左から山下敦弘監督、吉永秀平、齋藤潤、綾野剛、やべきょうすけ、チャンス大城。

和山やま原作による実写映画「カラオケ行こ!」の公開記念イベントが、本日1月18日に東京・カラオケまねきねこ渋谷本店で開催された。イベントには成田狂児役の綾野剛、岡聡実役の齋藤潤、唐田役のやべきょうすけ、銀次役の吉永秀平、尾形/キティの兄貴役のチャンス大城、山下敦弘監督が登壇。撮影時のこだわりなどが話されたほか、実際にヤクザチームのメンバーが歌唱を披露する場面も見られた。

物語の舞台でもあるカラオケ店で実際に行われた同イベント。登壇者たちの前にはチャーハンやポテトなどが置かれ、劇中のシーンさながらの状況で行われた。映画について観客から称賛の声が上がっていることに対して、綾野は「皆さんに温かく迎え入れてもらえてうれしい」と述べる。

狂児と聡実の関係性をどのように築いていったか聞かれた齋藤は、特に話し合ったわけではなく、撮影前のリハーサル時から綾野と時間をともにしていたことを明かす。綾野は「映画ではヤクザと中学生の噛み合わない状態を演じなければない。でもそれがうまくいってカットがかかると(これでいいのかなと)不安になるじゃないですか。そこで作品は皆で作っているものだから孤独じゃないんだよと、常になるべく近くにいるようにしていました」と述懐。やべも「ヤクザチームのメンバー全員、役者である以上は個人ではなく役として接しなきゃいけないことに難しさを感じていました」と明かした。

カラオケシーンでのこだわりポイントを聞かれると「『紅』のことしか考えていなかった」と綾野。「ほかの楽曲はフラットに、感情を乗せずに技術で歌うことができたのですが、『紅』に対しては(狂児の)圧倒的な愛、情念、敬意を感じました」と語る。役作りについても「日々『紅』を聴き作業することで、狂児は『紅』にどのようなシンパシーを感じていたのかを研究していきました。彼は裏声で曲全体を歌っていますが、本人も気づいていないんだと思います。圧倒的な片思いです」と述べた。

ヤクザチームの面々たちは、齋藤演じる聡実の「紅」に感銘を受けたと言う。齋藤は「あのときは精一杯すぎて何も見えていない状態でした。あそこは物語でクライマックスだったので自分の中で盛り上げないといけないというプレッシャーもあり、現場に入ってからは魂からの叫びを毎回出せたのかな」と話していた。

イベント後半ではヤクザチームによる実際の歌唱シーンも。やべはKing Gnu「白日」、吉永は桑名正博「月のあかり」をアカペラで披露した。また山下監督はチャンス大城が歌う米津玄師「Lemon」について、「本当はチャンスさん歌がうまいので、大きく外してもらうようにお願いしたんですよね」と告白。チャンス大城も「キーを+4ほど上げて歌ってくれと言われて驚きましたよね」と話し、その場で映画バージョンの「Lemon」を歌い上げた。

その後狂児が「紅」を歌う本編シーンが一部室内に映し出され、登壇者たちは口々に「いいよね」などと感想を語り合っていた。最後に綾野、齋藤、山下監督から締めの挨拶が贈られる。齋藤が「何回観てもいろんな見どころが詰まっていますし、たおやかで温かいシーンがたくさん詰まっています。改めて映画館に何度も足を運ぼうと思いました」と話すと、綾野が「一緒に行きましょうか」と誘う場面も見られた。山下監督は「撮影中に綾野くんとよく話したのは、この作品の軸は聡実くんの物語であるということ。できあがった映画を観て、我々の期待に対して聡実くん(齋藤)がお芝居で応えてくれており、その結果が皆さんの反応になっているのかなと。齋藤くんのがんばりや熱量はぜひスクリーンで観てほしいですね」と述べ、イベントは締めくくられた。