俳優の高橋克実が、22日に放送されるテレビ朝日系ドラマ『相棒season22』第6話「名探偵と眠り姫」に出演する。高橋演じる“マーロウ矢木”こと矢木明が『相棒』に登場するのは12年ぶりとなる。

  • 左から寺脇康文、高橋克実、水谷豊=テレビ朝日提供

■根強い人気を誇るマーロウ矢木、『相棒』再々登場

再会2年目を迎える“伝説のコンビ”杉下右京(水谷豊)×亀山薫(寺脇康文)の新たな挑戦を描く『相棒season22』。このたび“右京×薫コンビ”と17年ぶりの再会を果たす、ハードボイルドに憧れる私立探偵・マーロウ矢木は、『season5』第10話『名探偵登場』(06年12月13日)でシリーズ初降臨。その5年後、『season10』第11話『名探偵再登場』(12年1月11日)で再び登場した。“冴えない中年探偵と思わせておいて、実はなかなかのキレ者”という設定がインパクトを残し、『相棒』ファンの間でも根強い人気を誇っているキャラクターだ。再々登場となる今回は、警視庁の情報提供フォームに「17年前の誘拐事件の犯人は、自殺ではなく殺された」という謎の密告が舞い込んだところから物語がスタート。その誘拐事件とは、当時5歳だった老舗デパート創業一族の令嬢が元従業員にさらわれたもので、犯人によって睡眠薬で眠らされていたことから通称“眠り姫誘拐事件”と呼ばれていた。幸い彼女はすぐに救出され、犯人の自殺で事件は幕を閉じたが、真相は他殺なのか。しかもなぜか、情報提供者は「特命係 杉下右京殿へ」と右京を名指し。まるで挑戦状のような密告を受けて調べはじめた特命係は、美しく成長した令嬢が婚約お披露目パーティーを前に失踪したことを知る。しかもどうやらマーロウ矢木が令嬢を連れ出したらしいことが判明し、特命係と名探偵が再び出会うことに。

■高橋克実(矢木明 役)コメント

――およそ12年ぶりの出演ですが、オファーを受けたときのお気持ちを教えてください。

単純にめちゃくちゃうれしかったですね。今年は舞台で(水谷)豊さんや寺脇さんと4カ月間ほどご一緒していて、それがあまりに楽しかったので、終わった途端に「明日からどうしよう」とロスみたいな気持ちになっていたんです。そうしたら、久しぶりに『相棒』に呼んでいただき、“うわぁ~2023年は最高の年だな!”って大喜びしました。よくよく考えたら、右京×薫のコンビに会うのは17年ぶりで、そんなに前だったんだ……とちょっとビックリもしました。

――今回の脚本を読んだ感想を教えてください。

以前は単独行動が多くて特命係を引っかきまわす役どころだったのですが、今回は前の2本よりも2人とご一緒するシーンが多くてうれしかったですね。演じるにあたって、マーロウ矢木がまとう“空気感”は貫かねばという思いがあり、以前の作品を見返しました。彼は優秀な男ですが、その部分はあまり見せず、かといってズッコケるわけでもない。カッコよさを追求し続ける人物なんですよね。

フィリップ・マ―ロウに憧れ、出で立ちも同じという矢木のキャラクターは、1作目の「名探偵登場」の演出を担当された、故・長谷部安春監督がほとんど作ってくださったんですよ。長谷部さんは数々のアクション映画や『探偵物語』など往年の名ドラマを撮った、偉大な監督。そんなスゴイ方が撮影中、僕のところに来ては、いちいち帽子のつばを直してくださいましてね……。だからこそ僕自身、矢木には入れ込んだ覚えがあり、忘れられないキャラクター。2回演じられただけでもうれしかったのですが、こうやってまた縁ができたのは本当に感無量です。

実は、今回着用したコートは17年前の「名探偵登場」から使用してきたものなんです。奇跡的に残っていたんですよ。帽子はさすがに見当たらなくて、当時と同じ色と形のものをスタッフさんが探してきてくださいました。

――水谷豊さん、寺脇康文さんとの久々の共演はいかがでしたか?

変かもしれませんが、テレビで『相棒』を見ているみたいでした。メークのとき普通におしゃべりしていても、豊さんが眼鏡をかけて部屋から出てきた瞬間、完全に右京さんになっているんですよ。さらに、寺脇さんがMA-1を羽織った瞬間、お2人からものすごいコンビ感があふれ出てきて、これはさすがだなと思いました。

あと、お2人は現場でのあり方が素晴らしいんです。豊さんも寺脇さんもそれぞれ朝、スタッフのみなさん全員に順番に挨拶するのですが、あれで現場のテンションがぐんと上がるんです! 本当にマジックを見ているようでしたよ。

――視聴者のみなさまにメッセージをお願いいたします。

自分としては、昔のままのマーロウ矢木として再々登場した気持ちです。あのころと変わらないように演じたつもりですが、いかがでしょうか! 時間は経っていますが、豊さんも寺脇さんも変わらないので、そのあたりをいちばん見ていただきたいですね。

【編集部MEMO】
ある日「特命係の杉下右京(水谷豊)』の名指しで匿名の情報提供が。それは、「17年前に起きた当時5歳の少女の誘拐事件の犯人は殺された」という投書だった。問題の事件は、老舗デパート蔵本屋の令嬢・蔵本里紗が睡眠薬で眠らされて連れ去られた経緯から、週刊誌が“眠り姫誘拐事件”と煽り、世間の耳目を集めた事件だった。結局被害者の少女はすぐに救出され、犯人は投身自殺を遂げるという幕切れだったが、今回の情報提供はその顛末に一石を投じるものだった。挑戦状とも取れる投稿を受け、捜査に乗り出した右京は、亀山薫(寺脇康文)と共に蔵本屋の関係者のもとを訪れる。一族は丁度、里紗の婚約発表を大々的に行うために顔をそろえていた。しかし会場のホテルでは、肝心の里紗が何者かの手引きで会場を抜け出し、姿を消すという騒動が。防犯カメラの映像から、里紗の脱出を手助けしたのが、特命係と浅からぬ因縁がある私立探偵のマーロウ矢木(高橋克実)だと気づいた右京と薫は、早速、彼の事務所を訪れる。