帝国データバンクは、食品メーカー主要195社における価格改定動向についての調査結果を9月13日に発表した。調査の対象期間は8月31日9時時点。

  • 「小麦価格高騰」による値上げ品目数

政府による輸入小麦の売り渡し価格が10月以降、3年ぶりに引き下げられることが決定し、記録的な値上げラッシュから一転、食品「値下げ」への期待感が高まりつつある。2023年に値上げが実施された、あるいは今後予定がある3万1036品目のうち、小麦粉の価格高騰が直接的に起因した値上げ品目数は少なくとも1,906品目に上った。

このうち、約8割にあたる1,546品目がパン製品で占められたほか、クッキーやケーキ類の菓子製品(167品目)を合わせ、全体の9割がパン・菓子だった。加工食品でも、即席めん製品などで小麦価格の高騰による値上げが目立った。

  • 輸入小麦の政府売り渡し価格の推移

一部の食品では、小麦価格の下落で値下げが実施されたケースがあり、「値下げ」の動きが今後広がる可能性も。ただ、物流費やプラ製包装資材などでコスト増が続いているほか、パンや菓子製品では砂糖など副材料の高騰が続いている。また、高止まりしている電気・ガス代の動向、1ドル=140円台で推移する円安水準の長期化も加わり、原材料価格の下落を理由とした値下げはわずかにとどまっている。

食品メーカー各社では小麦価格下落による製品価格への反映について順次検討するとみられるものの、値下げの実現は早くとも24年以降になると予想されるという。

※品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウント。値上げ率は発表時点における最大値を採用。価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む。