神奈川県大磯町とNTT東日本 神奈川事業部は11月2日、大磯町役場にて、「災害に強いまちづくりの実現に向けた連携協定」を締結。締結式には、大磯町 町長の池田東一郎氏とNTT東日本 執行役員 神奈川事業部長の相原朋子氏が出席した。
近年、急激な気象の変化などから発生する災害が突発化、頻発化している。激甚的な災害がいつ発生するかわからない状況にある中、大磯町では災害時の応急対策の円滑化を図り、災害時に迅速な対応ができる組織体制を確立することを目的として、NTT東日本と連携協定を締結。
「当町が被災した際、町民の皆さんにとって役場が役に立つ場所として、いついかなるときも業務を継続できる体制づくりが必要であると常々感じていた」という池田町長。今回、東日本大震災で被災した東北地方の各自治体と連携するなど、防災に対して最先端の取り組みを進めるNTT東日本と協定を締結。災害時のリスクを平時から分析することで、行政の災害対応能力を向上させ、災害からの復興力を高めることで、行政機能の継続性を強化し、町民が安心して暮らせる“大磯スタイル”の防災、すなわち“災害に強いまちづくり”に繋がることに大きな期待を寄せる。
NTT東日本は、これまでに「山梨県北杜市」「宮城県亘理町」「置賜地域3市5町(山形県米沢市、長井市、南陽市、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町」と、災害レジリエンス強化に関する協定を締結。大磯町との締結が4例目となり、神奈川県内の自治体としては、今回の大磯町が初めての事例となる。
これまでから通信会社として、電話やインターネットなどの社会インフラを維持し、ICT基盤を整備することに尽力してきたというNTT東日本の相原氏は、ICTの進展やコロナ禍によって、様々な状況が変化している中、「災害対応力も今の時代にあった形で、どんどん見直していかなければならない」との見解を示す。いざ災害が起こったときではなく、平時からしっかりと対応を考えていくレジリエンスの向上について、大磯町と一緒に検討する機会を得たことに感謝の意を述べる。
大磯町の未来を支え、町民と一緒に地域の価値をより高めていくためには、安定した町を運営する職員の業務を支えることがNTT東日本の責務とし、今回の新たな取り組みに対しても、「しっかりと協定に沿って、私共の責任を果たしてまいりたい」と、決意を新たにした。
“災害に強いまちづくり”について池田町長は、現在、大磯町が直面する災害として、台風災害、大雨災害、地震災害、津波災害などを挙げ、「台風や津波に関しては、護岸や堤防といった県や国によるハード整備に対して、地元自治体としては、台風や津波が来る前に、いかに避難するかというソフト面の対応が重要」との認識を示す。
一方、地震災害に対しては、避難というソフト面の対応はもちろん、今回の連携協定のテーマでもある通信インフラの問題を指摘。災害が発生した場合に損なわれないようにする努力と、損なわれたときの対応が重要であり、今回、NTT東日本と連携協定を締結できたことは、「これからのまちづくりにとって、大きな力強い後押しになる」との展望を明かした。
また、被災地の復旧作業は、NTT東日本としては当然の責務としつつ、NTT東日本 神奈川支店 設備部長の矢田部誠氏は、「実際に災害が起こった時、避難所の確認であったり、復旧ルートの確保などで、どうしても時間が掛かってしまう」という問題点を指摘。「事前に確認、把握できていれば、我々もスピーディーに動けますし、その結果として、住民の方々が早いタイミングで通信を使えるようになる」と事前準備の重要性を示し、連携協定を締結する意義を強調した。