トヨタ自動車のVIP向け超高級車「センチュリー」に新たなモデルが登場した。見た感じ、センチュリーのSUV版だと思えるのだが、発表会でトヨタ側の説明者たちは一度も「SUV」という言葉を使わなかった。その理由も気になるし、そもそも何を狙った新型なのかも知りたいところだ。
SUVに見えるだけ?
センチュリーの新モデルは「新しいショーファーカー」を目指して開発したとのこと。セダンタイプに比べ全高は300mmも高く、タイヤもかなり大きくなっており、クルマの形からしてSUVと呼びたくなる雰囲気なのだが、トヨタは新車発表のプレスリリースにすら「SUV」という言葉を使っていない。かなり徹底したやり方だ。
新モデル登場により、これまでのセンチュリーは「センチュリー(セダン)」という表記になっている。なぜ、今回の新型に何らかのサブネームを与えなかったのかと問われた中嶋裕樹トヨタ副社長は、「これがド真ん中のセンチュリーだと確信」しているからだと答えていた。
どうしてこういう形のクルマになったのかというと、「結局は、カッコよさです。その結果として、SUVっぽく見えるのかもしれません」というのが製品企画担当の回答だ。全高を上げたのは車内のスペースを拡張するためでもあるが、風格があって、堂々としていて、カッコいいクルマを目指した結果として、いわゆるSUV的な見た目のクルマができあがった、ということであるらしい。
なぜSUVライクな新しいセンチュリーを作ったのか。その理由はセンチュリーの顧客が変化してきているからだ。セダンタイプは威厳があってフォーマル感たっぷりで、こういうクルマを好むVIPは引き続きセダンに乗り続けてもらえばいいわけだが、これだと自分には威厳がありすぎる、抵抗感があると考える客も増えているので、選択肢を増やしたかったというのがトヨタの考えらしい。「セダンに乗りたい方は、そのまま乗っていただければと思いますが、よりアクティブにクルマを使いたい方、車内で仕事をしたり、運転も楽しみたいという方、そうした新たなショーファーカーを求めるお客様を想像して開発しました」と製品企画担当は話していた。
新しい方のセンチュリーは2,500万円で月産30台を予定。ボディカラーや内装は、素材も含めかなり細かくカスタマイズできるそうだ。ただし、お金を持っていれば誰でも買えるクルマではなく、ある程度は売る側からの選考も入るらしい。