「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開は11月5日まで)の会場を歩いていると、途方もなくデカいピックアップトラックに遭遇した。このクルマはいったい? 日本でも乗れるのか? ヤマト・インダストリーとIATの合同ブースで話を聞いてきた。

  • IATの電動ピックアップトラック「T-MAD」

    巨大なピックアップトラックを発見! これはなんだ?

航続距離は800km?

ヤマト・インダストリーは1937年創業の樹脂部品および物流機器の製造・販売事業者。そのパートナーであるIATは、2001年に日本で創業した中国最大の自動車エンジニアリング会社だ。ヤマト・インダストリーは「JEMY」ブランドを新たに設立し、IATの協力のもとで日本の電動モビリティ分野へ新規参入する。

  • IATの電動ピックアップトラック「T-MAD」
  • IATの電動ピックアップトラック「T-MAD」
  • IATの電動ピックアップトラック「T-MAD」
  • JEMY「EV48」はヤマト・インダストリーが日本で発売予定の電気自動車(EV)。構想段階からEV物流車に最適化して作った1台で、リヤに配置したモーターで後輪を駆動する。電池は車両中央に配置。ロングホイールベース&ショートオーバーハングなボディにフラットフロアを採用した商用車だ。日本仕様にはスーパーハイルーフも採用するとのこと

商用BEVの日本導入も気になるのだが、それより何よりインパクトが大きいのが一緒に展示されている巨大なクルマだ。IAT独自のEVプラットフォーム「Skateboard Platform-L」を採用するフルサイズピックアップトラックで、車名は「T-MAD」という。前後に1基ずつ搭載するモーターの出力は合計で600kWに達する。ちなみに、こちらはコンセプトカーであり、そのままの形で売られているクルマではない。

  • IATの電動ピックアップトラック「T-MAD」
  • IATの電動ピックアップトラック「T-MAD」
  • IATの電動ピックアップトラック「T-MAD」
  • 「T-MAD」のボディサイズは全長5,878mm、全幅2,198mm、全高2,029mm。大きくて重そうなので長い距離は走れないのかと思いきや、航続距離は600kmを確保しているとのこと。拡張バッテリーを追加すれば800kmまでいけるそうだ

  • IATの電動ピックアップトラック「T-MAD」
  • IATの電動ピックアップトラック「T-MAD」
  • 観音開きのドアは大開口のピラーレス。シートは回転させられる

日本では持て余しそうな巨大ピックアップトラックだが、IATはこれをそのまま日本で売りたいというよりも、同社の技術を見せるためにT-MADを展示しているそうだ。同社はクルマの設計・開発を手掛けるエンジニアリング会社であり、要望次第ではクルマ丸ごと1台を作ったり、デザインに協力したりといった柔軟な対応が可能なのだという。EVプラットフォームもT-MADで使っているようなLサイズだけでなく、Mサイズ、Sサイズ、超小型も取りそろえている。

ジャパンモビリティショーにクルマを展示したのは日本でも事業を広げていきたいからだ。すでにいくつかの自動車メーカー(OEM)から声がかかっているそうだから、T-MADまではいかなくても、IATの技術を使った面白いEVが日本市場に登場する可能性もなくはなさそうだ。