イタリアンパセリってどんなハーブ? 特徴や由来など

イタリアンパセリは、セリ科に属する二年生のハーブです。
このハーブは地中海沿岸が原産で、紀元2~3世紀からヨーロッパで食用として栽培されてきました。イタリアンパセリの葉っぱは普通のパセリと比べて、大きく平らで縮れていないのが特徴的です。

イタリアンパセリは、日当たりの良い肥沃(ひよく)な土壌を好み、栽培も比較的簡単です。料理では、その柔らかい葉と繊維質の茎は分けて使われ、特にイタリア料理では香味野菜としてスープやサラダなどさまざまな料理に重宝されています。加熱すると香りが飛んでしまうため、料理に使う場合は火からよけて、最後のアクセントとして使うと良いでしょう。

栄養面では、β-カロテン、ビタミンC、カルシウムを豊富に含み、食欲増進や疲労回復など健康にも良いとされています。

イタリアンパセリの栽培暦

イタリアンパセリの種まきに適した時期は、年に2回あります。春の種まきは3月~5月ごろ、秋の種まきは9月~10月ごろに行いましょう。気温が低いと発芽までに2~3週間かかることがあるため、発芽適温の15~20℃の暖かい時期に種まきを行ってください。

また、夏になると株元の葉が黄色く変色したり、枯れたりするので、摘葉して取り除きましょう。

イタリアンパセリの種まき方法

イタリアンパセリの種まきは、春と秋の2回行えます。
ただ、秋まきすると、翌春にトウ立ちしやすいので注意が必要です。

種まきの時期や押さえるべきポイントなど、わかりやすくまとめましたので、参考にしてください。

種まきの時期

イタリアンパセリの種まき時期は、春(3月~5月)と秋(9月~10月)の2回です。
発芽適温が15~20℃なので、霜が降りない暖かい時期に種まきしましょう。

種まきの方法・注意点

◯用意するもの
セルトレイもしくはポットやプランター
種まき培土

◯種まきの方法

育苗用のセルトレイや適切な容器を用意し、そこに土を入れます。土を軽く押さえて平らにします。

指先で土に軽くくぼみを作り、1カ所に2〜3粒の種をまきます。種をまいた後、土を薄くかぶせて、種と土が密着するように軽く押さえます。

発芽するまで、土が乾かないように管理しましょう。

◯注意点
プランターに直接まく場合は、株間を20センチ取りましょう。
また過湿状態になると種が腐ってしまうので、水の管理には注意してください。

イタリアンパセリの植え付け方法

イタリアンパセリの苗を植え付ける際に注意したいこと、方法や必要なものについて解説していきます。
鉢植えの場合と地植えの場合、それぞれ説明するので参考にしてください。

植え付け時期

イタリアンパセリ苗の植え付けは、4月~5月下旬までの暖かい時期に行います。
草丈10センチほどのサイズになっている苗を植え付けましょう。
市販のものを植え付ける場合、葉が青々としていて力強いものを選びましょう。

プランターの場合

◯必要なもの

植木鉢・プランター(底が浅く、幅広いものがオススメ)

ハーブ用の培養土

鉢底ネット

鉢底石

緩効性肥料

◯植え付けの方法・順序

植木鉢に、鉢底ネットを敷き、鉢底石を設置します。

培養土を8割くらいまで入れ、緩効性肥料と混ぜ合わせます。

鉢を揺らして土をならします。

植え付け穴を作り、苗を植え付けます。このとき軽く根の先端をほぐすと良いでしょう。

水やりをします。

◯注意点
鉢は通気性の良い素焼きのものを使うとよいでしょう。
また、鉢やプランターを置くときは、すのこやブロックなどの上に置き、通気性を確保しましょう。エアコンの室外機などの近くには置かないようにしてください。

地植えの場合

◯必要なもの

堆肥(たいひ)や腐葉土

ハーブ用の培養土

石灰

緩効性肥料

◯植え付けの方法・順序

植え付けの2週間前に土作りをします。堆肥と緩効性肥料を入れ、よくすき込みましょう。堆肥や肥料を入れた直後に植え付けをすると、根がダメになってしまうことがあるため、時間をおきましょう。

植え穴を掘って苗を植えつけます。株間は20センチ取りましょう。

たっぷり水やりをします。

株元に敷きわらなどを敷いて、乾燥対策と保温、雨の跳ね返り対策を行うとよいでしょう。

イタリアンパセリの栽培管理

イタリアンパセリ栽培における管理方法について、以下の三つに分けて詳しく解説しますので、参考にしてください。

・水やりの方法
・施肥の方法
・摘心・摘葉の方法

水やりの方法

イタリアンパセリは極度の乾燥を嫌う一方で、過湿状態も苦手です。
土壌の水分量は少なすぎず多すぎず、土の表面が乾いたら水をやる程度で管理するとよいでしょう。

地植えの場合は基本的に水やりは不要ですが、夏の暑い時期や乾燥が続く時期では、水やりを行います。
水やりは地植え・鉢植えともに朝夕の涼しい時間帯に行い、株が小さいうちや発芽間もない頃は霧吹きやジョウロなどで優しく水やりを行いましょう。

