“触れてはならない”、まさに“アンタッチャブル”なネタを取り上げる挑戦的なバラエティが2023年4月にスタートした。その名も『ひらけ! パンドラの箱 アンタッチャブるTV』(カンテレ・フジテレビ系 毎週火曜21:00~)。ゴールデン帯レギュラー番組・初MCとなるアンタッチャブルの2人が、ネットにあふれる謎のレビューや低評価の真偽をホテルや旅館、ときには海外に確かめに行く「謎レビューツアー」企画や、パンサー尾形貴弘率いる「尾形軍団」が世の中の違法行為や困りごとを検証・取り締まる企画など、ほかでは見られないような禁断のネタや体当たりなロケで視聴者の心をつかんでいる。
今回は、総合演出を手掛ける横田幸介氏にインタビュー。アンタッチャブルの魅力、「誰も見たことのないネタ」を取り上げたいというこだわりや努力について話を聞いた。
■アンタッチャブルは、何もないところで笑いを生む天才
――「世の中にあふれる『残念』『危険』『不思議』な事象を、アンタッチャブル2人のパワーでとにかく“笑い”に変えていく」「時に触れちゃいけない事象(!?)にも触れていく」というのが『アンタッチャブるTV』のコンセプトですが、どんな番組を目指していますか。
自分も含めて「どんな結末が待っているんだろう」とワクワクするようなネタを取り上げたいというのが基本的な方針です。どうなるか分かってしまっているネタだと、番組を作っている側としても気持ちが乗っていかないんですよね。そして、誰もが面白いと知っているアンタッチャブルさんですが、2人そろうとこんなに面白いんだよということを改めてたくさんの方に知っていただけたらうれしいなと思っています。
――アンタッチャブルさん2人そろってのロケを見られるのが番組の魅力の1つになっていると感じますが、制作側としても大事にされているポイントですか。
僕らはもちろん、2人も特に大事にしているポイントだと感じます。なかなか他の番組ではそろってロケをする機会が少ないからこそ、2人で行く意味があるのか、2人が活きる企画なのかという点を重視してアンタッチャブルさんのロケを企画しています。
――そんなアンタッチャブルさんの魅力を教えてください。
何にもないところでも笑いを生む天才です。たとえば車に乗り込むシーンなんて普通の芸人さんなら何もしないし、なんなら撮らなくてもいいんですけど、2人は絶対カットさせないように全力でボケて全力でツッコんでくるんです。車に乗り込むだけなので本来ナレーション1行で片付くものでも、アンタッチャブルさんがやると笑いが生まれてしまうというか。ネットに書かれた低評価の真偽を確かめる「低評価宿」企画も、取材した宿が残念な場所として映らず、面白く見せてくれる力があるんです。「何が起こるか分からないロケ」が多いだけに、アンタッチャブルさんが笑いを作ってくれるから成立するんだなとすごく感じます。
■アンタッチャブルの配慮や気配りは人一倍
――アンタッチャブルさんは「何が起こるか分からないロケ」への恐怖心はないのでしょうか。
いや、めちゃくちゃあると思います。山崎さんも柴田さんも一般の方への配慮や気遣いを人一倍される方なので、取材対象者の方に迷惑をかけない、傷つけないということはもちろん、「取材を受けて良かったね」と思っていただける企画じゃないと、2人は多分動かないです。そこはスタッフも徹底しようと心がけています。
――そんな2人に、ロケの最後に「ネットにこんな低評価が書かれています」と伝える「低評価宿」ロケのお願いをしたときの反応は。
最初に企画を伝えたときは、2人そろって「マジ!?」というリアクションでしたが、「2人の力なら、ネットの評価が低いだけで本当は楽しい宿だと映すことができるはず」、「取材を受けて頂くメリットや救いになるものがあるんです」とネタバレにならないように伝えて理解していただきました。リアルを映すロケにしたいので、アポを取ると綺麗にされてしまうため、本当にアポなしで宿を訪問することもあり、ロケ中は山崎さん、柴田さんの即興力みたいなものに毎度唸らされています。
――「ワクワクするようなネタ」はどこから探してくるのですか。
意外と報道番組に「面白いけど、バラエティでは取り扱わなさそうだな」というネタが転がっていたりするんです。たとえば、特番時代(同番組はレギュラー化する前に4度の特番『パンドラTV』を放送)に取り上げた「成田空港の滑走路にポツンと一軒家が建っている」というネタも、昔報道番組で見たのが出会いでした。ほかにも、SNSで「不思議だよね」と興味を集めているネタや、過去にテレビで放送されたけど結論が分からないままになっているネタを取り上げていますが、どんな企画にも番組独自の“発見”を提示できればと考えています。