あっという間に2024年がやってきました。年末年始は、みなさんどのように過ごされましたか? この時期は、美味しい物をたくさん食べたという人も少なくないはず。
ただ、そのおかげで気づいたら太ってしまっていた……なんてことも。そこで今回は、愛晋会中江病院の中路幸之助先生に、「正月太りのリセット術」を伺いました。すぐに実践できるものばかりなので、ぜひ今日から生活に取り入れてみてください。
■正月太りの対処法
まずは正月太りの対処法から。先生によると5つのポイントに分けられるそうです。順にみていきましょう。
1. 食生活を見直す
お正月はついつい家族など皆で食べることが多く、普段より「食べ過ぎ」になっていることも。そんなときは、食事の量を元に戻すように努めることが重要です。
またお正月に食べる「おもち」は糖質が高く血糖値が急に上昇、インスリン分泌が盛んになり、体重増加をもたらします(インスリンは血中の糖を脂肪としてため込む作用があります)。
これを解消するためには、野菜など食物繊維の多いものを先に、その後、肉や魚などのタンパク質の豊富な食品を、そして最後にご飯・おもちなどの炭水化物を食べるとよいでしょう。そうすることで急な血糖値の上昇を抑えられ、「正月太り」の解消につながる可能性があります。
2. 寒さから身を守る
今年は暖冬傾向でついつい油断しがちですが、体が冷えると代謝が低下し、体重の増加につながることも。そのため、体を冷やさないことが大切です。首や手足の末端をマフラー・手袋・靴下などで防寒し、暖かくして過ごしましょう。
また年末年始の忙しい時期でも、入浴はシャワーですませず、ぬるめのお湯にゆっくりつかるようにするのがおすすめです。あわせて、なるべく温かい飲み物を飲むようにしてみてください。
3. 体を動かす
「正月太り」の解消には「食生活の見直し」が主体ですが、食事だけでは十分ではありません。スポーツ競技などの特別な運動でなくとも、生活にエクササイズを取り入れるのをおすすめします。
通勤や移動にウォーキングを取り入れてみたり、エレベーターを使わず階段を使ってみたり、自宅で簡単なストレッチをするのもエクササイズの一つになります。
それも大変という人は、「立つ時間を増やす」だけでも効果的です。お正月はこたつに入り座ってテレビを見ている時間が多いですが、立つだけでもカロリー消費につながります。ぜひ一度試してみてください。
4. 体の余分な水分を出す
おせちは保存食が多く、続けて食べると塩分(ナトリウム)量が多くなり、ナトリウム摂取過多になります。ナトリウムを多く摂取すると体は恒常性を維持するため、体のナトリウム濃度を薄めるため体内に水分をため込もうとします。これが余分な水分となり「むくみ」を来します。
「むくみ」の解消には、「カリウム」摂取し、体の過剰なナトリウムの排出を促すのが効果的。この「カリウム」が多く含まれているのが「野菜類」です。塩分の取り過ぎでむくみが出る場合は、意識してカリウムの多い野菜類を摂取しましょう。
ただし、腎臓が悪いと言われる方はかかりつけの医師にご相談ください。
5. 夜間中心の生活を見直す
お正月シーズンはテレビ番組を見たり、深夜に神社などへお参りに行ったり……。「夜更かし」をし、睡眠時間が少なくなる傾向にあります。たしかに、お正月の醍醐味(だいごみ)とも言えますが、夜更かしは要注意。睡眠不足は基礎代謝の低下につながり、カロリー消費量が減って体重の増加につながります。
また最近の研究では、睡眠不足は食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌を亢進するとの報告があります。お正月休みでもなるべく決められた時間に起き、窓を開けて太陽光を浴び、しっかり朝食をとりましょう。
■体をリセットする食品・メニュー
正月太りに加え、胃もたれ解消になるメニューなども教えてもらいました。食べ過ぎて胃が疲れた人は、ぜひ次で紹介する食材や料理を取り入れてみてください。
1. 野菜の多く入っているお雑煮
体のリセットを急ぐとしても、いきなりは難しいはず。どんなに急を要しても"欠食"は、体のバランスを崩す原因となり逆効果です。まずお正月の定番であるお雑煮から工夫してみてはいかがでしょうか。
普段食べているお雑煮に多めの野菜をいれて、その野菜からよくかんで食べましょう。また、中にいれるおもちの量は控えめにしてみてください。そうすることで血糖値の上昇が抑えられ、ダイエット効果が期待されます。
2. かゆ料理
「お正月」は家で過ごす時間が多く、おせち料理を常につまんでいるなど「ながら食事」となり、胃腸への負担が増え「胃もたれ」を来します。胃腸を休めるために「おかゆ料理」を食べましょう。おかゆ料理をお正月明けに食べることは、カロリー制限にもなり、「胃もたれ」や「正月太り」の解消に有用と考えられます。
さらに、野菜をいれた「七草がゆ」は、野菜に含まれているカリウムなどのミネラルや食物繊維が、塩分の排泄の促進や血糖値の上昇を抑え、「正月太り」の解消を促すと考えられます。
3. 魚・肉料理、大根料理、豆腐料理
お正月は「おもち」など炭水化物中心の食生活となってしまっているため、食生活をリセットするには魚・肉からの良好なタンパク質の摂取は欠かせません。
また、大根は食物繊維が豊富で、でんぷんの消化を助け、よくかむことで満腹感を得られるだけでなく、胃もたれの解消が期待されます。
そのほか豆腐にはミネラル・ビタミン類が多く含まれ、同じタンパク源の魚・肉料理より低カロリーです。魚・肉を多く食べた人は、その代わりとして豆腐料理をとるのもよいでしょう。
すぐにでも取り入れられる手軽な方法もあったはず。体をリセットさせ、間もなくやってくる日常生活に備えてくださいね。
監修者 : 中路 幸之助先生
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター/米国内科学会の上席会員/日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医
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