リコー杯第13期女流王座戦は、挑戦者決定戦の西山朋佳女流三冠-加藤桃子女流四段戦が9月5日(火)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、133手で勝利した加藤女流四段が里見香奈女流王座への挑戦権を獲得しました。五番勝負は10月25日(水)に開幕します。

女流王座経験者の直接対決

女流王座のタイトルは西山女流三冠が通算2期、加藤女流四段が通算4期在位したことがありますが、そのほかの期はいずれも現タイトルホルダーの里見女流王座によって占められています(通算6期)。振り駒が行われた本局は、後手となった西山女流三冠が角道を止めた三間飛車に構えて幕を開けました。

先手の持久戦模様を認めた西山女流三冠はそのまま穴熊に移行。加藤女流四段も居飛車穴熊の作戦で応じ、本局の戦型は相穴熊に落ち着きました。ともに四枚穴熊の堅陣に組み替えたのち、先手の加藤女流四段が4連続の歩の突き捨てを見せて本格的な中盤戦が始まります。後手が素直に応じると一方的に角を成り込む狙いが生じます。

加藤女流四段が去年のリベンジ誓う

中盤の難所を前に両者長考が続きます。後手の西山女流三冠が7筋の歩をぶつけたのは右辺の戦いを受け流して左辺からの反撃に期待したものですが、ここから加藤女流四段の秀逸な構想を見ることになりました。追われた右金をグイっと前進して端にプレッシャーをかけたのがその第一歩。加藤女流四段は続いて9筋の歩を突いて端攻めを開始します。

先手はこの手順の中で角を右辺に転換してあるのが周到な準備で、この角は遠く振り飛車穴熊の急所をにらんでいます。大駒をさばいての逆転を目指す西山女流三冠に対し、加藤女流四段は首尾よく2筋に竜を作って寄せの網を絞りました。終局時刻は16時51分、攻防ともに見込みなしとみた西山女流三冠が駒を投じて加藤女流四段の勝ちが決まりました。

局後開かれた記者会見に臨んだ加藤女流四段は「(里見・西山の)二強が続いているが食らいついていきたい」と意気込みを語りました。挑戦を受ける里見女流王座も「自分の力を出し切れるよう精一杯頑張りたい」と述べています。昨年に続く同カードとなった五番勝負は10月25日(水)に東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で開幕します。

  • 加藤女流四段はこの五番勝負にクイーン王座の資格(通算5期)への期待が懸かる(写真は第12期リコー杯女流王座戦五番勝負第4局のもの 提供:日本将棋連盟)

    加藤女流四段はこの五番勝負にクイーン王座の資格(通算5期)への期待が懸かる(写真は第12期リコー杯女流王座戦五番勝負第4局のもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)

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