ウォンテッドリーは8月2日、「企業名を隠したインターンシップマッチングイベント」を開催。計8社の企業が出展し、約70名の参加学生と「企業名を隠した」状態で交流会を行った。

本当に自己成長性を重視するなら会社のパーパスやビジョンが重要

「企業名を隠す」という非常に珍しい形式の就職活動イベントで、これはウォンテッドリーが実施した独自調査の結果に基づいたものだという。

  • 「企業名を隠したインターンシップマッチングイベント」が開催された

調査によると、学生のうちの75%以上が合同企業説明会などで「企業名だけ」を見てブースを選択していることがわかった。特に2025年卒の就活生に限れば、なんと82%にのぼる学生が企業名のみを参考にブースを選んだと回答したという。

「調査をしてみると、就職先を選ぶ基準として、『自己成長性』を求める学生が6割以上を占めていたのに対して、『企業名』を重視する学生は1割程度に留まっていました。でも実際の就活イベントなどでは、企業名でブースを選ぶ学生が大半を占めているんです」

そう語るのは、ウォンテッドリーのコーポレート担当・奈良英史さんだ。

「本当に自己成長性を重視するなら、その会社のパーパスやビジョンが大事ですが、ネームバリューで選んでしまっているのが現状です。そこで企業名を隠し、会社のパーパスやビジョンだけを掲示し、純粋にそれと向き合う時間を作ることができれば、学生たちももっと自分の本当にやりたいことが見つけられると思いました」

さらに奈良さんは、「就職人気企業ランキングから就職先を選ぶのはナンセンス。本当に大事なのは、自分の人生を投じてその会社で仕事をしたいと思えるかだと思います。その部分を真剣に考えるキッカケを作りたいと思って、今回のイベントを企画しました」と明かした。

「企業名がわからない分、フラットな目線で見ることができた」

実際にこの日のマッチングイベントでは、企業名を隠す代わりに、企業側のパーパスやビジョンが各社のブースに掲示された。出展したのはENECHANGE、全研本社、FastLabel、Karorino、Ridge-i、TAM、土屋鞄製造所、そしてウォンテッドリーの計8社。

イベント前半は企業名を隠した状態で企業と学生との交流時間が各6分ずつ設けられ、企業ごとに創業からの歴史や事業内容、インターンに参加することで取り組める業務内容などについて説明がなされた。

後半は企業名を明かした上で、学生が自由に各ブースを再訪した。参加した学生の満足度は総じて高かったようだ。

経営学部に通うという学生は、「インターン先を選ぶときなどは、つい『この会社は資金調達を何億円している』『この会社は上場している』といった基準で選んでしまいがちです。でも、このイベントでは純粋に企業のビジョンや事業内容だけを聞かされたので、フラットな目線で見ることができました。普段は選ばないような企業でも、実際に話を聞くと面白かったですね」と感想を口にした。

また、「ビジョンや事業内容を聞くだけでも、自分に合う・合わないは感じられたし、企業名がわからないということが逆に面白かったです。先入観を持たず、ダイレクトに企業のイメージや雰囲気が理解できました」と振り返った。

工学部でソフトウェアについて学んでいるという学生は、「企業名が明かされなかったので、フラットな視点で見られて面白かったです。ジャンルに縛られず、いろんな企業を一気に見られたのもよかったです。特にAIに関わる企業はめちゃくちゃ面白くて、すごく技術的な話もしてくれたのでワクワクしましたね」と語った。

また、理工学部でITを専攻しているという学生は、「もともとIT系の企業を志望していたのですが、例えばエネルギーに関する企業のブースでは、自分が考えていたIT系の仕事とはまた違ったアプローチでITの技術が使えることもわかりました。もし企業名を知っていたら、ブースに行くこともなかったかもしれません。固定概念に囚われないということは、本当に大事なんだと感じました」と話した。

  • 会場には自己分析ブースも設けられた

「世の中で広く知られている企業は全体の0.1%くらいです。しかし、有名企業ではなくても、面白いことをやっている企業や素晴らしいビジョンを掲げている企業はたくさんあります。それに学生さんが気付き、企業と出会うことができれば、それはとても素敵なことですよね。今回は初めての取り組みでしたし、どんなリアクションを得られるかもわかりませんでしたが、今日の様子を見る限りだと、もっと自信を持って継続してもいいのかなと思いました」と奈良さんは今回の取り組みを総括する。

イベントの規模は小さく、初めての取り組みということで改善すべきポイントもあるのだろうが、就職活動を行う学生に従来と異なる視点を与えるきっかけになったのは間違いない。今後の同社の展開に期待したい。