第49期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は、挑戦者決定トーナメント3回戦の渡辺明九段―本田奎六段戦が9月11日(月)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、172手に及ぶ熱戦を制した本田六段が準々決勝進出を決めました。

3年半ぶりの対決

両者の対戦は2020年春に戦われた棋王戦五番勝負以来で、本局の勝者はベスト8に進出します。振り駒で先手となった渡辺九段は初手に角道を開けて矢倉を志向。本田六段が雁木囲いで応じた結果、本局の戦型は矢倉対雁木の持久戦に落ち着きました。渡辺九段は早めに右桂を活用して後手の急戦を防ぎます。

ジリジリとした間合いの計り合いが続いたのち渡辺九段が仕掛けます。5筋の歩をぶつけられたタイミングで後手の玉頭に手をつけたのが好タイミング。うまく歩切れを回避しつつ端攻めでペースをつかむことに成功しました。守勢の時間が続く本田六段は先手陣に馬を作って反撃の時を待ちます。

本田六段が決め手与えず粘り勝ち

手番を握って攻め続ける渡辺九段は右辺から攻め駒を侵入。早逃げで粘る本田玉に対して、自陣の飛車と守り駒の金を6筋に活用して挟み撃ちの攻めを実現します。渡辺九段が攻め切るのも時間の問題かと思われましたが、本田六段も頑強に抵抗して決め手を与えません。反対に、機を見て銀取りに桂を打ったのが好機の反撃になりました。

終局時刻は20時0分、最後は自玉の詰みを認めた渡辺九段が投了。局後の検討では、挟み撃ちを実現した直後に渡辺九段の方から銀頭に馬を差し出す好手があって有望と結論付けられました。これを知った渡辺九段は「普通は安い駒(金)から行くので(馬を捨てる)発想がなかった」との感想。勝った本田六段は次戦で菅井八段と対戦します。

  • 本田六段はこれで渡辺九段との対戦成績を2勝3敗とした

    本田六段はこれで渡辺九段との対戦成績を2勝3敗とした

水留 啓(将棋情報局)

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