「収拾がつかない」という言葉を見聞きしたことはあるかもしれませんが、具体的にはどのような事態を指すのでしょうか。

本記事では「収拾がつかない」の詳しい意味や、シーンごとの使い方と例文を紹介。誤字である「収集がつかない」の「収集」との違いや、言い換え、対義語もまとめました。

  • 収拾がつかないとは

    「収拾がつかない」の意味や使い方と例文、類語などを紹介します

「収拾がつかない」の意味・読み方とは

「収拾がつかない」の「収拾」は「しゅうしゅう」と読みます。

混乱した事態などをおさめて取りまとめること、片付けること、拾い集めることを意味します。

すなわち「収拾がつかない」とは、混乱した事態を取りまとめようと行動するものの、おさめられないことを意味しており、事態や物・人の気持ちなどに対して使用されます。

「収拾」と同じ読み方の漢字を使った「収集」との違いは?

  • 「収拾」と「収集」との違い

「収拾」と同じ読みで「収集」という言葉もありますが、「収集」とは何かを集めること、コレクションすることを意味します。

  • 明日は燃えるゴミの収集日だ
  • 必要な資料を収集してください
  • フィギュアを収集する

などは「収拾」ではなく「収集」が正解です。

同じ読み方でも意味は異なるため、誤用をしないよう、適切に表現しましょう。

「収拾がつかない」の正しい使い方と例文

  • 「収拾がつかない」の正しい使い方と例文

「収拾がつかない」は、どのような場面で使用できるのでしょうか。具体的なシーンの例と、例文を用いて使い方を解説します。

意見や考えがまとまらないときに使う

1つ目は、意見や考え、行動がまとまらない際に使用するパターンです。意見が多く結論が出せない状態を表し、何をしてもまとまらないというときに使います。

  • 子どもたちがヒートアップしていて、収拾がつかない

この例文は、例えば家族間で今日の夕飯の献立を決めようと話し合っているときに、子どもたちが一斉に食べたいものを言い出し、両親の入る隙がない場合を表しています。

  • 子どもたちの希望がバラバラで、収拾がつかない

その後、子どもたちの希望するメニューを両親が書き記し、その中から決めることを提案しました。しかし子どもたちの希望がバラバラで、意見がまとまらない状況を表したのが上記の例文です。

喧嘩や入り乱れた状態など、混乱しているときに使う

2つ目は、物や人が入り乱れ、混乱した状態で使用するパターンです。

例えば上記のシーンで言えば、献立が決まらないことで子どもたちが喧嘩を始めた、どこかへ行ってしまったという場合に、下記の例文で表現できます。

  • 子どもたちの行動が自由過ぎて、収拾がつかない

その他、数が多すぎたりグチャグチャだったりして、どうしようもできない場面を、下記のような例文で表現できます。

  • 引っ越しの準備で物が散乱し、収拾がつかない
  • 花火大会の後の最寄り駅は、人が多すぎて収拾がつかない
  • デモの混乱で、事態の収拾がつかない

「収拾がつかない」の類語・言い換え

  • 「収拾がつかない」の類義語

混乱した事態をおさえられない場面で使用される「収拾がつかない」には、他にも同じような意味を持つ類語があります。

こんがらがる

「こんがらがる」は、物事がまとまらずに混乱する、糸がもつれて絡まるという意味を持ちます。「収拾がつかない」と同様に混乱した状態を表すため、同じような場面で使用される言葉です。

「頭の中が収拾がつかない」であれば「頭がこんがらがる」と言い換えられます。どちらも理解が追いつかない、混乱していることを表現できます。

「糸が絡まって収拾がつかない」であれば「糸がこんがらがる」と表現することで、どちらも糸が絡まり、困り果てていることを伝えられるでしょう。

グダグダする

「収拾がつかない」と同じ意味を持つ言葉としては「グダグダする」も当てはまるでしょう。

「グダグダする」は、やる気がない様や、簡単なことを長々と時間をかけて行っている様子を表現しています。混乱した状態を整理できず、状況が長々と続いてしまうことを表現したい場合は「グタグタする」に言い換えるといいでしょう。

例えば、「引っ越し準備で物が散乱し、収拾がつかない」であれば「引っ越し準備で物が散乱し、グダグダと作業が続いている」のように言い換えが可能です。

他には「意見が多く、収拾がつかない」を「意見がまとまらずグダグダした」のように表現することもできます。

「グダグダ」はややカジュアルな雰囲気があるので、会社内や上司に使用する際は「収拾」、家族や友人間であれば「グダグダ」のように使い分けるといいでしょう。

混乱する

「混乱」は、さまざまな物事が入り乱れ、整理できていないことを意味します。

「収拾がつかない」の言葉自体が「混乱」を意味しているため、そのまま「収拾がつかない」を「混乱する」「混乱している」と言い換えても問題ありません。

手に負えない

「手に負えない」は、自分にはどうしようもできず、扱えない事態であることを意味しています。

  • 子どもたちのおやつへの要望がヒートアップしすぎて、母親では手に負えない
  • 花火大会の人が多すぎて、警察も手に負えない

このように表現することで、その人ではどうしようもできないことを伝えられます。

「収拾がつかない」の対義語

  • 「収拾がつかない」の反対語

類語や言い換えられる言葉は前述した通りですが、「収拾がつかない」の反対の意味を表す表現には、どのようなものがあるのでしょうか。

収拾する・収拾がつく

「収拾する」は「収拾がつかない」の対義語です。否定の要素をなくし、混乱した状態をおさめること、拾い集めることを意味します。自ら行動し事態を落ち着かせる場合などに使用します。

また、「収拾がつく」は、乱れた事態がおさまった状況を意味します。

対処する・対応する

「対処する」は、ある事柄、起きている事態に対して適切な処置を行うことです。混乱している状況をおさめようとする意味を持つため、「収拾がつかない」とは逆の意味を表す言葉です。

また、「対処」と似ている言葉に「対応」があります。「対応する」は、周りの状況に合わせて、適切な処置を行うことを意味します。

収拾がつかない場面でも慌てないで

「収拾がつかない」は主に、混乱した状況をおさえられない場面で使用しますが、一文字違いである「収集」は物を集める際に使用する言葉です。文面で使用する際は「収拾がつかない」と「収集がつかない」の誤表記に注意しましょう。

収拾がつかない状態は、自分の予期せぬ場面で起こるものです。慌てずに状況を把握することから始め、適切に対処しましょう。