年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、会社員と公務員の年金についてです。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、会社員と公務員の年金についてです。

◆Q:公務員は会社員よりも年金が多いの?

「会社員よりも公務員のほうが年金が多いと聞きましたが本当?」(会社員)

◆A:公務員は、年金払い退職給付を受け取れるので、会社員よりも多くの年金をもらえます

2015年10月に、公務員が加入していた共済年金が、厚生年金に一元化されました。公務員が加入する共済年金は、厚生年金より優遇されているとして指摘があり、その「官民格差」を解消する目的で行われました。一元化される前の共済年金には、厚生年金にはない、終身で受け取れる職域加算として、独自の上乗せ加算がありました。

一元化されることで職域加算は廃止されましたが、その代わりに「年金払い退職給付」が新しく創設されました。一元化される前の職域加算は、自身での保険料の負担はなく、終身で受け取ることができましたが、年金払い退職給付は、加入者に一定の保険料負担があり、半分を終身年金、残り半分を有期年金(10年または20年のいずれかを選択)として受け取ることになります。

ちなみに2015年10月に行われた厚生年金の一元化前に共済年金に加入していた人は、加入期間に応じた職域加算分を受け取ることができます。

厚生年金にも、退職給付制度の一環として、会社の負担で公的年金に上乗せして年金を支給する仕組みの企業年金制度がありますが、全ての会社が導入しているわけではありません。

このように、公務員は年金払い退職給付や、厚生年金に一元化される前の加入者は職域加算が受け取れますので、会社員よりも年金を多くもらえるということになります。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

文=All About 編集部