街でよく見かける「はたらくクルマ」の大定番といえば、日産自動車の「キャラバン」かトヨタ自動車の「ハイエース」だ。どちらもカルト的な人気がありそうなクルマだが、今回はキャラバンの生誕50周年記念モデルを実車確認しつつ、日産にとってキャラバンとは何なのかを聞いてきた。
キャラバンは日産ロングセラー四天王?
キャラバンは1973年に発売となったワンボックススタイルの商用車だ。現行型は2011年に11年ぶりのフルモデルチェンジを果たした5世代目。直近では2021年にマイナーチェンジを実施している。
現行型キャラバンには「バン」「ワゴン」「マイクロバス」の3タイプがあり、大きさもロングボディ、スーパーロングボディ、標準ルーフ、ハイルーフなどきめ細かくラインアップされている。エンジンはガソリンかディーゼルターボ、駆動方式は2WDか4WDと組み合わせも多彩だ。
日産 日本マーケティング本部の岡部龍太さんによると、今の日産でキャラバンにより長く続いているブランド(車種)は「スカイライン」「GT-R」「フェアレディZ」の3つのみ。いわばキャラバンは、日産ロングセラー四天王の一角を占める重要な車種だ。愛され車種として「今後も長く、大切に売っていきたいクルマです」と岡部さんは話していた。
はたらくクルマとして長い歴史を持つキャラバンだが、岡部さんによれば「ここ10年くらいは遊びグルマや車中泊仕様車としても人気が出てきた」とのこと。こうした使い方をするユーザーにも、いろいろと提案を行っていきたいというのが日産の考えだ。
例えば最近では、荷室に跳ね上げ式のベッドシステムを装備し、防水性の高い硬質素材のフロアパネルを装着した「キャラバン マルチベッド」をラインアップに追加。スキーやサーフィンなどを趣味とするユーザーの相棒としての仕様にこだわった「キャラバン トランスポーター」も発売した。2023年5月には、車中泊のコンセプトカーとして東京オートサロンなどで展示を行ってきた「キャラバン MYROOM CONCEPT」を市販化するとの発表もあった。
50周年記念モデルの特徴は?
さて、そんなキャラバンが生誕50周年を迎えたことを記念して、日産では特別仕様車「50th Anniversary」を10月10日に発売する。どんなクルマなのか。
特別仕様車のベース車両は「バン」の「GRANDプレミアムGX」というグレード。ロングボディ、標準幅、標準ルーフという仕様で、ボディサイズは全長4,695mm、全幅1,695mm、全高1,990mmだ。ガソリンエンジンは2WDのみ、ディーゼルターボは2WDか4WDが選べる。価格は348.37万円~445.39万円だ。
何が特別なのか。まず、今回だけの専用ボディカラー「カシミヤグレージュ」が選べる(ほかに白、黒、グレーあり)。この色、最近のSUVにあってもおかしくないようなニュアンス系のカッコいいボディカラーで、仕事に使っても問題ないだろうし、趣味に使えばクールに目立てるのは間違いない。
随所に黒を使った外観も特徴だ。具体的にはグリル、ドアミラー、ドアハンドル、スライドドアレール、バックドアフィニッシャーを黒とし、全体のデザインを引き締めている。ATフィニッシャーとリヤには「50th Anniversary」のロゴが入ったエンブレム、ボディサイドには同ステッカーを配し、ヘッドレストには刺繍を施すなど特別感を演出しているところもポイントだ。
「50th Anniversary」は周年記念車なので、販売期間は2024年3月までの期間限定だ。生産可能台数に達した場合、その時点で注文の受け付けをストップするという。