[写真]=J.LEAGUE

 明治安田J1リーグで旋風を巻き起こしているFC町田ゼルビア、その攻撃をけん引する選手の一人が身長194センチの大型FWオ・セフンだ。清水エスパルスからの期限付き移籍で今季加入すると、前線での圧倒的な高さと強さ、献身的なプレーで今やチームに欠かせない存在となっている。

 J1における空中戦勝利数「89」は、2位のDF岡村大八(北海道コンサドーレ札幌)、FWウェリントン(アビスパ福岡)の「46」を大きく引き離して堂々の1位だ。小学校1年生でサッカーを始め、当時は「ボランチやセンターバックをやっていた」というオ・セフンのキャリアと今季の手応えについて語ってもらった。

取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)

――今季はここまで全10試合に出場して3得点1アシストを記録しています。FWの軸として活躍していますが、ここまでの充実度はいかがですか?
オ・セフン 清水では試合に出られない時期、途中出場が続く時期もありました。当時の経験も、いま試合に出場できていることも全てに感謝しています。今季はキャンプから良い準備ができていたので、試合に出場したら結果を残せる自信はありました。

――ご自身の武器をチームにどう還元できていると思いますか?
オ・セフン 空中戦や前線でチームのために戦うこと。まだまだ物足りない部分もありますが、それがチームのためにできることだと思っています。

――オ・セフン選手のご両親も身長は高いのでしょうか?
オ・セフン 父が192センチ、母が167センチ、兄も182センチなので大きい方だと思います。母は高校までハンドボールをやっていました。父は特にスポーツをやっていたわけではないですね。

――サッカーを始めたきっかけとポジション遍歴についても教えてください。
オ・セフン 兄がサッカーをやっていたので、それにずっと着いて行っていて小学校1年の時に始めました。昔はボランチやセンターバックをやっていたのですが、中3の時にFWにコンバートされました。中3の時点で身長は190センチあったので、当時の監督から「FWをやってみろ」と言われて、中学年代の全国大会で得点王にもなりました。

――韓国には歴代身長の高いFWの選手がいるイメージです。かつてはキム・シンウク選手、今ではチョ・ギュソン選手などが代表的な選手だと思います。
オ・セフン そうですね。身長を高い選手を生かすのは韓国サッカーの特徴的な戦術の一つだと思います。

――そのオ・セフン選手が「この選手には空中戦で敵わないな」と思った選手はいますか?
オ・セフン プロ1年目の時にキム・ミンジェ選手(バイエルン)と対戦しました。その時は本当に何もできませんでした。例えるなら“壁”ですね。その後、五輪代表の時の国際親善試合でブラジル代表と対戦して、ガブリエル・マガリャンイス選手(アーセナル)とマッチアップしました。すごいパワーでしたけど、彼のような世界トップレベルの選手を相手にしても、ある程度はできたので自信になりましたね。

――KリーグとJリーグ、自分の持ち味の出し方は違いますか?
オ・セフン 単純な空中戦の強さや高さだけで言えば、Kリーグの方が難しさを感じます。KリーグのDFはボールだけを見ているイメージです。JリーグのDFはポジショニングや競り合いの前に身体を当てるなどの駆け引きが上手い。Jリーグでプレーして、そういった駆け引きを学びました。

――一番の強みであるエリア内ではゴール、ボール、味方選手、相手選手をどう認識してプレーしているのでしょうか?
オ・セフン まずはゴールまでの位置を確認します。ゴールに近ければ近いほど、シュートを意識してプレーするようにしています。ゴールから遠いと感じれば、周りのチームメイトをどう生かすのかに重点を置くようにしています。周りの選手たちとはキャンプの時から時間をかけて合わせることができたので、それが良いコンビネーションにつながっていると思います。

――改めて町田のファン・サポーターの皆さんの声援はいかがですか?
オ・セフン ファン・サポーターの皆さんの声で勝つことができていると思います。声援があると、苦しい時でも一歩足が前に出る感覚があります。私の婚約者が毎試合来てくれるのですが、「だんだん声援が大きくなっているよね」という話もします。

――街で声をかけられることも増えましたか?
オ・セフン まだ一回ですけど「応援しています!」と声をかけられました。FC町田ゼルビアの歴史で忘れられない選手になりたいと思います!

――5月3日(金)第11節・柏レイソル戦への意気込みをお願いします。また当日は親子で楽しめるイベント盛りだくさんの“まちだ感謝祭”です。
オ・セフン 柏をはじめJ1には良いチームが本当に多いので、しっかりと準備をしたいと思います。怠らずに最高の準備をして、試合に臨みます。勝利のために全力でやり切るので、ホーム柏戦はたくさんの方にお越しいただければと思います。“まちだ感謝祭”、全員で盛り上げていきましょう!