• 浜野謙太 (C)日テレ

近年は各局で連ドラ枠が急増し、ただでさえキャスティングの難易度が上がっている中で、ほかにも、月島琉衣、浜野謙太、吉川愛、曽田陵介、萩原護、宇野祥平、皆川猿時、伊藤健太郎、船越英一郎という、クセ者だらけの登場人物を演じるにふさわしい役者陣のブッキングに成功。「スケジュールの合間を縫って出てくださっている方がほとんどなのですが、内容の面白さを含めて、“これだったらやりましょう!”と参加してくださったので、本当にありがたいです」と感謝する。

顔合わせからクランクインまで、わずか10日。当初はセリフを覚えるのも苦労が見えていたそうだが、「脚本の高田(亮)さんと清水(匡)さんが急ピッチで打ち合わせして書いてくださって、2話の放送時点で6話ぐらいまで出来上がっているんです。なので早く台本を渡して、皆さんも先が分かった上で演じることができていると思います」とのこと。

それができるのは、脚本を担当するベテランの2人が数十年来の仲で、様々な作品を共に作ってきた関係値がある。「おかげで、役者の皆さんに台本の部分だけは苦労をかけないようにできていると思うので、あのおふたりに脚本を書いていただけたことも、運命だなとすごく感じています」と感激した。

タイトな期間も書き下ろしの主題歌を選択

ドラマの主題歌に、イメージに合った既存の楽曲を使用するケースは珍しくない。それでも今作は、タイトな準備期間にもかかわらず、ササノマリイに書き下ろしを依頼し、「窮鼠(きゅうそ)」がエンディングに流れている。そこには、どんなこだわりがあるのか。

「こんなに時間がない中で悠長なことは言っていられないはずなので、有り物の曲でも全然良かったのですが、ドラマは、主題歌とともに一緒に認知してもらうほうが、やっぱり大事だと思うんです。なので、ちょっと無理を言って作っていただきました(笑)」

ササノは「あらすじを見せていただいた時点で、“これは好きなやつだ…”となり、この作品に寄り添える曲を…と作らせていただきました。個人的な部分ではありますが、今回制作するにあたって“自分が楽曲制作でやってこなかったことをたくさんしよう”と追い込んでみました」と思いを語っている。

  • ササノマリイ

森本衝撃の商店街セット「何者だ!?」

撮影については、スケジュールの都合も考え、「スタジオで撮れるものは撮ってしまおう」という姿勢。そこで、ケーキ屋「恋の実」周辺の商店街の一角を、美術セットで建てた。森本は「街一個作ったのかと思いました。コンクリート敷いて、電柱も立って、電線も通って、それをこの期間で作ってるから、(美術スタッフは)“何者だ!?”と思っちゃいますよね(笑)」と驚きを隠せない様子を見せていた。

藤森氏は「普通だったら1話・2話の台本を作ってから美術打ち合わせですが、企画書の段階で“こういうものが欲しいんです”とご相談したので、美術スタッフの皆さんもこんな経験はないと思いますが、“何より一番大事なのは、ちゃんと放送できるということだ”という思いで作ってくれました」と振り返る。

  • スタジオに建てた商店街の一角 (C)日テレ

一方でロケを行う場合は、都内の商店街をメインに、その近場の公園などを利用。これにより、時短効果に加え、「本当にリアルなコミュニティで起こっていること」が映し出されている。