• 三条幸人/アバレブルーを演じた富田翔と心優しい竜人アスカ/アバレブラックを演じた阿部薫

――本作の撮影にあたり、過去のテレビシリーズを観返す機会はあったでしょうか。

富田:20周年記念作品の話が来る以前から、幼い姪っ子と一緒に『アバレンジャー』を観たりすることがありました。実家の母親……姪からするとおばあちゃんがDVDや玩具を大事に持っていて、よく観ていたそうなんです。

阿部:映像に映っている幸人が叔父さんだって、気づいたかな。

富田:テレビを観て、ときどき僕の顔を見て、不思議そうな顔をしてた(笑)。阿部くんは撮影前に『アバレンジャー』を全話観たって言ってたね。

阿部:今回の台本に何かをプラスすることができないかと、ヒントを得るため全話チェックしました。このときアスカはこんなこと言っていたとか、みんなはこんな言葉を残していたとか、芝居するときに引き出せるようにね。『キョウリュウジャー』の映画や、幸人と笑里が登場する『海賊戦隊ゴーカイジャー』第29話「アバレ七変化で新合体」も観ています。

――ぶっきらぼうだけど根は優しい幸人、感激屋で涙もろいアスカなど、20年経ってそれぞれをとりまく環境が変わっても、本質的な部分が同じといった、ファンにとって嬉しい描写があちこちに見られましたね。

富田:今回も、アスカが感極まって泣くシーンがありました。僕らとしては、待ってました!という感じです(笑)。

阿部:アスカは泣くだけで当時のキャラクター性が引き出されます。ある意味わかりやすいですよね。

富田:幸人がえみポン(笑里)と結婚している設定が、『ゴーカイジャー』からそのまま受け継がれているとか、こだわりが随所に入っていた。

阿部:アスカとマホロとの間に、8人目の子どもが生まれる予定だという近況報告も凄かったな。台本を読んで、アスカは今こんな風になってんのかとびっくりしました。

富田:アナザーアース側だと幸人だけ既婚者なんだけど、実際の僕は独身で、(西)興一朗(アバレッド/伯亜凌駕役)くんもあいこも幸太朗も結婚している。皮肉なものだな……と思うときもありました(笑)。

阿部:20年経って、昔の仲間が集まったとき、それぞれ「最近何やってるの?」みたいな話を自然にするじゃないですか。今回の台本を読んだときがまさに、そういう気分になれる瞬間でした。僕自身、アスカの近況を知ることができて、驚くと同時にすごく嬉しくなりました。

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――変身後のヒーローに声を吹き込む「アフレコ」も久々だったのではないでしょうか。アフレコ時のご感想をお願いします。

富田:今は同時録音ですけど、テレビをやっていたころはオールアフレコといって、スーツだけじゃなくて自分の演技にも声を吹き込んでいたので、今以上に時間がかかりました。声を出していない場面でも何か言わなきゃダメだったり、誰かの芝居を受けて、息遣いでリアクションしたり、ずいぶん難しいことをやっていたなあと思い出します。今回のアフレコでは、アバレンジャーのアクションもずいぶん進化していたのがわかったので、どうやって声を入れるか、考えながら取り組んでいました。

阿部:アバレモードになったとき、「ブラ!」とか語尾につけるのがアバレンジャーっぽくていいなあ、と思いつつ、アフレコしていました。アバレモードは激しい声を出さなければならないのでキツかったですけど、今回も大変だったね。

富田:声が枯れてしまうから、アフレコスケジュールの最後に回してもらっていたよね。

阿部:でもアバレモードだから、思いっきり声も暴れ尽くすという意気込みでした。

富田:声を枯らすまでやるぞ、というのが決定事項のようでした。今回も、アバレモードのアフレコはスケジュールの最後にしてもらっていましたね。

――かつて『アバレンジャー』を観ていた方たちが20年を経て、役者やスタッフとしてご一緒される機会はありますか。また、20年間ずっとファンでいてくださる方からの応援の声はお2人にも届いていますか。

富田:舞台で共演していた27、28歳くらいの俳優が、公演終了後になって言ってくることがありますね。「今回共演させていただけて、母が喜んでいます」とか「昔、アバレンジャーの玩具を買ってもらっていたことが報われる思いです」とか(笑)。そんな言葉を聞くとき、ヒーローの偉大さをしみじみと感じることができますね。

阿部:昔はよく、ファンレターを送ってくださる方たちがいて、ありがたく読ませていただいていました。今ではSNSで「昔、アバレンジャーが大好きで観ていました」というメッセージと一緒に、当時の玩具の写真や、ヒーローショーの記念写真とかをアップして見せてくれる方がいます。昔も今も、形を変えてこういったファンの方たちとの交流の機会がモテテ、本当に嬉しいですね。

――完成した作品をご覧になったときのご感想はいかがでしたか。

富田:すごく面白かったです。思いっきり笑ったり、時にはウルっと来たり……。まあ、阿部くんは聞かなくてもわかりますよ。試写を観に行ったとき、冒頭シーンから感激して泣いていましたから(笑)。

阿部:泣いてたの、バレてたんだね(笑)。

富田:僕としては、幸太朗がどんな感想を言うのかなと、そこが気になりました。彼は面白いものは面白い、そうじゃないものはそうじゃないと、はっきり言うタイプだから。そうしたら「めっちゃ面白かった!」と言ってくれたので、よかった、これから全力で宣伝できる、自信につながった!と思いました。

阿部:幸太朗があそこまで面白がってたの、今までにあまり見なかった。

富田:田中幸太朗が面白いと言った映画だから、絶対面白い!と胸を張ってあらゆる人たちにおすすめしたいです(笑)。

阿部:僕の場合、一回目は感動しすぎて内容まで頭に入ってこなかったんです。その後、何度も繰り返し観て、改めて「最高にいい作品だ」と、より理解が深まりました。

富田:『アバレンジャー』が大好きな人はもちろん、今までアバレンジャーを知らなかった人にも楽しんでもらいたいです。舞台から僕のファンになってくださった方からの反応も楽しみです。

阿部:できるなら、ファンの人たちから生で感想をうかがいたいくらい、楽しみにしています。映画をご覧になったら、ぜひSNSでどんどん感想を寄せてください!

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――『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』の見どころを、お2人からお願いいたします。

富田:テレビシリーズでもよくやっていましたが、幸人が仲間とは別に行動し、事件の真相に迫るシーンが今回もあって嬉しかったです。木村ひさし監督の持ち味が込められていて、幸人自身がすごく真面目に動いているのに面白い、というシチュエーションを作ってもらえたのが、とてもありがたかった。どこまでも融通のきかない幸人が、どんなことにでも真剣に取り組んでいる姿を、ぜひ観ていただければと思います。

阿部:アバレンジャーや仲間たちが、20年の時を経てどんな生活をしているのか、に注目してください。登場人物の何気ない会話、ちょっとしたセリフが、20年前のテレビシリーズで出てきた言葉にかかっていたりします。ぜひ映画を目いっぱい楽しんでいただいて、その上でいろいろな見方をしながら、久しぶりの『アバレンジャー』世界にひたってください!

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