日本コカ・コーラは2月21日、自動販売機向けの決済サービスである「Coke ON Wallet」において、自販機に現金を投入する残高にチャージができる「自販機チャージ」を3月中旬から提供すると発表しました。全国の30万台以上という自販機で、手元現金やおつりをそのままキャッシュレス決済の残高としてチャージできることから、同社では「すべての人に一番身近なキャッシュレスサービスを提供する」(日本コカ・コーラ ベンディング事業部ディレクター永井宏明氏)とアピールしています。

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    日本コカ・コーラの自動販売機。デモのために自販機チャージに対応させています

Coke ONは、スマートフォンを使って自販機の商品購入などが可能な日本コカ・コーラのサービスで、飲料を購入するごとにスタンプが貯まって一定数が貯まると無料でドリンク引き換えができたり、自販機に触れずにアプリから自販機の飲料が購入できたり、決済手段としてクレジットカードやPayPayなどをあらかじめ登録しての決済といった機能が提供されます。

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    Coke ONアプリは、購入ごとにスタンプが貯まるなどの機能を提供

Coke ONの決済機能としてCoke ON Payがあり、各種コード決済やクレジットカードを設定できるほか、独自の電子マネー「Coke ON Wallet」も設定できます。自販機チャージはこのCoke ON Walletの残高として、自販機に投入した現金をチャージできるというサービスです。Coke ON Walletのリリース当初から想定されていたサービスで、今回正式に提供が発表された形です。

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    これまで、順次サービスを拡大。ダウンロード数も順調に拡大しています

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    Coke ON Walletは、日本コカ・コーラの自販機で使える独自電子マネーで、全国45万台の自販機で利用できます

自販機チャージでは、「現金チャージ」と「おつりチャージ」の2種類があり、現金チャージは自販機の現金投入口から投入した現金を、Coke ON Walletの残高としてチャージをする機能。手持ちの現金を電子マネー化することができます。

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    自販機チャージは2つのチャージ機能を提供します

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    現金チャージは飲料を購入しなくても、手持ち現金をチャージできる機能です

おつりチャージは現金でドリンクを購入した際に、おつりとして現金を返すのではなく、Coke ON Walletの残高としてチャージをするという機能です。現金で飲料を買っても、おつりで小銭が増えずにすみます。

Coke ONでは、飲料を買う際に自販機とスマートフォンをBluetoothで接続し、スマートフォン側に表示された飲料を選ぶか、自販機のボタンを押して購入する飲料を選択します。この段階で、Coke ONの「支払い変更/チャージ」ボタンを押すことで現金チャージが利用できます。チャージしたい金額分の現金を自販機に投入し、投入金額表示部に表示される6ケタの認証番号を入力すればチャージされます。

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    Coke ON利用には、アプリを起動して自販機に近づくことでBluetooth接続します

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    アプリ下部の「支払い変更/チャージ」ボタンを押します

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    「Coke ONマネー現金チャージ」を選びます

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    現金を投入すると、アプリ側にもその金額が反映されます

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    自販機に表示される認証番号を入力します

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    チャージが完了します

おつりチャージは操作手順が異なります。自販機で飲料を購入する場合、通常は「現金を投入してから自販機のボタンを押して飲料を選ぶ」という流れになりますが、おつりチャージを利用したい場合、Coke ONと自販機を接続してアプリの「現金/電子マネーで購入」を選んだ上で、「自販機のボタンを押して飲料を選んでから現金を投入する」という順番になります。

この「先にボタンを押してから現金を投入する」というのが「おつりチャージへの同意」という扱いになり、購入と同時におつりが出ない代わりにチャージされるという形になります。おつりチャージの場合は認証番号は表示されません。

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    おつりチャージは、購入方法として「現金/電子マネー」を選びます

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    先に自販機側のボタンを押すのが重要です

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    140円の飲料を選んで、200円を投入。当然、おつりは60円になります

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    通常通り購入となり、商品が出てきますが、おつりは出てきません。この時点で自動的に残高にチャージされています

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    履歴に自販機チャージの記録が残されます

なお、ボタンを押す順番を間違えるとチャージはされずにおつりが現金で出ますが、それを改めて現金チャージすれば、二度手間ではありますがチャージは可能です。いずれの場合でも、自販機チャージは1~2分ほどで残高に反映されるそうです。

コカ・コーラでは、Coke ON Walletの発表時から「小銭をデジタル化したい」と今回の仕組みを検討しており、開発を続けてきました。結果として全国に45万台以上というCoke ON Wallet対応自販機の内、30万台以上が自販機チャージに対応することになりました。古い自販機などで、一部自販機チャージへの対応ができなかったとのことですが、それ以外は数年をかけて順次自販機のソフトウェアアップデートをして、自販機チャージに対応させていく方針です。

Coke ONは、成長に陰りが見えていた自販機ビジネスの拡大を目指し、2016年4月のサービスを開始しました。2022年9月には4000万ダウンロードを突破。2024年2月には5200万ダウンロードに達しており、順調に拡大しています。アプリでの決済機能であるCoke ON Payの利用者も1000万人を突破して、キャッシュレス決済サービスとしては「有数の規模」(永井氏)だとしています。

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    日本コカ・コーラ ベンディング事業部ディレクター永井宏明氏

自販機のキャッスレス利用も増加し、Coke ON利用者の約6割がCoke ON Payを利用。さらに11%は自販機の電子マネー決済を利用しているそうで、あわせるとCoke ON利用者の71%はキャッシュレス決済となっていることから、「自販機のキャッシュレス化にも寄与している」と永井氏は言います。

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    Coke ONでは、現金を投入して飲料を購入してもスタンプを貯めることはできましたが、Coke ON Payの利用も拡大しているそうで、71%がキャッシュレス利用になっています

さらに今回の自販機チャージを提供することで、手持ちの現金を電子マネー化してCoke ON Wallet利用に繋げて、さらなる自販機の利用拡大を目指します。なお、Coke ON Walletは現状、自販機以外での利用や残高の現金化はできないため、現金をチャージした場合の利用シーンは、基本的に自販機での飲料購入に限られます。