伊藤園は、お茶の未来を共創する拠点となる複合型博物館を、八十八夜の5月1日に東京都港区の旧新橋停車場に開設。開設当日に、そのグランドオープンを記念したオープニングセレモニーを実施した。
お茶の文化と「お~いお茶」、ふたつの博物館
本博物館は、喫茶習慣の変遷をテーマに「お茶の文化創造博物館」と「お~いお茶ミュージアム」の二つの博物館で構成される国内でも珍しい複合型の博物館。「お茶の文化創造博物館」は、お茶の歴史をたどり、製法や飲み方の変化、自然と誕生した喫茶習慣について考えるための博物館で、お茶を通じて日本文化を継承する役割を担う。一方、「お~いお茶ミュージアム」は、生活に寄り添い続けてきた「お~いお茶」に焦点をあて、これまでのあゆみや未来への取組みを伝えるミュージアムとなっている。
オープニングセレモニーに先立ち、伊藤園 代表取締役社長の本庄大介氏が登壇。日本の鉄道発祥の地である新橋に「お茶の文化創造博物館」および「お~いお茶ミュージアム」を開設できることに感謝の意を述べつつ、「この場所に恥じない、立派な博物館、ミュージアムの運営を行ってまいります」との意気込みを明かした。そして、伊藤園創業60周年および「お~いお茶」発売35周年の節目にあたることから、「目一杯、社員一同、全員で頑張ってまいりたい」とし、挨拶を締めくくった。
「港区にまた素晴らしい魅力的な施設が誕生しました」と話す港区長の武井雅昭氏は、「鉄道発祥の地である港区にとっても大変重要な場所」である旧新橋停車場について紹介。そして、高輪で発掘された「高輪築堤跡」とあわせて国の史跡として追加されたことに触れつつ「鉄道の歴史は大変重要であり、今の港区を語るうえで欠かせないものです。高輪築堤跡の出土品には土瓶もあり、鉄道とお茶は今も昔も大変親和性が強いもの」との認識を新たにした。さらに、国際理解教育を進めるにあたり、歴史や文化、風習をお互いに知り合うことは大事であり、自分の暮らす国の歴史や文化、暮らし方を正しく伝えることが重要との見解を示した武井氏は、「お茶の文化は日本人にとってなくてはならないものであり、それを学ぶことによって、より自分の国の理解が深まる」との期待を寄せた。
「鉄道とお茶は、旅のお供ということで機縁がある」と話す東日本旅客鉄道 代表取締役社長の喜勢陽一氏。もともと家庭内で嗜まれていた嗜好品であるお茶が、外出時のお供になったのは、鉄道の開業と同時期だという。「私どもの始まりの地と、伊藤園さんのミュージアムがこの地で共創できることは、非常に意義の深いものであり、この施設が日本の伝統文化をしっかりと後世に継承していくとともに、海外のお客様にも日本の文化を体感し、味わっていただける施設になるよう共創していきたい」との展望を明かした。
続いて、伊藤園のCMキャラクターを務める笑福亭鶴瓶さん、中谷美紀さん、市川團十郎さん、有村架純さんが和服姿で登壇。港区長の武井雅昭氏、東日本旅客鉄道 代表取締役社長の喜勢陽一氏、東日本鉄道文化財団 会長の清野智氏、東日本鉄道文化財団 理事長の田浦芳孝氏、伊藤園 代表取締役社長 執行役員の本庄大介氏、伊藤園 代表取締役副社長 執行役員の本庄周介氏とともに、新橋駅長の深谷康人氏の号令にあわせて、テープカットが行われた。
テープカットの後、CMキャラクターの4名と、お~いお茶ミュージアム館長の小原武秀氏が、「お茶の文化創造博物館」および「お~いお茶ミュージアム」のオープンを祝し、八十八夜にあわせて、新茶で乾杯。乾杯に使用された新茶は、静岡茶市場において最高値となった「高嶺の香」が使用された。
「俺、(出演しているCMが)麦茶なんですよ」と会場の笑いを誘いながら、「口の中に良い香りが残る」と新茶の感想を述べる笑福亭鶴瓶さん。普段からお茶を嗜んでいると言う中谷美紀さんも「透明度が高く、グリーンと言うより、白ワインやシャンパンのよう」と驚きの表情を見せる。一方、「お茶らしくない良さ。すごく深みの中にもうひとつの扉があるような感じの濃さ」と市川團十郎さんが絶賛すると、有村架純さんも「(色の)薄さと味があっていないギャップがすごく面白くて、より一層、特別な一杯という感じがした」と、貴重な新茶の魅力を表現した。
オープンに先立って館内を見学したゲスト陣だが、自身もSDGsなどに興味関心があるという有村架純さんは、「勉強にもなりますし、改めてリスペクトが生まれた」として、「アップサイクルコーナー」をおすすめポイントとして挙げた。一方、貴重な数々の展示物において「汽車土瓶」を懐かしむ笑福亭鶴瓶さんは、「駅弁もめちゃめちゃ美味しい駅弁がどんどん出てきているので、あの土瓶のやつも復活してもらいたい」との要望を口にした。
また、館内では中谷美紀さんが“お~いお茶”のCMに初めて出演した際の映像も放映されているとのことで、「私にもかわいい時期があったんだな」と照れ笑いを浮かべながら、当時の撮影風景を思い返す。また、貴重な展示物についても言及し、中国の明の時代の器について「よくこの状態で残っていたな」と感嘆の声を上げつつ、「本来な東京国立博物館で拝見できるような器が気軽にご覧になれます」とアピールした。そして、歌舞伎という伝統・歴史を受け継ぐ市川團十郎さんは、「日本の伝統文化が伊藤園さんのお力によって世界に広がっていくことが大変誇らしい」としつつ、「歌舞伎も(笑福亭鶴瓶)師匠の落語も、伝統文化をどうやって現代の皆さんに伝えていくべきかを、あらためて伊藤園さんに学ばせてもらった」と賞賛の声を送った。
「日本人は絶対にお茶から離れたらダメなんですよ」という笑福亭鶴瓶さんに対して、中谷美紀さんは、海外での抹茶ブームについて言及。「日本を訪れた海外の方が、こちらで歴史を学びつつ、抹茶を召し上がることも増えるのではないか」と期待を寄せる。市川團十郎さんは、「日本のことを海外の方が知っていただくのはありがたい」としつつ、「やはり我々日本人が日本のことを学ぶべき」であり、その環境として「お茶の文化創造博物館」および「お~いお茶ミュージアム」をあらためてアピール。そして、「おにぎりとお茶」の組み合わせを強く推す有村架純さんは、「より一層、お茶を知るために、こちらに足を運んで、やっぱりお茶っていいなとシンプルに思っていただくだけでもうれしいです」と笑顔で締めくくった。
お茶の文化創造博物館・お~いお茶ミュージアム
所在地:〒105-0021 東京都港区東新橋1-5-3
開館時間:10:00〜17:00(最終入場16:30まで)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日休館)、年末年始