• 「百聞は一見にしかず」の意味とは?

    「百聞は一見にしかず」の意味や使い方を解説します

誰もが知っている有名な言葉、「百聞は一見にしかず」。実はこの「百聞は一見にしかず」には続きもあるといわれていますが、ご存知でしょうか。

今回は、「百聞は一見にしかず」の意味や使い方・例文を解説します。また、類義語(似たことわざ)や対義語、英語表現も紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてくださいね。

「百聞は一見にしかず」とは? 意味と由来

  • 「百聞は一見にしかず」の意味とは?

    「百聞は一見にしかず」とはどのような意味なのでしょうか?

ここでは、「百聞は一見にしかず」の意味と由来を解説します。

「百聞は一見にしかず」の意味

「百聞は一見にしかず(ひゃくぶんはいっけんにしかず)」とは、「他人から何度も話を聞くより、一度自分の目で見た方がよくわかる」という意味です。

「百聞は一見にしかず」の由来

「百聞は一見にしかず」は、故事成語です。故事成語とは、故事(昔からの言い伝えや昔話)をもとに生まれた言葉のことで、「百聞は一見にしかず」にももとになったエピソードがあります。

中国の古典に『漢書(かんじょ)』という歴史書があり、そこに「百聞不如一見、兵難隃度」というフレーズが登場します。書き下すと、「百聞は一見にしかず、兵は隃かにして度り難し」です。訳すと、「戦の前線の様子は遠くからではわからないので、伝聞ではなく直接見た方がいい」という意味です。このフレーズが使われたのは、次のような場面です。

あるとき、国が敵軍に攻め込まれました。「どう対応したらいいか? 」と尋ねられたとある将軍が、「戦いの前線での状況は、安全な場所で報告を聞いただけではよくわかりません。現場の状況を見ることが大切です。やはり何か効果的な対策を決めるためには、実際に将軍自ら見に行かねば。私が今から現場に行きます。指揮をとらせてください」と答えました。

これが、日本でも「百聞は一見にしかず」として定着したのです。

「百聞は一見にしかず」には続きがある?

「百聞は一見にしかず」には続きがあるといわれていますが、出典の『漢書』には「百聞不如一見(=百聞は一見にしかず)」しか載っていません。そのため、続きは誰かが創作したといわれています。

以下、「百聞は一見にしかず」の続きとして有名な言葉です。

百聞は一見にしかず(何度も聞くより一度見た方がいい)
百見は一考にしかず(何度も見るより一度考えた方がいい)
百考は一行にしかず(何度も考えるより一度行動した方がいい)
百行は一果にしかず(何度も行動するより一度成果を出した方がいい)

出典の『漢書』には載っていませんが、実りある人生を送るための大事な考え方ですよね。覚えておくと勝負のときに背中を押してくれるかもしれません。

「百聞は一見にしかず」の使い方・例文

  • 「百聞は一見にしかず」の使い方・例文

    「百聞は一見にしかず」を実際に使ってみましょう

「百聞は一見にしかず」は、実際にはどのように使うのでしょうか?

ここでは、「百聞は一見にしかず」の使い方を例文で紹介します。

  • 現場に問題があることを聞いたが、百聞は一見にしかずなので現場に直接行ってみよう
  • このアニメの面白いところはたくさんあるんだけど、百聞は一見にしかずというし、ぜひ自分で見てみてよ

  • 新しくできたテーマパークの魅力をたくさん聞いたがピンとこなかったので、百聞は一見にしかずということで行ってみることにした

「百聞は一見にしかず」の類義語(似たことわざ)

  • 「百聞は一見にしかず」の類義語

    「百聞は一見にしかず」と似た意味を持つ言葉について学びましょう

「百聞は一見にしかず」と似た意味を持つ言葉には、次のようなものがあります。

論より証拠

「論より証拠」とは、「あれこれと議論するよりも、確かな証拠さえあれば真実は明らかになる」という意味の言葉です。「江戸いろはかるた」に登場し、そこから定着したと考えられています。

見ると聞くとは大違い

「見ると聞くとは大違い」とは、「他人から聞いて考えるのと、実際に見たりやったりするのとではまったく違う」という意味の言葉です。

鯛もヒラメも食うたものが知る

「鯛もヒラメも食うたものが知る」とは、「鯛もヒラメも、実際に食べたことがある者しかその味を知らない」という意味で、「いくらたくさん読んだり聞いたりして知識を蓄えていても、実際の経験がなければ本当の意味では知らないのと同じことだ」という教えを説いています。

「百聞は一見にしかず」の対義語

  • 「百聞は一見にしかず」の対義語

    「百聞は一見にしかず」と反対の意味を持つ言葉について学びましょう

ここでは、「百聞は一見にしかず」とは逆の意味合いで使用される言葉を紹介します。

耳を信じて目を疑う

「耳を信じて目を疑う」とは、「他の人の意見ばかり大切にして、実際に見たことを信じない」という意味の言葉です。「百聞は一見にしかず」は「他者の言葉より自分で見ることが大切だ」という意味なので、対義語として考えられます。

一を聞いて十を知る

「一を聞いて十を知る」とは、「少し聞いたりかじったりするだけで、その物事の全体像がわかる」という意味の言葉です。少しの情報から物事をしっかり理解することができる人を指す際にも使われます。

「実際に見たり体験したりしなくては本当のところはわからない」と考える「百聞は一見にしかず」とは逆のニュアンスを持っていると考えられるでしょう。

「百聞は一見にしかず」の英語表現

  • 「百聞は一見にしかず」の英語表現

    「百聞は一見にしかず」の英語表現について学びましょう

「百聞は一見にしかず」と似た意味を持つ英語表現には、以下のようなものがあります。

  • Seeing is believing.(見ることほど確かなものはない)
  • The proof of the pudding is in the eating.(プディングの味の良し悪しは食べてみないとわからない)

「Seeing is believing.」は、「百聞は一見にしかず」とほぼ同じニュアンスで使われています。「The proof of the pudding is in the eating.」は、「鯛もヒラメも食うたものが知る」や「論より証拠」に近い言葉だといえますね。

「百聞は一見にしかず」の意味を正しく理解しよう

今回は、「百聞は一見にしかず」の意味や言葉の由来、類義語・対義語などについて解説しました。「百聞は一見にしかず」を意識し、日頃の生活の中でも生かしてみましょう。