決勝弾を決めた山田楓喜 [写真]=2024 Asian Football Confederation (AFC)

 AFC U23アジアカップ カタール2024・決勝が3日に行われ、U-23日本代表とU-23ウズベキスタン代表が対戦した。

 遂に今大会の王者が決定する。グループBに組み込まれたU-23日本代表は、4月16日に行われた初陣で、前半の早い時間帯に1人少ない状況に陥りながらもU-23中国代表を1-0で破り、白星スタートを切る。19日に行われた第2節ではU-23UAE代表を2-0で撃破。早々とグループステージ突破を決めたが、22日に開催された第3節ではU-23韓国代表に0-1で敗北。首位通過を懸けた一戦を落とし、2位で決勝トーナメントへ進んだ。

 25日に行われた準々決勝では、前半途中に退場者を出した開催国のU-23カタール代表に一時は逆転を許しながらも、延長戦で細谷真大と内野航太郎がゴールを挙げ、4-2で勝利。29日に行われたU-23イラク代表との準決勝では、細谷の2戦連発に加えて、スタメン入りを果たしたMF荒木遼太郎が追加点を奪い、2-0で激闘を制した。この結果、1996年のアトランタ大会から続く8大会連続の五輪出場が決定した。

 パリ行きの切符を掴んだU-23日本代表の前に決勝で立ちはだかるのは、オリンピック初出場を決めたU-23ウズベキスタン代表だ。今大会、グループステージを3戦全勝で首位通過すると、準々決勝でU-23サウジアラビア代表を2-0、準決勝ではU-23インドネシア代表を2-0で下し、決勝へ進出。ここまでの5試合で14得点無失点と圧倒的な強さを見せつけており、今大会の中で間違いなく最も安定感のあるチームだ。

 なお、両チームは2022年に開催されたU23アジアカップでも対戦。当時は準決勝で相まみえており、開催国のU-23ウズベキスタン代表が2-0で制していた。もちろんメンバーは若干異なれど、今大会に臨む大岩ジャパンの面々の多くが当時の敗北を経験しており、“リベンジ”を期する一戦とも言える。

 U-23日本代表が掲げるのは、現在はA代表でも活躍する遠藤航や浅野拓磨らを擁した2016年大会以来4大会ぶりの優勝。大岩剛監督は、準決勝から中3日で迎える決勝に向けて、スターティングメンバーを3名変更した。山本理仁と佐藤恵允が準々決勝のU-23カタール代表戦以来、藤尾翔太が第3節U-23韓国代表戦以来となる先発に戻ってきている。キャプテンの藤田譲瑠チマを筆頭に、高井幸大、松木玖生、細谷真大らは決勝トーナメントに入って3試合連続の先発に並んだ。

 試合はU-23ウズベキスタン代表が組織的な守備を武器に、ミドルシュートを中心にゴールへ迫る回数を増やし、U-23日本代表としては攻めあぐねる時間帯が続く。なかなか相手守備陣を崩し切ることができず、28分にはボックス手前の位置で相手の横パスをカットした佐藤が右足を振り抜くも、シュートは枠の外へ。結局、前半はこのまま終了。U-23ウズベキスタン代表が9本もシュートを放ったのに対し、U-23日本代表は佐藤のシュート1本しか放つことができなかった。

 後半に入っても試合に大きな動きは見られず、スコアレスのまま時間が経過。このまま終盤に差し掛かると、後半のアディショナルタイムは11分間と表示され、延長戦突入の可能性も脳裏をよぎる。そんななかで迎えた90+1分、遂に試合が動いた。

 U-23日本代表はピッチ中央付近で高井がボールを奪うと、そこから藤田、荒木と繋ぎ、ペナルティエリア手前の位置で山田楓喜が前を向く。山田が得意の左足を振り抜くと、相手の股下を射抜く一撃がゴールネットを揺らした。U-23ウズベキスタン代表にとっては今大会の初失点。山田の左足がU-23日本代表に勝利を引き寄せた。

 土壇場の得点でリードを奪ったU-23日本代表だったが、直後にクロスボール対応の場面で関根大輝のハンドが認められ、U-23ウズベキスタン代表がPKのチャンスを迎える。U-23日本代表としては最後の最後でピンチを迎えることとなったが、ウマラリ・ラクモナリエフが放ったキックはGK小久保玲央ブライアンが完全にコースを読んで弾き出す。“守護神”の活躍により、U-23日本代表が大ピンチを凌いだ。

 このまま11分間のアディショナルタイムでリードを守り切り、試合はタイムアップ。この結果、U-23日本代表が2016年大会以来、4大会ぶりの優勝を果たした。“五輪イヤー”は最高の滑り出しとなり、7月に控えたパリオリンピック2024へ向かうこととなる。

【スコア】
U-23日本代表 1-0 U-23ウズベキスタン代表

【得点者】
1-0 90+1分 山田楓喜(U-23日本代表)

【スターティングメンバー】
U-23日本代表(4-3-3)
GK:小久保玲央ブライアン
DF:関根大輝、木村誠二、高井幸大、大畑歩夢(90+4分 内野貴史)
MF:藤田譲瑠チマ、山本理仁(72分 川﨑颯太)、松木玖生(62分 荒木遼太郎)
FW:藤尾翔太(62分 平河悠)、細谷真大、佐藤恵允(72分 山田楓喜)

【ハイライト動画】優勝へ導いた山田楓喜の左足シュート&GK小久保の勲章のPKストップ