大王製紙はこのほど、泌尿器科医専門医の伊藤友梨香先生が監修した「女性の尿モレの原因と対策、吸水ケア用品とナプキンの違い」を発表した。

  • 「女性の尿モレの原因と対策、吸水ケア用品とナプキンの違い」

■多くの女性が抱える悩み「尿モレ」

女性の健康課題のひとつ「尿モレ(軽失禁)」。ふとしたときに尿がモレてしまい悩んでいる女性も多いのではないだろうか。「尿モレ=老化に伴うトラブル」という印象があると、「まだそんな年齢じゃないのに」と1人で悩んでしまいがち。だが、軽い尿モレは女性にはよくあることだそう。大王製紙によると、一度でも尿モレを経験したことがある成人女性は3~4人に1人。年代も様々で、10代の女性でも尿モレに悩む人はいるという。

尿モレが始まったタイミングとして、最も多いのは「出産後」。また、せきやくしゃみをしたときや大笑いしたとき、重い荷物を持ち上げたときなどに、不意の尿モレを経験することが多いといわれている。

■尿モレしやすい理由と尿モレのタイプ

女性に軽い尿モレが多い原因のひとつに体の構造がある。女性の尿道は約3~4cmと男性よりも短く、また腹筋が男性ほど強くないため、おなかに力が入ったとき、尿モレしやすいという。

なお、一般的な尿モレは大きく「①腹圧性尿失禁」「②切迫性尿失禁」「③溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」の3タイプに分類される。次に、それぞれの違いと尿モレが起こる原因を説明していく。

①腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁とは、せきやくしゃみをしたり、重い物を持ったりといった動作でおなかに力が入ったとき、膀胱(ぼうこう)が圧迫されて起こるタイプの尿モレ。女性の尿モレの中で一番多いといわれ、日本泌尿器科学会によると、週に1度以上の腹圧性尿失禁を経験している女性は、500万人以上に上るという。

腹圧性尿失禁の原因は、子宮や膀胱、直腸といった臓器を下から支える、骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋)のゆるみ。骨盤低筋は、妊娠や出産のほか、重い荷物を持つ仕事や排便時に強くいきむことなどで痛めてしまい、ゆるみやすくなるといわれている。

  • 腹圧性尿失禁イメージ図

②切迫性失禁

切迫性尿失禁とは、突然強い尿意が起こり、トイレに間に合わずにモレてしまうタイプの尿モレ。排尿は本来、脳からの指令でコントロールされているが、自分の意志とは無関係に膀胱が勝手に収縮してしまうことで、我慢できないほど強い尿意を覚えるのだそう。

尿意が起こるきっかけは様々で、水に触れたり、寒さや湿気を感じたりといったケースや、水が流れる音を聞いただけで強い尿意を覚えることも。また、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状を持つ、混合性尿失禁の人もいるとしている。

③溢流性尿失禁

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁とは、尿意はあっても何らかの原因で出しきれず膀胱にたまった尿が、少しずつモレ出てしまうタイプの尿モレ。男性に多く見られるが、女性でも子宮や大腸など骨盤内の手術を受けた人や、糖尿病の人などに起こる場合があるとのこと。

■尿モレ対策として行いたいこと

続いて、尿モレ対策として行いたい、日常的な注意点を紹介する。

水分補給

尿モレを警戒して、普段から飲み物を控えている人も多いはず。しかし、これは逆効果で、水分の摂取量が少ないと尿が濃くなり、膀胱が刺激されて尿意を強く感じるようになるそう。1日約1.5Lを目安に水分を補給するようにしよう。

  • 水分補給をしっかりしよう

肥満・便秘の改善

肥満や便秘の場合、脂肪や便により骨盤底筋に大きな力がかかり、尿モレの症状が悪化しやすくなるという。無理のない適度な運動と、繊維質が多くバランスのとれた食事を心掛け、肥満・便秘を改善することを奨励している。

吸水ケア用品の使用

尿モレ対策として、手軽ですぐ効果のある方法が吸水ケア用品を使うこと。尿モレの量やライフスタイルなどに合わせて選ぶようにしよう。

■ナプキンは尿モレに対応できない

「専用品を買うのが恥ずかしい」といった理由から、おりものシートや生理用ナプキンで下着がぬれるのを防いでいる人もいる。しかし、大王製紙は「生理用ナプキンでは尿モレに対応しきれない」と指摘する。

そもそも、経血と尿では粘性や量、出るスピードなどが異なり、基本的に経血は粘性が高く、ゆっくり少しずつ出る。そして生理用ナプキンは、粘性の高い経血を引き込んで、モレ出さないようにため込むことを重視した構造となっており、水分量が多く排出スピードも速い尿を受け止めるのは不得意なのだ。そのため、吸収しきれなかった尿は逆戻りして表面のべたつきやモレとなり、ムレやかゆみなどの不快感へつながると説明している。

■吸水ケア用品の特長

尿モレ対策に特化した吸水ケア用品と生理用ナプキンとの違いは、赤ちゃんのおむつなどでおなじみの吸水材が使われていること。パッドに染み出した尿を素早く吸収し、中に閉じ込めて逆戻りを防ぐため、吸収後も表面はさらっとして蒸れることもなく、快適に過ごすことができる。さらに、尿のアンモニア臭を軽減する機能もあり、気になるニオイもケアできるという。

吸水ケア用品の選び方

吸水ケア用品は、吸収量や安心感に合わせて多くの種類が販売されており、基本的には、吸収量が多いほどパッドは厚くなる傾向がある。初めて吸水ケア用品を購入するときは、まず自分の尿モレについて把握するようにしよう。

その上で、せきやくしゃみでモレてしまうのか、急に強い尿意を感じるのか、量や交換できる頻度など、自分の尿モレのタイプや量、交換タイミングなどに合わせて、適切な吸水ケア用品を選ぶようすすめている。

監修者: 伊藤友梨香先生
泌尿器科専門医、日本泌尿器科学会所属。大学病院の泌尿器科医局に属し、一般泌尿器、不妊治療などに従事した後、現在は、療養透析を中心とした全身疾患を扱う療養型病院に勤務している。