日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’24』(毎週日曜24:55~)では、“エホバの証人宗教2世”たちの闘いを追った『人生を取り戻す~“JW”の家に生まれた私~』を、きょう21日に放送する。

  • 小松猛さん(左)と息子

2023年、親の信仰により子供の頃からムチをふるわれ、自由も時間も奪われてきた“エホバの証人宗教2世”たちが声を上げた。その中には、つらい経験を糧に失った時間を取り戻そうとする人たちがいた。少年の頃やりたかった音楽活動、求めていた温かい家庭…死ぬことばかり考えてきたが、夢を持てたことで初めて自分の未来を想像できた。番組では、教団の矛盾を社会問題として訴え続け、苦しんできた人を救いたいと、前を向き進もうとする宗教2世を追う。

エホバの証人は、「ハルマゲドンでやがて世界は滅びるが、エホバの信者だけは復活し楽園に行くことができる」という終末思想が根底にある。子どもへのムチ打ち、一般社会とのつながりを拒み、教えに反する者は排除する。輸血拒否という教義により多くの命が失われた。教義に苦しむ2世たちは、時間を奪われたと訴える。

小松猛さん(42)は、信者以外の女性と恋をしたことで、家族から交流を絶たれて20年。現在、再婚し3歳の息子がいるが、母からムチをされていた頃の自分と重ねることがある。大らかな妻の子育てに、自分には覚えがない母親像を見て驚きの毎日だ。今やっと温かい家庭を経験している。

さらに、信者時代にはできなかった「バンドで歌う」という夢を40歳になってからかなえ、精力的に活動する。良き理解者である妻は「音楽も子育ても、羽ばたいてますね」と見守る。小松さんは「教団から避けるよう言われてきた世の人がいつも支えてくれた。今が一番自分らしくいられて、幸せです」と語る。

夏野ななさん(仮名)は去年、「毎日、いつ自殺をしようか本気で悩んでいました」と会見で語った。父からのムチをうけ中学卒業を待たずに家出した。「友だちの家を泊まり歩き、公園で夜を明かしたこともある」という、その日を生きることに精いっぱいだったと昔を振り返る。そして、宗教2世や若年被害女性を支援する団体「スノードロップ」を設立。人を助ける仕事をしたいと勉強を始めた。生まれて初めて自分の未来像を考えるようになった。

弁護士の田中広太郎さんは、26歳まで有名なエリート信者だった。しかし、補償もないその日暮らしの生活に将来を考えるようになり、26歳で大学に行き、39歳で弁護士になった。母親の病気で輸血拒否の実態を知り、ウソだらけの教義に気づき完全に信仰を捨てた。今年、「被害者弁護団」を立ち上げ、「ゆがんだ教義にこそ罪があり教団組織の責任だ」と繰り返す。26年の時間を奪われたことに悔しさが募り、そんな人たちの受け皿になりたいと活動を続ける。

今年、エホバの証人2世たち声を上げた。中にはそれぞれ人生を取り戻そうする人たちがいた。今も苦しみながら生きている若い信者の救いの手になるよう生きる人たちの姿を追っていく。

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