日本における英語学習熱は年々高まりを見せており、特に近年は「英語学習ブーム」と言える状態です。このブームにはいくつかの要因がありますが、この数年で目立つのは英語学習者向けスマートフォンアプリの普及です。これにより、質の高い英語学習が手軽に行えるようになったことが挙げられます。

  • 日本人がハマりがち! やっても伸びない3つの英語学習法とは?

また、英語を使えることが、就職や転職時により重要視されることにより、多くの人が積極的に学習に取り組んでいます。しかし、英語学習に励んで効率よく英語力を伸ばす人がいる一方で、英語力が思うように伸びない人も多いようです。今回は英語力が伸びない日本人に見られる「ハマりがちな英語学習法」を紹介します。

1. 洋画などを用いたレベルの高すぎる学習

英語力を効果的に上げていくには、自分の英語力にあった学習法と学習教材が必須です。しかし、レベルの高すぎる英語学習をしてしまっている学習者も少なからずいるようです。

最近特に目立つのが、サブスクリプション系の動画視聴サイトの普及による、海外映画やドラマなどを用いた英語学習です。英語学習に楽しさを加えることは大切ですが、楽しいだけで英語力が伸びなければ意味がありません。

もちろんそのジャンルにもよりますが、海外映画やドラマを理解するには、かなり高い英語力が必要です。具体的には、一般的な海外映画を8割以上理解するにはTOEIC950点程度の英語力は必要だと思います。このようなレベルに達していない学習者が海外映画を英語学習に使用するのは英語学習の効率性からはおすすめできません。

もし海外映画やドラマを英語学習に活用したいのであれば、英語字幕と日本語字幕の両方が利用でき、さらに音声速度を0.8倍程度まで遅らせることができるものを使用するといいでしょう。

また、一度見るだけでなく、何度も同じものを繰り返し見て、その音声を字幕を見ながら音読するなど、一つの作品のあらゆるフレーズに何度も触れるようにすると英語力の向上につながるはずです。

2. スピーキングに正確さ・完璧さを求めすぎる

これは英語のスピーキング学習時に多いことですが、正確さや完璧さを求めすぎると英語学習が停滞しがちになります。

「英語を話す」ことが多くの英語学習者の最終目標にあるはずです。少なくとも「英単語をできるだけ覚えたい」「英文法に精通したい」人よりも「英語を使える」ことを目指されている人の方が圧倒的多数でしょう。

しかし、現実的には「英語を使える」ようになる前に英語学習に挫折してしまう人が多くいます。私はこの最大の原因は、「英語を完璧に話そう」とすることにあると思います。またこのように思ってしまうのは、みなさんが中高生のときに受けてきた英語教育とも関係していると感じています。

例えば、
「彼はサッカーをします」
He play soccer. (正しくは、play → plays)

「私はバスで学校に行った」
I went to school by a bus. (正しくは、by a bus → by bus)

これらはネイティブとの会話においても十分に伝わる表現です。しかし、中学高校の定期テストなどでは必ず減点されるのです。「英語を話す」ことを目指す英語学習においては、中学高校時に意識していたささいなミスを気にせず、とにかく実践していくことが大切です。つまり「英語が正しいor正しくない」ではなく、「英語が伝わるor伝わらない」という発想に切り替えることが大切です。

3. 間違った音読やシャドーイング

はじめに、「音読」(英文を声に出して読むこと)や「シャドーイング」(英文を聞きながら英文を声に出すこと)は大変効果的な学習法です。実際に自身の英語学習で試された人も多いと思います。しかし、音読やシャドーイングで英語力が向上したと感じている人は、決して多くはないはずです。

また、音読やシャドーイングがもたらす学習効果について誤解されているケースも多いようです。最も多い誤解は発音がきれいになるというものです。英語を声に出すのだから音声面での向上も期待されそうですが、英語を口に出すことに慣れ、抑揚などが自然になることはあっても、発音そのものが向上することはないと言っていいでしょう。

音読やシャドーイングをすることでもたらされる最大の効果は「英語を英語で理解」できるようになり、英語の「読む」「聞く」能力が格段に向上することです。

ここでは簡単に音読(シャドーイング含む)のやり方を紹介させていただきます。

まず、音読は数回やっても効果は期待できません。少なくとも同じ英文を30回は音読します。次に、音読する英文は、内容はもちろんのこと、文構造など自分が十分理解できる英文にします。継続性からも自分の興味があるトピックのものがいいでしょう。

最後になりますが、はっきりとした少し大きめの声を出すようにします。また、これは個人的に感じることですが、発音についてはあまり気にしないようにしましょう。音読の目的はインプット量を高めることなので、発音について気にすることよりも、できるだけ多くの英語に触れることに主眼を置くのがおすすめです。


英語力が上がらないという人は、記事を参考に学習法を見直してみてはいかがでしょう。次回は正しい音読法などを紹介していきます。お楽しみに!