第38回民教協スペシャル『君たちと見たもの~全盲先生…魂の記録~』が、テレビ朝日で10日(10:30~)に放送される。

  • 新井淑則さん=テレビ朝日提供

■全盲の国語教師・新井淑則さんの姿追うドキュメンタリー

公益財団法人民間放送教育協会に加盟する全国33の放送局から企画を募集し、最優秀に選ばれた企画を1年かけて制作・放送するドキュメンタリー番組「民教協スペシャル」を、今年はテレビ朝日が制作する。今作は、両目の視力を失いながらも教壇に立ち続ける国語教師・新井淑則さんに密着。目が見えなくてもスラスラと黒板に字を書き、生徒全員の声をICレコーダーで覚え声だけでどの生徒かが分かるという教師の魂の記録となっている。

新井さんは大学卒業後、28歳のとき右目に網膜剝離を発症し失明。さらに34歳で左目も失明し視界が閉ざされた。両親や家族からの言葉で、点字の練習や盲導犬との歩行訓練など地道な努力を重ね、少しずつ日常を取り戻していった。そんな中、湧き上がってきたのは「もう一度、中学校の教壇に立ちたい」「見えないからこそ教えられるものがあるはず」という思い。

授業の合間、休み時間、放課後など気にかかる生徒がいれば声をかけ耳を傾ける。受験のこと、未来のこと。思春期の悩みと向き合ってきた。生徒たちは言う。「『できないことよりできることを数えなさい』という先生の言葉がすごく印象に残っている」と。教え子の中には、左手に障がいがある男子生徒がいる。「教職をかけて守るのは私の使命」、そう考える先生が伝えたのは障がいを隠さないこと。生徒は「左手のこと」「時には手伝ってほしい」ことを同級生皆に伝えた。教室で過ごす時間は、仲間を思いやる心を育んでいた。

教師になって37年、定年を迎えることになった先生。最後の授業で生徒に語りかけたのは「勉強より心が大事なんだよな……」というメッセージ。そして同僚たちへの挨拶で口にした「前例がない教師だったので頑張ってきたけど、いい父親、いい夫ではなかった」という言葉が意味するものとは。その後、先生との連絡が途絶えた。10カ月後に再会した先生は、ベッドに寝たきりで変わり果てた姿だった。余命宣告を受け、周囲との連絡を絶ち家族のもとを離れ療養生活を送る先生の、学校での取材では分からなかった心の内。再び絶望の淵に立っても、描き続けた夢とは。

ナレーションは、リリー・フランキーが務める。

【編集部MEMO】民教協とは
公益財団法人民間放送教育協会は、1967年、「放送を通じて教育の機会均等と振興に寄与すること」を目的に、文部科学省の認可を受けて設立された。それぞれの地域を代表する全国33の民間放送局で組織され、既存のネット系列をこえて全国をカバーできる民放唯一のネットワークとなっている。