フジテレビ系ドラマ『silent』(22年10月期放送)のBlu-ray&DVD発売記念トークベントが8月31日、ドラマのロケ地でもあった東京・タワーレコード渋谷店で行われ、村瀬健プロデューサーが作品の舞台裏や、BD&DVDの見どころ・特典などについて語った。

  • 『silent』の村瀬健プロデューサー

■割ってしまうCDのアーティストに自ら許可取り

主人公・紬(川口春奈)のアルバイト先という設定で、実際にロケも行われたタワーレコード渋谷店。ここを選んだのは、村瀬Pが常連で通っていたからだそうで、「音楽をテーマにするにあたってCDショップを使いたいなと思ったときに“渋谷のタワレコだ!”」とひらめいてオファーをしたところ、現地で撮影することが快諾された。

しかし、営業中の店舗であるため、撮影はいつも早朝に実施。さらに、ドラマでは映せないポスターを入れ替える作業も発生し、「Snow Manのポスターがありましたからね。“目黒蓮越しSnow Man”という面白いけど『silent』の世界観ではダメですから」と苦心した。

自身もバンド活動をしてプロを目指していたほど音楽が大好きな村瀬Pだけに、ドラマの中で流れる音楽には非常にこだわっているそう。

「大好きだった人が耳が聴こえなくなってしまったというテーマをやるときに、その相手が音楽好きだったらどうなるんだろう…というのをずっと考えて、脚本の生方(美久)さんと話をしていたんです。そこで、耳が聴こえなくなって悔しくてCDを割ってしまった想(目黒蓮)が、再びCDショップに来るというアイデアが早い段階で生方さんから出てきて、この子たちはどんな音楽が好きだろうと考えたら、2人のキャラクターと、僕と生方さんが好きなので“スピッツだよね”となりました」と、核になるアーティストが決まった。

また、“CD”にもこだわりがあり、「もし音楽が聴こえなくなっても、歌詞カードがあるし、特にスピッツは歌詞カードが素敵なんです。その温かみを描きたくて、CDをもう1回手に取るという物語は、『silent』のもう1つやりたかったテーマなんです」と打ち明けた。

ちなみに、CD愛の強い村瀬Pは、想が割ってしまうCDのアーティストに対し、事務所やレーベルへの許可取りを自ら敢行。その趣旨を説明すると、どのアーティストサイドも快くOKしてくれたそうだ。

■ハードルを上げまくっても「それ以上の曲を書いてくれた」

Official髭男dismが担当した主題歌「Subtitle」の制作秘話も。3話分の脚本を渡し、「この世界を見て、藤原聡さんが感じたものを曲にしていただければ」と依頼すると、「最初のデモが来たときに、僕も生方さんも“参りました”となって、4話以降の台本は藤原さんが書いてくれたらいいんじゃないかと思うくらいシンクロしてるし、天才脚本家・生方さんの言葉を見た、天才・藤原聡さんが彼の言葉を紡ぎ出してくれたんです」と振り返る。

さらに、曲を依頼する際のプレゼンで「何年も先に『silent』のことをみんな忘れてしまうときが来ても、音楽は一生残っていく宝物なので、『silent』のことを知らない人が聴いても僕の物語だと思える普遍的な曲にしてください」「世界中に永遠に残るウィンターソングを作ってほしい」とハードルを上げまくったそうだが、「それ以上の曲を書いてくれたんです。僕もまだ聴いてますからね」と度肝を抜かれた。