2023年に創立60周年を迎えたランボルギーニ。昨年はプラグインハイブリッド車(PHEV)の新型フラッグシップモデル「レヴエルト」を発表するなど、電動化に向けた新たな一歩を踏み出した年となった。

電動モデルは日本で売れている? 2024年の新型車は? ランボルギーニ・ジャパンのダビデ・スフレコラ社長に話を聞いた。

  • ランボルギーニのPHEV「レヴエルト」

    ランボルギーニ・ジャパンは調子がよさそうだ…(本稿の写真は撮影:原アキラ)

電動ランボの売れ行きは?

――ランボルギーニの市販電動化モデル第1号となった「レヴエルト」ですが、日本での売れ行きはいかがでしょうか? 電動化によって、ランボの購入者層に何か変化がありましたか?

スフレコラ社長:レヴエルトはおかげさまで大成功を収めています。その理由としては純粋なパワーが挙げられます。つまり、V12の自然吸気エンジンと電動化した3つのモーターによるブーストです。その組み合わせによって、今まで通りのクルマを求める方とイノベーションを求める方の両方に魅力的に映っているのだと思います。

  • ランボルギーニ・ジャパンのダビデ・スフレコラ社長

    ランボルギーニ・ジャパンのダビデ・スフレコラ社長

スフレコラ社長:レヴエルトの目的というのは、今までとは違う顧客層にアプローチすることでもあるのですが、それは1番のゴールではありません。最大のゴールは、本物のランボルギーニのクルマを作ることなんです。これまでのモデルよりも、さらにパフォーマンスを上げるだけでなく、2030年の目標である「ディレッツォ コル・タウリ」(ランボルギーニの電動化の未来に向けたロードマップ)に沿って、生産の全体でCO2の排出量を減らすことが目的です。

今年の第1四半期か第2四半期の初めには、レヴエルトの第1号車が入ってくる予定です。日本の道を走り出すのは、すごくエキサイティングな瞬間になるはずです。

  • ランボルギーニ・ジャパンのダビデ・スフレコラ社長

    「レヴエルト」日本公開の様子

2024年はアフターサービスを拡充

――2024年の日本での活動について、新たな戦略はありますか?

スフレコラ社長:ランボルギーニのクルマというのは、創業者のフェルッチオが考えたように「ドリームカー」でなければいけません。そのコンセプトは、お店で注文し、納車を待っている時から始まります。エクスペリエンスはもちろんラグジュアリーなものでなければいけないので、ラウンジで幅広い色やサンプルを見て夢のクルマを作るというリッチな時間を味わったり、ランボルギーニから届くニュースレターを見たり、イベントに参加したりと、その時点ですでにランボルギーニファミリーの一員になったことを実感していただきます。

  • ランボルギーニ・ジャパンのダビデ・スフレコラ社長

    ランボルギーニは「夢のクルマ」でなければならないとスフレコラ社長

スフレコラ社長:納車が終わると、そこからアフターセールスが始まります。

今年は新たなワークショップを関東だけでなく関西、中部にもオープンします。そのためには、テクニシャンにも今まで以上にしっかりとしたサービスが行えるよう、トレーニングを積んでいただくことが必要です。イタリアからトレーナーが来ることもありますし、実は来週には、レヴエルトに向けたトレーニングのため日本のテクニシャンの多くをイタリアに派遣する予定です。

広々とした工場で、スキルの高いテクニシャンがサービスをするということも、エクセレンスの一部になりえます。アフターサービスのレベルアップには終わりがないので、常に常に改善することが必要です。今年はそこにフォーカスを当てる予定です。

日本にはランボルギーニのヒストリカルカーとか、正規ディーラー以外で整備しているクルマ、アフターマーケットパーツなどで改造を施している個体も多くあると思いますが、やはり、正規ディーラーで整備を受けていただければより安全ですし、良質なサービスが受けられます。豊富な純正アクセサリーを使っていただくことで、さまざまなカスタマイズもできます。長期的には、そのクルマの価値を高めるというメリットにもつながります。

電動ランボに「所有する価値」はあるのか

――「クルマの価値」という意味では、過去のV12とかV10の純エンジンモデルについては所有する価値、つまり、資産価値があると認めている方が多いと思いますが、一方で、これから出てくるフル電動のモデルなどには、それを見出しにくいという意見があります。そのあたりについてのご見解は?

スフレコラ社長:とてもいい質問ですね。私の本音の答えは、未来を見通すことができる“水晶の玉”を持っているわけではないので、本当に予測なんてできないと思います(笑)。

ただ、少し前までは「ハイブリッドのスポーツカーなんて無理でしょ」といった声がありましたが、実際にレヴエルトが大成功を収めているわけですから、チャレンジすれば、やっぱり道を開く方法はあるんだと思いました。

クルマの価値は、パワートレインだけに左右されるわけではありません。例えば、フル電動のコンセプトカー「ランザドール」も、お客様からは高い評価をいただいています。すばらしいデザインだったり、ライフスタイルのアピールだったり、つまりは、ブランドとしての価値を評価していただけているんだと思います。

本当に夢のクルマであり続ける限り、おそらく、欲しいと言っていただける方はたくさんいることでしょう。伝統に則りつつ、より速く、よりパフォーマンスの高いクルマを創り続けていくことが大切です。例えば小さな子供が大人になって、クルマが買えるようになった時にも、ランボルギーニがまだ夢のクルマであり続けていることが大事だと思います。私は本当に楽観的なので、そこには明るい見通しを持っています。

  • ランボルギーニ・ジャパンのダビデ・スフレコラ社長
  • ランボルギーニ・ジャパンのダビデ・スフレコラ社長
  • ランボルギーニ「ウラカン」とスフレコラ社長

スフレコラ社長:我々は、販売台数を増やすことを目標とはしていません。台数があまりにも伸びてしまうと、個々のオーナーに対する十分なケアができなくなる恐れがあるからです。ただ、日本にはスポーツカーが好きな方がたくさんいらっしゃって、需要も増えてきているので、3~4年先までは見通せている状況です。

――2024年に登場する新型車について教えてください!

スフレコラ社長:「ウルス」のハイブリッドモデルと「ウラカン」の後継モデルの2台は間違いなく入ってきます。日本はランボルギーニにとって世界第5位の重要なマーケットなので、アジアの中でも先駆けてお披露目することになるかと思います。

ウルスは今年の上半期を予定しています。おかげさまで、受注は堅調です。

ウラカンはおそらく下半期になると思います。まだ正式な予約注文を受け付けていないのですが、お店には問い合わせが入っていて、関心が高まっているようです。

ウラカンは日本でも大成功を収めていて、STO、ステラート、テクニカなど後期モデルの方が、前に出したモデルよりも人気となりました。ですから、後継モデルについても大成功を期待しており、その自信も持っています。