寒い冬に気をつけてほしいことの一つが、ヒートショック。そこで今回は、リンナイがお風呂ドクターの早坂信哉先生に依頼して作成した「ヒートショック診断テスト」と、ヒートショック対策を紹介する。

  • 「ヒートショック診断テスト」とヒートショック対策

■ヒートショック診断テストでチェック

ヒートショックとは、急激な温度差により血圧が急に上下し、失神や脳卒中、心筋梗塞などの疾患が起こることをいう。

それでは早速、早坂先生が監修した「ヒートショック診断テスト」を見ていこう。チェック数が2個以下の人は安心入浴、3個以上の人はヒートショック予備軍だそう。

□ 1. 風呂に入る前より風呂の後に水分をとる
脱水は血液の粘り気を増やし、血のかたまり(血栓)ができやすくなるそう。心筋梗塞を引き起こしやすくなるため、入浴前にもコップ1~2杯の水分をとるといいのだとか。

□ 2. できるだけ食後すぐに風呂に入る
食後すぐに入浴すると、本来消化器官に血液が集まるべきタイミングなのに、皮膚へ血液が集中し、消化不良の原因となるという。そのため、食後は1時間程度空けることが望ましいとのこと。

□ 3. 家族に声をかけずに風呂に入る
ヒートショックが起きると、意識を失って風呂でおぼれてしまう場合もある。異変に気付いてもらいやすいよう、入浴前には家族に声をかけるようにするといいそう。

□ 4. 風呂場が寒くても我慢する
血圧は急激な温度変化により乱高下する。光熱費上昇で節約意識が高まっているかもしれないが、健康のためにも入浴時は室温に気をつけたい。脱衣所とリビングの温度差は5℃以内がベストとしている。

□ 5. 風呂に入ったらすぐに湯船に浸かる
かけ湯で徐々に身体を慣らすようにすると、血圧の急激な上昇を防げるという。

□ 6. 熱々の湯船に浸かる
体温が上がりすぎて意識障害に陥る可能性があり、血圧も上昇するそう。

□ 7. 湯船から出るとき立ちくらみすることがある
めまいや立ちくらみは、急激な血圧低下によるもので、若い人でも起こり得るとのこと。立ちくらみで転倒して大けがをする場合もあるため、気をつけよう。

□ 8. 湯を張るときは湯船にふたをする
お湯が冷めてしまうと感じるかもしれないが、湯船のふたを外して湯を張ることで、浴室内の温度を上げることができるという。

□ 9. サウナに行ったら水風呂に入る
体温を上げた後、一気に水風呂で身体全体を冷やすと、若い人でもヒートショックの危険があるとしている。水風呂に入る場合は、手足からゆっくりと水をかけて身体を慣らすといいそう。

■風呂にまつわるヒートショック対策

診断テストの結果はいかがだっただろうか。同社が実施した調査では、ヒートショック予備軍が4割を占め、半数近い人が注意すべき状況であることがわかったという。そこで次に、早川先生が監修した風呂にまつわるヒートショック対策を紹介する。

1. 家中がヒートショック多発地帯

調査では、脱衣所・洗面室やトイレ、浴室など、あらゆる場所で冷えが気になる結果となったそう。家の中では入浴時だけでなく、トイレなどちょっとしたときにもヒートショックの可能性がある。そのため、冷えが気になったら1枚羽織る、スリッパを履くなど、気軽にできることから始めてほしいとしている。

2. 室温は最低18℃に

光熱費高騰は、暖房の使い方にも影響しているかもしれないが、WHO(世界保健機関)は冬の室内温度として、18℃以上を推奨している。特に、脱衣所や浴室の温度には気をつけるようにしよう。浴室暖房機がない場合は、湯張り中から湯船のふたを開けたままにするか、入浴前にシャワーを2~3分かけ流しすることで、少しでも浴室まわりを温めるようにするといいそう。

3. 入浴前の水分補給とかけ湯をルーティンに

脱水予防のためにも、入浴後だけでなく入浴前にコップ1~2杯の水分補給をすすめている。また、浴室が寒いとすぐに湯船に浸かりたいかもしれないが、まず手足の末端から身体の中心にかけて、かけ湯をすることを推奨している。

4. 風呂は身体にもお財布にも優しい40℃に

風呂の温度は40℃がおすすめ。この温度なら、血圧上昇も少なくヒートショック予防にもなるし、副交感神経を刺激してリラックスできるという。さらにお湯の温度を上げすぎないことで、光熱費の節約にもなるとしている。

5. サウナブームに警鐘、水風呂は無理せずパスを

サウナの効果の本質は「身体を温めることにあり、水風呂が主ではない」と指摘。水風呂による急な温度変化はヒートショックを起こす可能性もある。またサウナ後の水風呂で「ととのう」という考え方もあるようだが、苦手な方は無理をせずパスしてほしいとしている。

  • 早坂信哉先生

早坂信哉先生は、東京都市大学人間科学部学部長・教授、医師、博士(医学)、温泉療法専門医。風呂を医学的に研究している第一人者として知られる。『世界一受けたい授業』など多くのメディアに出演。主な著書に『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』(山と溪谷社)、『最高の入浴法』(大和書房)などがある。