幕張メッセで11月8~10日に開催される「第8回 鉄道技術展」にJR西日本グループが出展し、社会課題解決に向けた「オープンイノベーション」の実例を展示した。東洋紡と「エスコンフィールド HOKKAIDO」の課題解決に向けた取組みを紹介している。
JR西日本グループは、各社が持つ技術やノウハウを活用し、鉄道という枠を超えて世の中の課題解決を果たす「アウトバウンド型のオープンイノベーション」を推進している。さまざまな企業にJR西日本グループがアクセスし、課題を聞いた上で、自社技術を他社の課題解決のために活用してもらう取組みを実践しているという。
■屋根の状態を判断する技術を不織布の検品に
鉄道車両の外観を検査するシステムにて、JR西日本はAIを活用している。屋根上を検査する画像解析AIのモデルを応用し、不織布の検品作業に使用している。
東洋紡では、不織布生産ラインの検品工程において、製品の表面上にある傷やごみなどの品質確認を係員が目視で最終チェックしており、この工程に多大な労力と時間がかかっていた。加えて、検品の精度を向上させることも必要だった。そこで、JR西日本グループがAIを活用した検品ソリューションを提供。実証実験の結果、目視検査数を90%削減し、作業時間を年間1,000時間削減できることが見込めるようになった。
検品精度向上のために、データを蓄積する機能や再学習の機能を持っており、修正が容易になっている。2023年10月から東洋紡のグループ会社である東洋紡エムシーの岩国サイトで本採用された。なお、JR西日本グループはAIの入ったパソコンとモニタのみ提供しており、その他のものは提供していないという。
■ビーコン技術を新しい球場に
北海道北広島市に今年オープンした「エスコンフィールド HOKKAIDO」では、JR西日本グループのビーコン技術を清掃職員の動線を分析するために使用している。球場内における効率的・効果的な清掃オペレーションの確立をめざすため、この技術を導入した。
ビーコンとその電波を受信するスマホアプリの組み合わせで、接触データを蓄積・可視化するシステムを適用することで、清掃職員の動線を可視化し、分析できるようにした。どう動いているか、どう掃除をしているかを「見える化」することで、適正に人員を配置できるようになったという。野球の試合の進み具合によって、人員の適切な配置は異なるため、それへの対応が容易になるとのこと。
「エスコンフィールド HOKKAIDO」では、可動屋根の開閉時に係員を配置していたが、安全確保のために画像解析のAIも活用しているという。JR西日本グループは自社技術を広めることで、社会課題の解決に取り組もうとしている。