スタート1周年を迎えた動画配信サービス・DMM TVと、『エルピス―希望、あるいは災い―』『罠の戦争』などドラマでスマッシュヒットを飛ばすカンテレがタッグを組む。“復讐”をテーマにカンテレでは木曜深夜に1年間(4クール)放送し、DMM TVでは1年間独占配信する。
第1弾作品に選ばれたのは、きづきあきら+サトウナンキの同名コミックが原作の『極限夫婦』(1月18日スタート、毎週木曜24:25~ ※関西ローカル、初回は24:40~)。モラハラ、浮気、男尊女卑など、妻の尊厳を踏みにじる最低夫たちを妻たちがスカッと成敗する新感覚“アットホーム”復讐ドラマで、3組それぞれの夫婦の結婚生活の果てにある夫婦の極限状態と夫への断罪をオムニバス形式で描く。
カンテレといえば今年1月クールに放送された『インフォーマ』がNetflixで国内でテレビ放送に先駆け1週間先行配信され、同年3月17日から海外190カ国以上に全話一挙配信されたことでも話題になったが、DMM TVと1年間のタッグを組んだのはなぜか。DMM.com プレミアム事業部オリジナル制作責任者の久保田哲史氏と、カンテレコンテンツビジネス局専門局長の吉條英希氏を直撃した。
大資本の作品へのアンチテーゼとして…両者の思惑が一致
DMM TVがスタートしたのは、昨年12月1日。様々なコンテンツが配信されている中、オリジナル作品にも注力しており、DMM TVオリジナルドラマとして『ケンシロウによろしく』『EVOL(イーヴォー)』を制作している。実はそのサービス開始時から、カンテレはラブコールを送っていたという。
「うちは関西のローカル局なのですが、昨今は地上波ドラマが昔に比べて元気がなくなってきた中で、お金がかかるコンテンツであるドラマを作りにくくなったという状況がありました。関西ですとタイムテーブル的に気軽に見られるバラエティを予算的にもついつい作ってしまう面もあるのですが、やはりドラマも作りたい。ローカルだけれどその気概はありまして、より良質な作品を作りたいとの思いでDMM TVさんに会社としてお声がけさせていただいていました」(吉條氏)
その申し出は、DMM TVにとって大歓迎だった。
「近年外資系の配信サービスが破格の予算を投下してオリジナルドラマを制作し、地上波も以前にも増してドラマに力をいれています。そういった環境下で我々が勝ち抜いていくには、認知とアーカイブが重要です。しかもDMMらしさを出しながらパイプラインを整えるとなると、作品数を増やしていくのに時間がかかる。そんな中、カンテレさんの認知力、さらにはその制作力は非常に心強い。ぜひ一緒に組みたいパートナーでした」(久保田氏)
相思相愛。カンテレはフジテレビ系列で全国ネットのドラマ制作をしているが、どこかエッヂが立っており、ニッチなところを狙いつつの王道テレビドラマへのアンチテーゼな部分を感じさせる。フジテレビというステーションパワーが強大な局のドラマに負けないよう、攻めて攻めて、そして差別化しようという姿勢が、外資大資本の動画配信サービス群雄割拠の中で存在感を示そうとするDMM TVの指針とマッチして、今回の取り組みがスタートしたのだ。