JR東日本盛岡支社は29日、盛岡支社管内における熊の影響について発表した。今年度は全国的に熊の出没件数が多くなっており、鉄道においても熊と列車の接触による遅延・運休を生じる事象が例年以上に多く発生している。

  • JR東日本盛岡支社管内で熊の目撃・接触件数が倍増しているという

2019年度以降、盛岡支社管内における熊の接触・目撃件数(頭数)は、2019年度が接触22件・目撃101件、2020年度が接触29件・目撃92件、2021年度が接触28件・目撃106件、2022年度が接触19件・目撃91件だった。これに対し、2023年度は11月20日の時点で接触67件・目撃173件。過去5年間と比較して約2倍となっている。

線区ごとの件数を見ると、山田線、釜石線、花輪線、北上線で多く発生している傾向にある。とくに2023年度は、花輪線において例年と比較しても突出しており、岩手県エリアで30件(頭数)、秋田県エリアで56件(頭数)となっている。

  • 2019~2023年度の線区別熊目撃・接触件数(JR東日本盛岡支社提供)

  • 2021年10月、山田線で熊による線路支障が発生(JR東日本盛岡支社提供)

2023年度、熊による列車運行への影響として、熊が接触して線路上を支障し、撤去まで列車運転見合わせとなった事象が4件発生(花輪線3件・北上線1件)。熊が接触して車両の一部の部品が変形し運転見合わせとなった事象が1件発生(大湊線1件)している。

熊の撤去は自治体・猟友会・警察等の協力を得ながら行っており、関係各所との調整によっては撤去に時間を要することもある。列車と接触後、数日間にわたり運転を見合わせる場合もある。なお、熊との接触・目撃が多い区間について、熊との接触防止を目的として、試験的に音の威嚇による警笛を鳴らす取組みも開始。花輪線湯瀬温泉~大館間の一部区間で実施している。