――『アバレンジャー』テレビシリーズが持つ魅力について、教えてください。
昔、テレビで観ていたころは「とにかく前向き」な作風だなと思い、好感を持っていました。新作を作るため、改めて全話を観返したら、明るいだけじゃなくけっこうヘビーでシリアスな内容のエピソードが多いなと気づいたんです。キャラクターの行動を追いかけていくと、ヘコみそうになるんだけど、そういうときこそ「ダイノガッツで乗り越える」という思いの強さに感動させられます。いくら辛く苦しい局面に立たされても、最後はダイノガッツ! 前向きな気持ちで立ち向かえば解決するぞ、という姿勢がいいんだと思います。
――本作で木村監督が「アバレ」たのは、どんな部分でしょうか。
もともとは「20年前のアバレンジャー」のイメージをそのまま踏襲し、あれから20年が経ったという内容でしたから、すでに決まっている要素が多い作品でした。そんな中で、僕が自由に作ることができたのは、クライマックスに出てくる「超アバレマックス」と、敵の「アバレンゲッコー」のキャラづくりでした。
丁寧な言葉でしゃべっているアバレッドがパワーアップしてアバレマックスになると、低く落ち着いた声になりますよね。じゃあ超アバレマックスになったら、今までとは逆で「べらんめえ口調」になったらどうだろうと考えました。僕にとって、本作でアバレたのはここでしょうね。
アバレンゲッコーの関さんとは、何度かお芝居に観に行ったことがあったりしましたが、声優さんとして組んだのは今回が初めてでした。だから、あれだけ画面のスキマにアドリブでセリフをぶっこんで来るなんて、とビックリしました(笑)。まさに、僕の想像の上を行ってましたね。敵怪人キャラは比較的自由が高く「遊べる」ので、台本にいろいろ言葉を足したりしましたけど、関さんはそれをはるかに超える量のアドリブを出してきて、本当にすごいなと思いました。
――木村監督がこれまで手がけられてきたテレビドラマと、特撮ヒーロー作品とでは何か違いを感じたことはありますか。
基本的には違いはないと思いますが、たとえばスーツを着てアクションをするとか、特撮ヒーローならではの専門的な撮影がある場合、スタッフのみなさんがこれまでずっとやってきたことなので、あらゆる場面での行動が素早く、無駄がないところに感心しました。みなさんがとにかく、このジャンルが好きだという空気をひしひしと感じて、やっていて楽しかったです。すごく良い経験をさせてもらえたし、出来ることならばまた特撮ヒーローを演出してみたい、と感じました。
――本作に続き、また特撮ヒーロー作品にチャレンジされるとしたら、今度はどういったものを撮りたいですか。
今回は、過去の『アバレンジャー』のイメージをそのまま20年後に持ってくるというコンセプトでした。これはこれで非常にやりがいがありましたけど、今度やるなら既存の作品の「続編」ではなく、設定や世界観、キャラクターを一から作り上げてみたいですね。今放送している『王様戦隊キングオージャー』(2023年)なんて、新しい世界観やキャラクターが緻密に作り込まれて、とても魅力的に見えました。いまドハマリして毎週観ています。特に素晴らしいのがリタのキャラクター性。どこかで、リタのシーンだけ撮らせてくれないかな……なんて思ってしまいます(笑)。
――『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』の注目ポイントを聞かせてください。
「20年後のアバレンジャー」をそのまま作ったつもりです。20年前、テレビで『アバレンジャー』を観ていた人が「アバレンジャーって、こんなムードだったよね」と思い出してもらえるような内容になっていますので、絶対に観てください。窮屈な現代社会で、いろいろ辛いこと、苦しいことがあったりしても、思いっきり「アバアバダンス」を踊って、アバレた数だけ強くなってほしい。決して期待を裏切ることはありません!
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