そして根本氏は、吉高や柄本、“書の達人”である藤原行成役の渡辺大知らの書道の上達ぶりを称える。

「最近は皆さん、自分で『これは良くない』と思うことが出てきている。こっちからすると『OKです』というものでも、皆さんの目が上がってきて、これは良かった、これは良くないと、ご自分で判断できるようになっていて、それは一つの成長だと思います」

吉高に関しては、右手で書くことに慣れて、握り方が強くなってしまうという変化もあるだろうと予想するも、それも作家なっていく紫式部としてリアルさが出ると語る根本氏。

「今は和歌を書いていますが、物語を書くようになると小さい文字でたくさん書かないといけなくなるので、ギュッと持つ感じにもなると思いますし、持ち方が変われば、雰囲気もまとうオーラも変わってくると思います。今はまだまひろのかわいらしさがありますが、どんどん凛としてきて、リアルな執筆者のようになると、指にももう少し力が入る感じになるかもしれません」

すでに紫式部としてのオーラも感じ始めているという。

「美しさが出てきたなと。道長に対して志の話をするようになってから、オーラが出てきてすごくいいなと感じています。文でも漢文を書いて、教養で語り始めるようになり、頭の中に多くの書物が入っているんだなということが随所に感じられるようになり、いよいよ紫式部になっていくんだなと感じています」

平安時代を愛し、『源氏物語』のファンでもある根本氏。「身分の低い人とも出会いで、身分が高い道長の苦悩も知って、いろんなことがわかっていくと、いよいよ『源氏物語』のあのシーンのオマージュはこれかなとか、源氏ファンからすると、『源氏物語』を描いていないのに、随所に源氏を感じられるわけで、それがいずれ(『源氏物語』として)集結するんだろうなと思って見ています」と、一視聴者としても今後の展開に期待を寄せていた。

■根本知(ねもと・さとし)
埼玉県出身。大東文化大学大学院博士課程修了、2013年博士号(書道学)取得。大学で教鞭を執るかたわら、かな書道の教室やペン習字の講座を開く。2016年に初の個展を開催し、2019年にはニューヨークにて個展を開催。2024年の大河ドラマ『光る君へ』で題字と書道指導を担当している。

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