アウトドアブランドMERRELL(メレル)が9月29日、「MERRELL HARAJUKU FLAGSHIP(メレル 原宿 フラッグシップ)」を明治通りにオープンする。今年の3月に渋谷PARCOに誕生した「MERRELL 1TRL TOKYO」に続く形だ。

オンライン×オフラインの「シームレスな顧客体験をデジタルで実現する次世代型旗艦店」に位置付けるという、同店舗の特徴や狙いを紹介したい。

  • 「MERRELL HARAJUKU FLAGSHIP(メレル 原宿 フラッグシップ)」は表参道と明治通りが交差する神宮前交差点の近くに立地する

体験型ストアがコンセプト

1~2階が販売スぺ―ス、3階がストックスペースの独立型となる同店舗。外からも目立つのが1階の壁面に備え付けられた165インチの超大型LEDビジョンだ。そして2階にもタッチパネルモニターが同様に備える。

このデバイスを使った仕掛けが店舗の肝だとブランドのマーケティングマネージャーを務める田中祐介さんは明かす。

  • 1階の壁面に備え付けられた165インチの超大型LEDビジョン

「お店を作るにあたり、本国からの要望は体験型ストアの構築でした。では体験をどうお客さんへ伝えていくか、試行錯誤して出たのがこのLEDビジョンなのです。現在、ブランドを印象付ける動画やコンテンツを幾つも制作しています。それらを通して、メレルブランドの世界観を感じてもらいながら商品を購入してもらいたいのです」

超大型モニターで流すコンテンツは毎月変わり、店内はもちろん、外からも目に入るので従来のメレルユーザーから国内、海外からの観光客にもブランドの価値を受け止めてほしいと田中さんは言う。

  • 細部にこだわりがあり、長椅子は奥多摩の70年杉の間伐材を生木のまま使っている

また、2024年3月より本格稼働する2階のタッチパネルモニターにも仕掛けがある。

「1階は演出型で、2階はインタラクティブな型です。具体的に言いますと、商品のバーコードをタッチパネルでスキャンすると、製品に使われている技術やカラーバリエーションなどが分かります。また全ラインナップの3Dデータも展開するので、リアルな情報を確認可能です」

  • 2階には全製品を3Dで閲覧・ショッピング体験できるタッチパネルモニター

これはユーザー側だけでなく、販売スタッフにも役立つ。商品の細かな疑問などを瞬時に確認して、それに応える形で商品説明できるのだと言う。

若者はストリートウェアとしてメレルを選ぶ

メレルは1998年に登場した「ジャングルモック」のイメージが強い。実際、同シューズの人気は根強いし、当時から履き続けているコアなメレルユーザーに支えてもらっていると田中さんは感謝の言葉を口にしていた。

しかし、ヨーロッパで始動したプレミアムライン「MERRELL 1TRL」など、ファッションアイコンとしてのメレルのイメージも昨今は強いだろう。実際、ジャングルモックに並ぶ同ブランドの人気アイテム「モアブ」を履く若い人が多いそうだ。

  • プレミアムライン「MERRELL 1TRL」はストリートシーンで人気

「ミニスカートにモアブを合わせる女性など、『土臭い感じのアイテムが逆に良い』という尖ったファッションを好む層などストリートウェアとして徐々に認められていますね」

中年男性の筆者だが、例えば「Trail Glove 7 GORE-TEX(トレイル グローブ 7 ゴアテックス)」(2万7,500円)などトレイル用のベアフットシューズは街履きとして普段使いするのも良さげだと思うくらい、ファッションアイテムとしての面も強く感じる。

  • 「Trail Glove 7 GORE-TEX(トレイル グローブ 7 ゴアテックス)」(2万7,500円)

実際、本店舗のラインナップは国内未展開の原宿店エクスクルーシブや1TRLなどエッジの効いた商品が多そうだ。もちろんジャングルモックなど定番ラインはある。しかし、場所柄もあり、やはりストリートファッションとしての印象が強い気がした。

ではトレッキングや登山で愛用する、古参のメレルユーザーは置いてきぼりなのか? そんな疑問を持つのは自然だろう。しかし、それは杞憂。実は2024年1月には日本開発によるブランドアプリがリリースされるのだ。

アプリでメレルのファンとつながる

「来店するとアプリにポイントが付与、気に入った商品を見つけてスキャンすると『お気に入り登録』される、さらには入荷情報をプッシュ通知するなど利便性を高め、お客さんとのコミュニケーションを深めることができるでしょう。特に既存のメレルユーザーさんとつながれるようにしたいですね」

個人情報のため本人の了承が前提だが、従来の購入者の情報も含め、すべてアプリに集約したいと田中さんは抱負を語る。こうした動きに備えて、現在、倉庫を刷新するなどEコマースの仕組みを変えている最中だそうだ。

  • ジャングルモックなど定番モデルも当然並ぶ

「なんかメレル派手だね、違うブランドになったな、と感じている既存ユーザーさんもいると思うのですよ。でもそんなことはありませんよ、皆さんにサポートされてメレルがある、ということをアプリを通して伝えていければと考えています」

来年のアプリの登場も含め、メレルの勢いはまだまだ続きそうだ。

●information
MERRELL HARAJUKU FLAGSHIP(メレル 原宿 フラッグシップ)
正式名称:MERRELL 原宿店
住所:150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目29-5 ARビルANNEX
営業時間:11:30 - 20:00
定休日:年末年始、不定休