード」であることは、昨年の同イベントのレポートでも紹介した。

ランボルギーニの50周年である2013年に始まったこのイベントは、年を重ねるごとに初夏の北野天満宮の風物詩としてすっかり定着している。イベントのテーマは毎年異なるが、基本的には新旧スポーツカーであれば参加可能だ。

北野天満宮と牛の関係から始まったことから、これまではランボルギーニがメインだったが、今年のメインテーマは「跳ね馬180度V12ミドの20年」。市販車では他に類を見ない180度バンクのV型レイアウトを12気筒で採用したフェラーリのモデル、365BBからテスタロッサ、F512Mまでなんと全モデルが参集した。このテーマは、開催日の5月12日、つまり512にかけたものであると同時に、365BBの本格生産が始まって 50年が経つことにも由来している。

今回はサブテーマ「ピッコロ・フェラーリの系譜」の参加車両も合わせて総勢40台の歴代フェラーリが境内に並べられた。

メインテーマの365BB、512BB、512BBi、テスタロッサ、512TR、F512M、サブテーマのDino 308、328、348、355、360、430、458、488、488ピスタ、F8トリブートや812スーパーファスト、さらにF40、そして330と最新のプロサングエが並ぶなど、1970年代以降のフェラーリのロードカーがほぼすべて揃った様子はまさに圧巻の一言である。

交通安全祈願を目的としたこのイベントでは、本殿での交通安全祈願に始まり、東門での参加車清祓い、神若会北野天神太鼓会による和太鼓演奏、能登半島地震被災地支援募金などがおこなわれた。

コンクール表彰式を経て、イベントのフィナーレは 白バイ先導によるパレードだ。主催者である自動車ジャーナリスト 西川 淳氏が1台ずつ車名を読み上げながら車両を送り出す。スタートする車両を待ち構える多くの観客の熱気がひしひしと伝わってくる。当初は消極的だったという地域住民も、今では毎年の開催を楽しみにしているという。

このイベントの開催意義を西川氏に聞いてみた。曰く、街中で開催することに意義があり、神社であれば誰でも自由に見てもらえる。そこから車好きが増えたら嬉しい、と。

老若男女は問わないが、特に子どもたちにとって原体験に勝るものはない。バラエティ豊かな歴代の名車をその目で見て、パレードではそれらの車両の動く姿や匂いを実際に五感で感じる。気さくなオーナーがとっておきのスーパーカーの運転席に座らせてくれたりもする。オーナー自身もきっとスーパーカーブーム当時の自分の嬉しい体験を今、子どもたちに還元しているのだろう。このような体験を通じて、将来の車好きが育っていくことは間違いない。

文:オクタン日本版編集部 写真:タナカヒデヒロ

Words: Octane Japan Photography: Hidehiro TANAKA