なだ万は、9月16日から10月31日まで、なだ万オリジナル「都道府県別 産直フェア」の9回目として、三重・奈良・和歌山3県の食材を使用した『熊野古道フェア』を開催している。フェア開催に先立ち、9月14日になだ万高輪プライムで開催されたプレス向け試食会に参加。三重・奈良・和歌山3県の食材を使用した料理の数々を堪能した。

なだ万が「都道府県別産直フェア」に力を入れる理由

なだ万オリジナル「都道府県別産直フェア」は、国内外に日本料理文化のさらなる魅力発信を目的としたイベント。2018年から地域活性化にもつながる取り組みとしてシリーズ展開しており、総料理長を中心に現地を巡って、なだ万の調理人が吟味した各地の食材や特産品を使用した特別メニューを用意する。

今回はその9回目として、9月16日から10月31日までの1ヶ月半にわたって催されている『熊野古道フェア』だ。高野山胡麻豆腐、三輪素麺緒環(おだまき)、伊勢いも蒟蒻、大和肉鶏、大和まな、奈良味噌、熊野牛、玉城産コシヒカリ伊勢ごころなど、三重県・奈良県・和歌山県の3県の旬の食材を取り入れた特別コースを、レストラン全国20店舗で提供する。

冒頭、なだ万の巻木通浩社長は「当社の総料理長はじめ、調理人のメンバーが3ヶ月ほど前に3県の食材探しに巡らせていただきました。4泊5日の旅で、3県の皆様には産地のご案内等、たいへんお世話になったと聞いております」と挨拶。

  • なだ万 巻木通浩社長

3県が共同で「都道府県別産直フェア」を実施するのは今回が初の試みとのことで、熊野古道にちなんだ同フェアの開催背景や目的について次のように語った。

「ひとつ目は、地元の方だけが知る優れた食材を、なだ万の料理を通じて全国の方にご賞味いただくこと。2点目は新たな食材と出会いによって当社のなだ万の調理人の腕のさらなる向上と料理の幅を広げるため。そして、3点目は東京・大阪・京都といった都市だけではなく、地方の魅力をインバウンドの方々に紹介することです。我々のお店では現在約15%がインバウンドのお客様で、地方観光の推進も目的のひとつとなっています」

三県三様の魅力をご当地キャラと一緒にアピール

本試食会には3県の代表者も来賓として出席。三重県応援キャラクター「兎の助」、奈良県マスコットキャラクター「せんとくん」、天然記念物の紀州犬をモチーフにした和歌山のマスコット「きいちゃん」をそれぞれ伴い、各県の魅力などをアピールした。

三重県東京事務所長の山本秀典氏は、熊野古道について「「速玉大社」「本宮大社」「那智大社」の熊野三山を詣でる熊野古道は、和歌山県さんに所在する道が多くありますが、三重県からも伊勢路と言われる熊野古道が伸びています。伊勢路は伊勢神宮から海沿いに南下するかたちでいくつもの峠を越え、熊野三山へと向かう道です。江戸時代には多くの方が現在の3県の道を通り、熊野三山へお参りしました」と説明。

  • 三重県東京事務所長の山本秀典氏、三重県応援キャラクター 兎の助

「本日9月16日に日本橋のアンテナショップ『三重テラス』が10年目を迎えて、リニューアルオープンしますので、こちらにもぜひ足をお運びいただければと思います」とも呼びかけた。

また、奈良県東京事務所長の永井聡氏は本フェアの開催に際し、「昔から三重・和歌山、奈良の3県は非常に縁が深い3県です。とくに食に関しては、奈良県は山に囲まれた海なし県ですので、昔から三重県、和歌山県の両地域から豊かな海の幸を恵んでいただいています」とコメント。

  • 奈良県東京事務所長の永井聡氏、奈良県マスコットキャラクター「せんとくん」

一方で奈良県は清酒発祥の地とも言われ、大和野菜、大和肉鶏、発酵食品など独自の食文化が発展してきたと語る。

「現在のように清く澄んだ清酒は奈良県の正暦寺で初めて造られたと言われております。奈良県には現在も非常に多くの酒蔵と美味しいお酒があり、そうしたお酒とともに今回のお料理をお召し上がりいただくと、料理の味わいをいっそう引き立たせるのではないかと思います」

