■出産後、仕事復帰のスケジュールを変更

――お子さんを産んでから、仕事復帰のスケジュールを変更されたんですね。

妊娠していると分かったのはコロナ禍になったばかりの頃で、出産したのも真っ只中でした。両親にも友達にも会えない中で、コロナ禍での出産という未知への挑戦をすることが、もう覚えてないくらいすごく大変で。私は人とコミュニケーションを取らないと、息が詰まって耐えられなくなってしまう性格だと改めて気付きました。家族も「あなたは外に出てお仕事もしたほうがいいと思う」と応援してくれたので、ありがたかったですね。コロナ禍じゃなかったら私も「早くお仕事をしたい」とは思えていなくて、今ここにはいなかったかもしれません。

――人に会えない状況で初めての妊娠・出産は大変だったと思います。

両親や友達に落ち着いて会えたのは、出産して半年くらい経ってからでした。私の妊娠している姿を直接見ていないので、子どもを抱えて現れると、出産したと分かっているのに皆「えっ!?」と混乱してしまう感覚があったようです(笑)。

――『何曜日に生まれたの』で連ドラ復帰となりましたが、家事や育児との両立はかなり大変ではないでしょうか。

両立はできないです(笑)! 一人では全部できないので、いろいろな人の手を借りるのがいいと、今ははっきりと言い切れます。最初は「自分で全部やらなきゃいけない」と、自分で自分の首を絞めてしまっていました。もちろん完璧に両立できる方もいらっしゃると思うのですが、私には無理でした。今はお母さんである自分と、仕事をしている早見あかりである自分、完璧に両立しようとは最初から思わないようにしています。いろいろ考えた結果こう思えるようになりました。

■娘が認めてくれる母親になりたい

――「完璧」にとらわれない、とても素敵な考えですね。ご家族の協力に感謝していることはありますか。

娘が一番頑張ってくれています。今朝も仕事に行く準備をしているときに「お仕事行くの?」「そうだよ」と話したのですが、「行かないで」とは言わないんです。でも、私が家にいないときにテレビに出ているのを見て、泣いちゃうときがあるらしくて。寂しいのを我慢させているなと思いながらも、仕事をしているお母さんを娘に認めてもらえるように頑張りたいです。

――娘さんは、お母さんがテレビに出ているという状況を理解できているんですか。

スマホで撮った写真を見ているような感覚で、テレビに向かって「あ、ママがいる!」と言っています。それがちょっと特殊な状況であることにはまだ気付いていないみたいです。ただ、ホラン千秋さんを見ても「ママだ!」と言うので(笑)、まだ雰囲気で人を見ているのだろうなと思います。

――(笑)。娘さんが「女優になりたい」と言い出したら、応援しますか。

本当は普通の人生を送ってほしいのですが、私が小学6年生で芸能事務所に入っている以上、反対しても全く説得力がないですよね。「ママだってやってるじゃん!」と言われたら何も言えないので、やりたいと言い出したら挑戦させてあげようかなと。自分自身は後悔していないですし、今もすごく楽しくお仕事をさせていただいているのですが、どうしても普通とはかけ離れた世界ですし……母親としては、別の道を選んでほしいなというのが本音です(笑)。

――複雑な心境ですね(笑)。では最後に、『何曜日に生まれたの』を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

コロナ禍で人との関わりを持てなくなってしまった人にとって、一歩踏み出す勇気につながる作品になったらいいなと思います。楽な気持ちで笑って見られるところや、一生懸命頭を使って楽しめるところ、いろいろな面のあるジェットコースターのようなドラマをぜひ楽しんでほしいです!

■早見あかり
1995年3月17日生まれ、東京都出身。女優。2014年、NHK連続テレビ小説『マッサン』に出演。同年、映画『百瀬、こっちを向いて。』にて長編初主演を務める。その他、主な主演作は『ラーメン大好き小泉さん』(15年~19年)、『福家堂本舗-KYOTO LOVE STORY-』(16年)、『女の機嫌の直し方』(19年)など。近年は話題作の映画『シン・ウルトラマン』(22年)への出演や、2023年で既に5本のドラマに出演していることで注目を集める。現在、今年6本目となる出演ドラマ『何曜日に生まれたの』(ABCテレビ・テレビ朝日系毎週日曜22:00~)が放送中、出演映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』がNetflixで配信中、『ミンナのウタ』が劇場公開中。