旭硝子財団は、「第4回 生活者の環境危機意識調査」の結果を9月6日に発表した。調査は2023年6月9日〜7月5日の期間、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科蟹江憲史(かにえのりちか)教授監修のもと、日本と海外24カ国の男女13,500名(18〜69歳)を対象に行われた。

  • 自国内の環境問題で危機的に思う項目

はじめに、住まいの国や地域における環境問題を考える上で、危機的な状態にあると考える項目について質問したところ、最も多かったのは、「気候変動」(37.5%)だった。その理由として、各国で頻発化・深刻化する異常気象や異常気温を懸念する回答が多く寄せられた。

次いで、2位「社会、経済と環境、政策、施策」(13.9%)、3位「水資源」(10.9%)が続く結果となった。

2030年までの目標に向けて、17あるSDGsが、全体として2023年時点でどの程度達成できていると思うかと聞いたところ、達成度が高いと思うものは、25カ国合計で1位「貧困をなくそう」、2位「すべての人に健康と福祉を」、3位「飢餓をゼロに」だった。

  • 2023年時点での感覚的なSDGs達成度

2023年時点での感覚的なSDGs達成度については、国によってばらつきはあるものの、25カ国平均で35.0%という結果に。開発途上国の方が達成度を高く感じる傾向にあることがわかった。

一方、達成度0%と回答したのは25カ国平均で10.8%と、約1割が全く達成できていないと回答。世代別では、Z世代の平均は41.1%、大人世代の平均は33.9%と、Z世代の方が7.2ポイント達成度を高く感じている傾向にあることも明らかに。

  • 全体(25カ国)の感覚的なSDGs達成度

国別では、日本は25.2%と25カ国中3番目に低い結果に。その他、インドネシアが53.6%と最も高く、カナダが23.7%と最も低い結果となった。

  • 日々の生活で関心を持っているSDGsの目標

17あるSDGs目標の中で関心を持っていることについて聞くと、全体の1位「貧困をなくそう」、2位「飢餓をゼロに」、3位「すべての人に健康と福祉を」となった。「気候変動に具体的な対策を」は、上位3位以内に入らなかった。

世代別では、Z世代も大人世代も、1位「貧困をなくそう」、2位「飢餓をゼロに」がランクインしたが、3位について、Z世代は「すべての人に健康と福祉を」、大人世代は「気候変動に具体的な対策を」がそれぞれランクインしている。

国別では、スウェーデンで1位「安全な水とトイレを世界中に」、イギリスで2位「気候変動に具体的な対策を」など関心度に差異があることもわかった。

  • あなたの考える「環境危機時計」は何時何分?

また、環境問題の意識を時計の針に例えた「環境危機時計」について、住まいの国や地域における環境問題への危機意識を時計の針に例えてもらうと、25カ国平均で「7時23分」となり、「かなり不安」という結果になった。世代別では、Z世代は「7時3分」、大人世代は「7時27分」で大人世代の方がより危機を感じているものの、いずれも「かなり不安」という結果に。

  • 有識者による「環境危機時計」

有識者を対象とした旭硝子財団の本年の環境危機時計の時刻は、「9時31分」で「極めて不安」と回答しており、一般生活者との意識には、2時間程度の差があることも明らかになった。

  • 国別「環境危機時計」

国ごとに見ると日本、中国、ドイツでは時刻が20分以上戻り、韓国、イギリス、フランスでは20分以上進んだ。具体的な理由には、「このままでは、2050年までに大量絶滅が起こるという予測も耳にし続けてるが、各国は気候危機を防ぐためにほとんど何もしていないように見える」「人間は真剣に地球のために何をするべきか考え、行動に移さないと取り返しがつかないところまで来ていると思う」といった声が寄せられた。