和歌山県農林水産政策局長・段子和己氏は「和歌山は海や山の幸がたくさんある食材の宝庫です。和歌山は醤油と鰹節の発祥地ともされ、和歌山の豊富な自然、先人の創意工夫によって和食文化の礎を築いたと言っても、過言ではないと思っています」と紹介。

  • 和歌山県農林水産政策局長・段子和己氏、和歌山のマスコット「きいちゃん」

「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録20周年を迎える来年に向け、さらなる観光振興への意気込みを述べた。

「熊野古道は古くから熊野信仰が根付く聖地・熊野三山への参詣道ですが、平安時代には皇族だけではなく、庶民の方々が列を成して熊野詣をしたと言われています。本日はスタッフの方が復元した平安衣装を着ていますが、公家の方などはこうした姿で京都から熊野まで参詣されていたそうです。本フェアを機にこの3県へとお越しいただき、それぞれの文化・歴史・食の魅力を多くの方々に体験していただければ」

懐石のコースだけでなく、特別弁当や惣菜単品としての販売も

本フェアでは1万2000円のコース(消費税込1万3200円、別途サービス料)と、吸物を松茸土瓶蒸しへ、煮物を熊野牛のすき煮にアップグレードした1万6000円コース(消費税込1万7600円、別途サービス料)を用意。松茸土瓶蒸しと熊野牛のすき煮は単品でも注文でき、コース料理は3300食を目標に掲げる。

全国のレストラン20店舗での特別コースに加え、10月1日から31日までの期間は、全国のなだ万厨房46店舗と、なだ万オフィシャルホームページの通販サイトにて特別弁当を販売。また、首都圏なだ万厨房26店舗では惣菜単品として牛肉と湯葉のはるさめスープも販売する。 特別弁当は熊野牛香味焼、伊勢赤どりを使用したつくね、大和まなの煮浸し、伊勢ごころ新米御飯など、3県の食材を使用して1折2400円(消費税込2592円)で展開する。こちらの目標販売数は2万食とのことだ。

お待ちかねの試食タイムでは、「熊野古道フェア」特別コースのメニューから抜粋された料理の数々が、立食のビュッフェ形式で提供された。 焼物の「熊野牛汐焼 藁炙り」は和歌山県特産の高級和牛を存分に堪能できる一品。その肉質はきめ細やかで柔らかく、甘味のある味わいと風味の良さ、焼いたときの香りの良さなどを特徴とする。奈良味噌ダレとの相性も抜群で、それらの味わいが混然と口の中に広がった。

「三重県産コシヒカリ『伊勢ごころ』釜炊きご飯」では、ツヤ・香り・弾力に優れたお米本来のおいしさを楽しめた。豊かな水源もと古くから稲作盛んな地域である玉城町の『伊勢ごころ』は、「冷めても美味しい」と評判のお米。 あっさりした和食や漬物との相性の良さで知られ、脂がのりつつもあっさりとした味わいの和歌山県産の太刀魚の味わいが、さらに食欲をそそる。木耳やカリカリ南高梅も食感と風味のアクセントとなっていた。

これらの料理と一緒に楽しみたいのが日本酒。ということで、3県おすすめの日本酒にも当然手が伸びる。まずは伊勢志摩サミットの乾杯種として採用されたことで有名な「作」(1合1300円)。滑らかな甘みと爽快なのど越しを併せ持つ純米酒として、日本酒ファンから高い人気を誇る。

飲み口の良さから奈良県内日本酒ランキング1位の「みむろ杉」(1合1300円)は、フレッシュな香りとふくよかな旨み、綺麗な酸をまとった一杯。淡麗辛口の「紀土」(1合1000円)も、柔らかく甘みのある口当たりとスッとキレていくような後味で、ファンが多い日本酒だ。 3県の選りすぐりの食材を使ったとお酒の数々を、この機会に楽しんでみては。