BPO青少年委員会は、10月24日に行った会合で、旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長による性加害問題に対する“マスメディアの沈黙”について、前月に引き続き議論した。

BPO事務局が入る千代田放送会館

BPO事務局が入る千代田放送会館

■民放キー局の検証番組に意見

今回は、ジャニー氏が多数の未成年のタレントに性加害を繰り返していた問題について、BPO、そして青少年委員会としてできることはないかとの観点から意見交換が行われた。

ある委員は「この問題が長い期間かけて起きてきたことを考えると、(BPOが)きちんとした企画を長いスパンで考えることも必要だろう。子どもの人権、とりわけ男の子を性加害からどうしたら守れたのかを考えなければならない」と主張した。

複数の民放キー局が検証番組を放送したことを受け、別の委員は「報道して来なかったのは『当時(1980~90年代)は、男性の性被害について意識が弱かったから』としているものが多く見られたが、当時の児童福祉法でも18歳未満の子どもに性的なことをすれば処罰の対象だった。そこに焦点を当てた検証はあまり見られなかった。児童虐待の観点で真剣に考えるべきだということを言うべきだ」と述べた。

また、ほかの委員は「この巨大な性加害が何十年も放置されてきた背景には、放送局がビジネスをやる上で、ここ(旧ジャニーズ事務所)とことを構えるのは損だという構造的な問題があった。忖度が生まれた背景まで切り込まないと、また同じ轍(てつ)を踏むことになるが、具体的に何をやるべきなのか」と指摘。こうした議論を踏まえ、次回の会合でもこの件について議論を続けることになった。

■「所属タレントは加害者ではない」「偏向報道だ」

また、9月後半から10月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見について、担当委員から「この間の意見は、芸能事務所創立者(故人)の性加害問題に関するものが大半だった。9月後半は、同事務所所属のタレントを番組に出演させることや、性加害を連想させるような番組タイトルを続けることへの批判が多かった。10月前半は、『所属タレントは加害者ではない』として、これを擁護する意見も増えてきていた」と報告。

その中で、昼のバラエティ番組で「芸能事務所経営者がハワイで豪遊」との週刊誌報道をそのまま紹介したところ、「偏向報道だ」とする視聴者意見が寄せられた。これについて、担当委員は「番組がみずから取材して『豪遊』としたのではなく、週刊誌の記事や見出しを持ってきただけだった」として、番組側の事実のとらえ方が問題だったという見方を示した。しかし、これ以上の議論になる番組はなく、「討論」に進むことはなかった。