第49期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は、挑戦者決定二番勝負第2局の広瀬章人九段―伊藤匠七段戦が12月26日(火)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの力戦を105手で制した伊藤七段が挑戦権を獲得しました。

中四日での決戦

勝った方が藤井聡太棋王への挑戦権を獲得する大一番。改めて振り駒が行われた本局は先手番を得た伊藤七段が相掛かりの出だしに誘導して幕を開けました。対する後手の広瀬九段は角道を止めて力戦模様を展開。雁木の陣を敷いて様子を窺います。

五段目に銀を繰り出して揺さぶった広瀬九段に対し、伊藤七段は左銀を出動させて堅実な対応。瞬間的に角の働きが弱まるものの、数手後にこの銀を8筋に移動して角筋を通したのが柔軟な対応でした。歩をかすめ取られてもこの銀が角頭の危機を緩和しています。

敗者復活戦から怒涛の4連勝

不満ない中盤戦を得た伊藤七段はここから伸びやかな指し回しでリードを拡大します。攻めると見せかけてじっと自陣を固めたのは後手から手がないのを見越した好手。感想戦の広瀬九段は「(どの変化も)まとめにくい」と非勢を認めるよりありませんでした。

終局時刻は19時10分、自玉の受けなしを認めた広瀬九段が投了。よどみない寄せで快勝を飾った伊藤七段が二番勝負を2連勝で乗り切り藤井棋王への挑戦権を手にしました。注目の五番勝負は2024年2月4日(日)に富山県魚津市の「新川文化ホール」で開幕します。

  • 記者会見で伊藤七段は「挑戦するからには自分が八冠を崩したい」と抱負を語った(写真は第52期新人王戦三番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)

    記者会見で伊藤七段は「挑戦するからには自分が八冠を崩したい」と抱負を語った(写真は第52期新人王戦三番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)