女優の松本穂香が主演を務める読売テレビ・日本テレビ系スペシャルドラマ『自転しながら公転する』が14日(毎週木曜23:59~)から3週連続で放送される。2021年に亡くなった直木賞作家・山本文緒氏が手掛けた最後の長編小説で、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞受賞、2021年本屋大賞第5位など、文壇、書店や読者の一般層の双方から高い支持を得てきた等身大のヒューマンラブストーリーを映像化する。主人公の与野都(よの・みやこ/松本)は、30歳独身、契約社員。憧れだった東京を離れ、地元・茨城に戻ってきて悶々と過ごす日々で、優しいけれど経済的に不安定なアルバイト店員の羽島貫一(はしま・かんいち/藤原季節)と出会う。結婚に仕事に親の介護に、尽きることのない不安やたくさんの「リアル」が突きつけられる中で、2人の関係は深まって、時に離れてを繰り返していく。

今回は主演の松本に、今作の見どころや役どころについてインタビュー。松本は2023年について「日々自分を褒められたことを褒めてあげたい」と振り返る。悩みがちな性格だからこそ意識的に取り組んだという“褒めることの大切さ”とは。

  • 女優の松本穂香

    女優の松本穂香

■主人公を通して“30歳のリアル”を体験

――今作の台本を読んだ感想を教えてください。

私が演じる都は30歳なのですが、結婚や仕事、親の介護と、その世代のリアルな悩みが真正面から描かれている作品だなと感じました。

――都は26歳の松本さんより少し上の年齢ですが、その世代の悩みについてどう感じましたか。

私の地元に、結婚して出産している友達がいるのですが、26歳の私はまだ都ほど焦りを感じていなくて。役を通して、一足お先に30歳のリアルを体験させていただいた感覚です。

  • ドラマ『自転しながら公転する』より=読売テレビ提供

■藤原季節は「人間らしいあたたかみのある方」

――藤原さんとの共演の感想を教えてください。

季節さんとは約2年ぶりの共演でした。以前は舞台で、そのときも相手役としてお芝居をぶつけ合ったのですが、今回は相手を見ながら穏やかにお芝居を交わすことができたので、自分でも少し成長を感じられた気がします。季節さんはすごくまっすぐな方。「ここが勝負だ」というシーンが季節さんの中にあるみたいで、その撮影前にはまとう空気が変わるんです。でも撮影が終わったら、「ピリピリしちゃってたらごめんなさい」と声をかけてくれる、人間らしいあたたかみのある方です。

■どんな位置にいても焦って悩んでしまう性格

――松本さんから見た都はどんなキャラクターですか。

高校時代の友達に「いろいろと考えなきゃいけないんだよ」って急かされて焦っているだけで、都にとって将来のことはまだ自分の目の前に迫っている問題に感じられていない気がして。都のように、自分の内から出てきた焦りではなく、「30歳になったから、皆がこうだからこうしないといけない」と世間体や固定観念に焦らされているという方は多いんじゃないかなと思いました。

――松本さんにも、環境に焦らされるという経験があるんでしょうか。

お仕事をしている中で、少なからず焦りを感じることはあります。私より若い世代の方がどんどん出てきて、すごく実力もあって、活躍してるんだから自分ももっと頑張らないと、とか。学生の頃は、20代後半にもなるともっとしっかりしているんだろうなと想像していましたが、いざ自分がその年齢になると中身はそんなに変わっていなくて。時間だけがどんどん過ぎて、キャリアが積み重なっていって、それに伴って成長しなきゃいけないのに、そのスピードについていけていないと感じることがあります。

――時の流れが速く感じるのは、お仕事がたくさんあるからだともいえますし、結果はしっかり伴っているのでは。

おそらく結果に関係なく、自分がどんな位置にいても焦って悩んでしまう性格なんです。ちょっと立ち止まったときに誰かの一言が刺さって、いちいち受け止めてさらに考え込んでしまったり。自分でもそこまで深刻にならなくてもいいのにと思うのですが、悩みたくて悩んでいるような……もしかしたら悩むことが好きなのかもしれません(笑)。

――悩むことは、きっと向上心の現れでもありますよね。

かもしれないですね。素敵な先輩方からいつも刺激をいただいていますし、頑張らなきゃなと思わされる機会には恵まれています。