施肥の方法

◯元肥について
元肥は、植え付け時に与える肥料のことです。
植え付け前に行う土作りの際、緩効性肥料やボカシ肥料などを一握り入れ、よく土を耕しましょう。

◯追肥について
追肥は、栽培中に追加で与える肥料のことです。
1回目の追肥は、植え付けの2週間後に行います。
2回目以降の追肥は、2~3週間に1度行います。
追肥する際は、ボカシ肥料などを株元や畝の通路際に入れ、中耕も一緒に行うと効果的です。

摘心・摘葉の方法

◯イタリアンパセリの摘心
摘心とは、植物の主茎の先端部分を取り除くことで、側枝の成長を促し、より茂った植物を育てる方法です。イタリアンパセリの場合、トウ立ちした花芽・主茎の先端を摘むことで側枝の成長を促し、より多くの葉を収穫できるようになります。

◯イタリアンパセリの摘葉
摘葉は、葉を適切に収穫することで、新しい葉の成長を促す方法です。イタリアンパセリの場合、摘葉と収穫を兼ねて行いましょう。葉を収穫する際は、外側の成熟した葉から取り、中心部の若い葉は成長が続くように残します。こうすることで、継続的に新しい葉を作り出してくれるので、長期間にわたって収穫を楽しむことができます。

また、黄色く変色した葉や、病害虫の被害を受けている葉はできる限り早めに取り除きましょう。

イタリアンパセリの収穫

イタリアンパセリは種まきから約2カ月半後に収穫できるようになります。
収穫の適切なタイミングは、草丈が20センチ程度に成長したときで、葉が十分に成熟し、健康な緑色をしているときに収穫しましょう。

外側の成熟した葉から収穫し、中心部の若い葉は成長が続くように残します。
手でちぎるのではなく、はさみやナイフを使用すると、植物にダメージを与えずに収穫できます。
また、一度にたくさんの葉を収穫すると、株が弱ってしまいます。必要な分だけ摘み取るようにしましょう。

イタリアンパセリの植え替え

イタリアンパセリは二年草の植物のため、植え替えは不向きです。
あらかじめ、大きめのプランターなどで栽培するようにしましょう。

イタリアンパセリの増やし方

イタリアンパセリの増やし方には、種まきと挿し木の2種類があります。
ここでは、挿し木の方法について解説します。

◯挿し木の方法

イタリアンパセリの健康な茎を選び、切り取ります。

切り取った茎を清潔な水が入った容器に挿します。この際、茎の下部の葉を取り除き、茎の一部が水につかるようにします。

容器の水は毎日新鮮なものに入れ替えることが重要です。同じ水を使っていると、茎が腐ってしまいます。

挿し木した茎から根が発達するまで、明るく風通しの良い場所に置きます。

根が十分に成長したら、用意した鉢や畑に植え替えます。この際、根を傷めないように注意しながら植え付けます。

◯注意点
水挿しの際は、水が汚れないように注意し、定期的に交換することが重要です。
また根がしっかりと発達するまで待つことも重要です。根が十分に成長していないと、土に植え替えた後の生育が不安定になる可能性があります。

イタリアンパセリにつく害虫

イタリアンパセリは比較的病気や害虫に強い植物ですが、注意しなくてはいけない点も。
ここでは、イタリアンパセリにつく害虫について解説します。

アブラムシ

新芽に付着しやすく、放っておくとどんどん増えてしまいます。アブラムシを防ぐ方法としては、防虫シートの使用、銀色のシートを張る、牛乳や石けん水をスプレーするなどがあります。

ヨトウムシ

夜に活動的な害虫で、ガの幼虫です。葉に大量の卵を産むため、ふ化すると大量のヨトウムシが発生する可能性があります。苗を植えつけたら、防虫ネットを張って侵入を防ぐのが効果的です。

ハダニ

3月~10月ごろの比較的気温が高い時期に発生する虫で、葉に付着して白い斑点をつけたり、傷をつけたりします。ハダニは水に弱いため、定期的に葉の裏側に霧吹きなどで水を吹きかけると良いでしょう。

キアゲハ

アゲハチョウの一種で、幼虫はパセリに付着しやすい害虫です。幼虫が発生すると、葉を食べられてしまうなどの被害があります。防虫ネットなどで侵入を防ぐことが有効です。

まとめ

イタリアンパセリは草勢が強く、初心者でも育てやすい作物です。
イタリアンパセリに限らず、ハーブ類は種が小さく、発芽させるまでが大変です。
はじめての方は、苗からの栽培に挑戦してみるとよいでしょう。

本記事を参考にして、イタリアンパセリ栽培を楽しんでください!